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ほんの少し延期するだけ・・政府案

2007-10-18 | 市民のくらしのなかで

 

 「後期高齢者医療制度」の

   

    来年四月実施を中止させよう

 

           2007年10月17日 日本共産党


 日本共産党が十七日発表したアピール「『後期高齢者医療制度』の来年四月実施を中止させよう」の全文を紹介します。


 自公政権が強行した医療改悪法により、来年四月、「後期高齢者医療制度」が導入されようとしています。七十五歳以上の人を「後期高齢者」と呼んで他の世代から切り離し、際限のない負担増と差別医療を押しつける大改悪です。

 いま、「後期高齢者医療制度」の中身が知られてくるなかで、高齢者・国民、自治体、地方議会、医療関係者などから、いっせいに批判の声がわき起こっています。福田内閣、自民・公明の政権与党も、現行制度で健保の扶養家族の人から新たに保険料を徴収することを半年程度延期する、七十―七十四歳の医療費窓口負担を二倍に値上げすることを一年程度延期するなどと、医療改悪の一部「凍結」を言い出さざるを得なくなっています。昨年の通常国会で強行した制度の破たんを自ら認めたものにほかなりません。

 しかし、政府・与党の方針は、対象となっている高齢者の一部の人の負担増を、ほんの少し延期するだけで、「凍結」とは名ばかりのごまかしにすぎません。

 小泉・安倍内閣の六年間、高齢者は、所得税・住民税の増税、国保料・介護保険料の値上げ、医療の窓口負担引き上げなど、あいつぐ負担増に悲鳴をあげてきました。政府が、「お年寄りの置かれている状況に十分配慮し…きめ細かな対応に努める」(福田首相の所信表明)というなら、小手先のごまかしでなく、制度の実施そのものを中止すべきです。

 日本共産党は、国民のくらしと健康、命をまもるため、「後期高齢者医療制度」の来年四月実施を中止させるための、党派や立場を超えた共同を呼びかけます。

後期高齢者医療制度――75歳以上の人を切り離し、まともな医療を受けられなくする大改悪

 「後期高齢者医療制度」に国民の批判が広がっているのは、この制度が、七十五歳以上の人を国保や健保から追い出し、高い負担を無理やり徴収しながら、必要な医療を受けられなくする空前の改悪だからです。

高い保険料を容赦なく年金から「天引き」し、払えなければ保険証を取り上げる

 新制度が導入されると、七十五歳以上の人は、いま加入している医療保険を脱退させられ、新しい「後期高齢者だけの医療保険」に組み入れられます。そこで高齢者を待っているのは、高い保険料の情け容赦ない徴収です。

 政府は、「後期高齢者医療保険料」の額を、「全国平均=年七万四千円」と説明してきましたが、この間、各自治体で試算された平均保険料額は、東京都「年十一万五千円」、埼玉県「年九万九千四百円」、北海道「年八万七千―九万七千円」など、当初の政府試算を大きく上回っています。新保険料が、現行の国保料(税)を超える人も、少なくありません。

 しかも、保険料額は二年ごとに改定され、医療給付費の増加や、「後期高齢者」の人口増に応じて自動的に引き上がる仕組みとなっています。制度スタート時に保険料を低く抑えた地域も、将来の値上げは確実です。

 この保険料は、介護保険料とあわせ、「年金天引き」で徴収されます。さらに「後期高齢者医療制度」の導入に便乗し、六十五―七十四歳の国保料(税)も「年金天引き」となります。

 年金が月一万五千円未満の人などは「窓口納付」となりますが、保険料を滞納したら、保険証をとりあげられます。現行の老人保健制度では、七十五歳以上の高齢者は、国の公費負担医療を受けている被爆者や障害者と同じく、保険証とりあげが禁止されています。医療を奪われたらただちに命にかかわるからです。老人保健制度を廃止し、「後期高齢者医療制度」にかえることで、低年金・無年金者から容赦ない保険証とりあげを行おうというのです。

 現在、サラリーマンの「被扶養者」として健保に加入している人も、新制度に移行後は、保険料が徴収されます。あらゆる世代のなかで、七十五歳以上の人だけは、どんな低所得でも「被扶養家族」から切り離す、こんな差別的な医療制度が許されるでしょうか。

差別医療を押しつけ、まともな医療を受けさせない

 過酷な保険料徴収の一方で、保険で受けられる医療の内容も差別・制限されようとしています。

 新制度では、「後期高齢者」と七十四歳以下の人は、診療報酬(医療の値段)が別建てとなります。いま検討されているのは、「後期高齢者」の診療報酬を「包括払い(定額制)」とし、保険が使える医療に上限をつけてしまうことです。そうなれば、「後期高齢者」に手厚い治療を行う病院は赤字となり、医療内容を制限せざるを得なくなります。また、厚生労働省は、終末期医療でも七十五歳以上の患者には特別の診療報酬体系を持ち込むとしています。「過剰な延命治療を行わない」という誓約書をとったり、「終末期」の患者に「在宅死」を選択させて退院させた場合には、病院への診療報酬を加算し、いっそうの「病院追い出し」をすすめようというのです。

