いまは亡き高倉健は、「鉄道員」(ぽっぽや)で映画賞をもらったとき、次のような印象的な言葉を述べられました。
「いただいた賞を真っ先に見せたかった父や母
は、もうこの世にいない。
『偉かったね』とほめてもらいたかった人はもう
いなくなっていた。でも、僕が、40数年辛抱して
走り続けられたのは、たとえ心の中だけになって
しまっても、母の顔とともに『辛抱ばい』という
言葉があったからだ」
「ほめてもらいたかった」と、実直に、素直に語る俳優、高倉健さんはやはりすごい人だと思います。
高倉健さんほどの大人でもそうなのだから、子どもの場合はなおさらでしょう。
たしかに、競争は必要です。ただし、それと切り離せないのは、勝敗にかかわらず、努力したことやがんばったことへのねぎらいが要ります。
ねぎらいとは「評価」です。評価とは、本来は序列をつけることではありません。
評価とは、励ますことです。負けても努力が認められれば、次へのやる気がわいてきます。
評価は学校の教師だけがするのではありません。まわりの友だち、とくに競争した相手からの温かい言葉や励ましは、もっと効果があります。
「協調」も、いっしょに苦労したり、競いあったりすることでより深まります。
たんなる仲良しグループでは、共生感は生まれてきません。
ともに苦労すること、ともに努力することで、お互いを尊重し、相手のことを思うことが、本来の「協調」です。