500名以上の人が集まる学校にいると、自分と違った考えをする大人や生徒に出会うことが時々あります。私たちが出会う価値観はじつに多様です。
自分と似た価値観をする人、「それはどうも」と言いたくなる価値観、「あー、そうなん」ですむものなど、なかなか対応していくのは簡単ではありません。
子どもに注意をするときでも「相手はわかったと言っているのだから、そこまでとことん、しつこく言わなくても」と思っても、その人にしてみれば「ここまで言わないとダメなの、この子は」と、主張する人に出会うこともあります。
自分の価値観と反するものにでくわすと、やっかいです。感情的にならずにいようと思っても、心が平静になりにくい場合もあります。まして二人でなく三人になればこれはもうたいへんです。
もし、三人がそれぞれの価値観を主張しあえば、平行線をたどります。
「宝くじなどに手を出せば、どんどんお金が無くなる」
「年末ジャンボ宝くじは、あたると大きいのよ。買う方がいいの」
「宝くじであてた人は、ボクにお金をくださいな」
という具合となり、収拾がなかなかつきません。
こう思うなら、自分はみずからの主張を控え、「ま、そういう考えもあるよな」と、まず相手への理解を示すのがいいかもしれません。このほうが、何よりも自分の心が穏やかになります。
この場合、理解と同意は別物です。なのに、理解と同意をイコールと考える人(日本人に多い)は、「私の言うことがわかったなら、なぜあなたはそうしないのか」と責めよってきます。
しかし、理解と同意は本来的に違うのです。私は同意するかは別として、理解できるという意味で、「ま、そういう考え方もありますね」と思い、相手に伝えるようにすれば、日常会話は、たいていうまくいくように思います。