 こうした報酬体系をつくり、七十五歳以上の高齢者への保険医療を制限し、「医療給付費の抑制」をはかるのが、この制度を導入した政府のねらいです。

 来年に実施が予定される医療改悪、高齢者いじめは、これにとどまりません。

 七十―七十四歳の窓口負担が、一割から二割へと二倍に引き上げられます。

 長期療養の人が入院する「療養病床」を二十三万床削減し、病院追い出しをすすめる改悪も、来年度から本格化します。

この日本で、医療制度に「姥捨て山」をつくってはならない

 人は誰も年をとります。若いころは元気でも、高齢になれば、いろいろな病気が出てきます。そういう高齢者を別建ての医療保険とすることには、何の道理もありません。ヨーロッパ諸国など「国民皆保険」が確立している国のなかで、年齢で被保険者を切り離し、保険料や医療内容に格差をつけている国はありません。

 しかも、自公政権が導入しようとしている「後期高齢者医療制度」は、元厚生労働省幹部やメディアなどが「姥(うば)捨て山」と呼ぶように、“医療費がかかる”といって高齢者をじゃま者あつかいし、くらしも健康も破壊していく最悪の制度です。

 高齢者への医療を抑制することは、「現役世代のため」などといいますが、とんでもないことです。政府の導入のねらいははっきりしています。この制度がもっとも“威力”を発揮するのは「団塊の世代」が「後期高齢者」となった時です。そうなっても国の財政負担が増えないよう、国民負担増と給付抑制の仕組みをつくろうというのが「後期高齢者医療制度」です。いまの高齢者はもちろん、将来、高齢者となるすべての国民から、医療を奪いとる改悪です。また、高齢者を扶養している現役世代にも、重い負担がのしかかることになります。

「後期高齢者医療制度」・高齢者医療負担増の四月実施を中止させるために力を合わせよう

 日本共産党は、「後期高齢者医療制度」に危惧(きぐ)を抱き、見直しを求める、すべての政党、自治体関係者、高齢者団体、医療関係者などに、制度の四月実施を中止に追い込む一点での共同を呼びかけます。

 「この制度がこのまま実施されたら大変なことになる」という世論が、急速に広がっています。とくに、この制度の実際の実施主体となる自治体から、負担軽減や制度の見直しを求める意見が相次いであがっていることは、重く受け止めなければなりません。

 「後期高齢者医療制度」の「凍結」や「見直し」などを求める意見書、請願を採択した地方議会は、長野県、高知県、和歌山県、大阪市、名古屋市、盛岡市をはじめ短期間に二百を超え、さらに大きく広がろうとしています。東京、千葉、埼玉、神奈川の一都三県は連名で、政府に「国庫負担の増額」などの制度見直しを緊急要請しています。

 自治体首長が、「これでは住民に説明できない」「高齢者はもう負担増に耐えられない」などの声をあげ、保険料の徴収・督促の窓口となる市町村の幹部職員からも、「八十歳代、九十歳代の人から保険証をとりあげることなんてできない」「来年四月は反乱が起こる」などの声が聞こえてきます。

 日本医師会が「後期高齢者医療制度」の全面的な見直しを求める見解を発表するなど、医療関係者のなかでも見直しを求める声が多数になっています。制度の「中止・撤回」「凍結」「見直し」などを求める署名運動も急速に広がり、老人クラブや町内会からも不安と怒りの声があがっています。

 つぎつぎと矛盾が噴出する「後期高齢者医療制度」の実施を中止し、国民、自治体、医療関係者などの意見を集め、制度の当否を含めて、全面的に議論をやり直すべきです。

 日本共産党は、世界にも例のない年齢差別の医療制度に反対し、撤回・廃止すべきと考えています。そして、「後期高齢者医療制度」の実施を中止した上で、誰もが安心してかかれる医療制度にする改革案――(一)窓口負担増をやめさせ、国際的にも異常に高い窓口負担を引き下げる、(二)公的医療保険の解体を許さず、保険医療を拡充する、(三)減らし続けた医療への国庫負担を計画的に元に戻し、保険料負担の軽減、医療保険財政の立て直しをはかる――を提案します。

 同時に、政治的な立場の違いや社会保障制度への見解の相違を乗り越えて、「後期高齢者医療制度」を、このまま実施することはできない、という一致点での共同の先頭にたち、四月実施の中止に追い込むために全力をあげます。

 日本の総医療費はGDPの8%、サミット参加七カ国で最下位です。政府が、国民の命と健康をまもる責任を果たし、高薬価や高額医療機器などにメスを入れつつ、歳入・歳出の改革で財源を確保するならば、公的医療保障を拡充し、高齢化や医療技術の進歩にふさわしい規模に充実することは可能です。

 小泉内閣以来、社会保障予算の自然増さえ認めず、二〇〇二年度には三千億円、〇三―〇七年度までは毎年二千二百億円ずつ削減し、すでに年間一兆四千億円が削減されました。その結果、医療、年金、介護など社会保障のあらゆる分野で、負担増と給付削減が押し付けられ、社会保障から排除される多くの人々を生み出し、国民のくらしを圧迫し、不安を広げています。こんなやり方はもう限界です。高齢者や低所得者を差別・排除してゆく医療政策は、破たんとゆきづまりに直面しています。広範な国民の世論と運動を結集して「後期高齢者医療制度」を実施中止に追い込み、国民の健康と命がまもられる新しい政治への転換点としようではありませんか。



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