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参加者が「強制連行の事実を訴えたい」などの発言をしたことを理由に、県は14年、10年ごとに行う碑の設置更新を不許可としました。

2024-02-21 | なるほど、その通り

朝鮮人追悼碑撤去

歴史修正に屈した行政代執行

 群馬県立公園「群馬の森」(高崎市)に設置されていた朝鮮人追悼碑が1月末、多くの市民の反対を押し切って、県による行政代執行で撤去されました。

 この碑は、市民団体「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」の前身の「朝鮮人・韓国人強制連行犠牲者追悼碑を建てる会」が県議会に請願を出し、全会派一致で採択され、県と市民との合意のもと、県が場所を提供して2004年に建てられたものでした。

「強制連行」発言を問題視

 日本の植民地時代に県内の鉱山や軍需工場に徴用され、過酷な労働のもとで犠牲になった朝鮮人労働者を悼み、こうした歴史を「広く国民に伝え、正しい歴史認識を確立する」ことを目的とした「守る会」は、碑の前で毎年追悼集会を行ってきました。

 その中で参加者が「強制連行の事実を訴えたい」などの発言をしたことを理由に、県は14年、10年ごとに行う碑の設置更新を不許可としました。そこに至る過程には、排外主義的な複数の団体が県議会に碑の設置許可の取り消しを求める請願を行って自民・公明などの賛成で採択されたことや、撤去を求める団体が碑の前で行った抗議活動の際に公園側とトラブルになったことがあります。

 「守る会」は更新不許可処分の取り消しを求めて県を提訴し、前橋地裁は県の処分について「裁量権を逸脱・濫用したものとして違法」と判断しました。それを不服とした県が控訴し、東京高裁は21年地裁判決を覆し、22年最高裁で高裁判決が確定しました。

 県は撤去の理由として、碑が公園内に設置されていることは「著しく公益に反」し、都市公園法に基づかないことをあげています。しかし憲法21条は集会の自由・表現の自由を保障しており、何をもって「公益」に反したのか納得のいく説明はありません。

 県は、碑の設置時に「政治的行事を行わない」という条件をつけていました。山本一太県知事は会見で、「政治的発言によって(碑の)存在自体が論争の対象になった」と述べていますが、朝鮮人労働者が県内の鉱山や軍需工場に「強制連行」されたことは歴史的事実です。

 「強制連行」という言葉が「政治的発言」とされた背景には、12年の第2次安倍政権発足以降強まった歴史修正主義、日本の負の歴史を消そうとする動きがあると言わざるを得ません。小池百合子東京都知事が、関東大震災で犠牲になった朝鮮人を追悼する式典への追悼文を、17年から7年連続で送っていないこととも共通するものです。政府の見解と異なることを許容しない流れを押し返す必要があります。

過去を忘れず未来見つめ

 「群馬の森」は、かつて陸軍の岩鼻火薬製造所のあった場所でした。そこが県立公園となり、開園して今年で50年になります。碑文には「過去を忘れることなく、未来を見つめ、新しい相互の理解と友好を深めていきたい」と刻まれていました。朝鮮人追悼碑は、日本が行った植民地支配と侵略戦争の加害の歴史から学び、「さらなるアジアの平和と友好の発展を願」(碑文)って県立公園内に建てられたものです。歴史を直視し、今後、各地で同様の暴挙が行われないよう注視することが重要です。


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