8億7千万円の中古船購入のお話ばかり続いて恐縮ですが、県監査事務局に意見陳述に行ってきました。簡単に言うと、「ここがこんなにヘンだから、どうかちゃんと見直してください」と監査委員さんに念押しや補足説明をしに行くことです。
今日は、県の4名の監査委員さんの前で請求書の内容を説明してきました。伝わったかどうかは心もとないし、監査委員さん達も沢山同じような話を聞いているのかお疲れなのか、あまり真剣に聞いている様子は無いようでしたが、税金や県民の財産が適切に運用されているか、ちゃんと見直してくださることを信じるしかありません。
陳述のあらまし
・新船ではなく中古船を指定して町に購入させるのはおかしい
・2号と1号は同形なのに差額が3億円もあるのは納得がいかない
・佐世保航路や、奈良尾長崎航路と比較した場合の税金投入のありかたの不公平感
>特にこの予算が県で出てきたのとほぼ同時期に佐世保便で業者撤退の話が出てきて、住民生活に多大な影響があることがあきらかなのに、フェリーも就航していない鯛ノ浦航路に「だけ」巨額の税金を投入する県の航路政策に住民は不信をもっていること
・あと、追加資料として、本年6月議会(第二定例会)の議事録を提出しました
>これには、県当局は県議会に対して「これは町からの要請」と説明しているのに対し、町当局は「県が全額出すので断る理由がなく、断れば本町のほかの要望に影響しかねない=断れない」と県側から下りてきたものであるような説明をしていて、その前に提出している県議会の予算決算の総括質疑の議事録と見比べると、両者がちぐはぐでその場しのぎの苦しい説明をしている不可思議な状態がよく分かります。こんなやりかたで8億7千万円がうやむやに使われるのは大問題です。
>また、この議事録では、議員さんが「もしこの船が運航できない状態になったら交付金の返還義務が生じると思うが、どうなっているのか」ということも指摘していますが、明確な答弁はありません。新船でなく中古ですし、運行事業者の経営状況も実際不明な中では20年間の運賃割引期間の間に何か起こることも想定しておかなければなりません。その返還義務が町にあるというのなら無責任で県はそんなに無責任ではないと思うので、返還義務は県にあり、それは県の財務会計に直接損失を与える可能性がある行為だということを今回は主張しました。
・もうひとつ追加で提出したのは、佐世保航路に関する請願です。
>佐世保航路にはこんなに切実な住民の声が公式に出されており、議会も採択している。一方で長崎鯛ノ浦航路には何もないのに多額の税金が投入されることはおかしい、と主張する根拠です。
そして、このような支出の積み重ねがめぐりめぐって国の借金1000兆円になり、消費増税や社会保障の削減となって住民の負担として跳ね返ってくる。ぜひ、そういう視点で県の財務会計を見直してもらいたい、と、改めてお願いして終わりました。
県の新幹線総合対策課の陳述
請求人(=私)のあとで県の担当課の陳述がありました。私からは説明や反論はしてはいけないそうなので、その時思ったことを並行して書いてみます。
・運行事業者は公募しているので不公平ではない
←1号は五島産業汽船が運航しているんだし、2号1隻を公募したときに現実問題どこの事業者が応募できるというのでしょうか。形ばかりの公募なのは素人でも分かる。しかも不公平なのは新船に入れ替えではなくて特定の事業者にお金を払って中古船を買い上げるという部分も、です。
・びっぐあーす2号は、新船建造費等検証委員会が認めたちゃんとした船で不良資産ではない
・船体価格3億5千万円は、財団法人日本検定協会が出した価格で妥当である
←一団体だけの見積もりでそう言い切れる根拠不明。それに、査定額と市場価格が違うのは当たり前で、この船は売りに出されていたけれど買い手がつかなかった船。市場価値がなければ民間感覚では不良資産でしょう。その財団法人が査定した価格が妥当だという根拠がない
・2号のエンジン費用は1号よりも高く、外国製なので為替の影響を受けるし、2号では1号に無かった改修をしたため3億円の増額は妥当
←それだけのスペックの改修を、税金で、中古船にかける必要性がそもそも不明
・2号は1号と同形なので船のアンバランスを是正するのに有効
←燃油が高くなったら、”超、超小さくて乗り心地最悪だから何とかしてくれという要望が出て1号をごり押しで買ったといういわくつきの「ありかわ8号」”を走らせてもいい、などと町議会では答弁されています。びっぐあーすありきの、あまりにも適当な理屈では・・・?
・びっぐあーすと同等の新船を建造すると19億5千万円かかるので高くは無い
←なぜそんなに大きい船が必要なのかという疑問は十分に残ります。佐世保便ではこのお盆に臨時便を走らせても積み残しが発生していますが、びっぐあーす1号が満席で乗れなかったという話は聞きません。また、300席満席がこの3年で何回あったのかというデータは一切出ていません。九州商船が佐世保便に投入した高速船シークイーン(定員140人)は5億4千万円だそうです。燃費などを考えても、適正規模の船を新船で投入するほうが住民の利益にはなるはずです。やはりびっぐあーすありきの印象を与える苦しい説明
・佐世保航路でも、別の制度で島民限定割引等は実施しており、何もしていないわけではない
←他の航路にも同じ制度で割引をしていて佐世保便に特別手厚いわけではない。鯛ノ浦航路も現状同じ制度の割引があるし、「五島産業汽船だけ特別」が続くことがおかしいな、と住民が思っているということなのではないでしょうか。。。
意見陳述のレポートは以上です。
さいごに、
告白すると、
この問題や佐世保航路が不便になったことについて、すごくたくさんの不満や文句を聞く割には全然盛り上がらないというか、表だって自分で身体を動かしてなんとかしようという方がいらっしゃらないみたいで、みんな結論的にはどうでもいいのかなあ。。。だったらまあ、請求は出すけれども長崎くんだりまでそのためだけに行くのはやめようかなあ。。と弱気になっていました。(陳述は、「意見を言う機会を与えてもらう」だけなので行くのが条件ではないです)
でも、この島以外でも一連の県の航路政策に疑問を持つ人もいて声をかけてくださったり、後押しをしてくださったり、仕事も代わってくれる人もあり、沢山の方の応援をいただいて、この陳述の機会を活かすことができました。ありがたいです。
せっかく住民監査請求を出すのですから、「そこ、おかしいよ」という住民からの「異見」をより多くの方々に知っていただくための努力はたくさんした方がいいのです。この辺の情報戦で負けてしまうので、多くの人が知らない間に、どうしても行政の言い分の方が住民の声よりも大きな声でまかり通るというのがほとんどのケースです。
ですので、もしもこの問題について「おかしいな」と思ったみなさん!
ここはひとつ、インターネットのワンクリックでもいいですから、
「住民からこういう意見が出ているよ」
「新上五島町民は、たとえ自分たちの運賃が多少安くなったとしても県の補助だったとしても税金が無駄に使われることを良しとする人ばかりではないよ」
ということを、なるべく多くの方にお知らせいただけないでしょうか。
ご協力よろしくお願いします。私個人に不満をぶつけても何の得にもなりゃしませんので。できることから一人一人がやっていきましょう。
長くなってすみません。