先日ご紹介しました、恩師の古希の記念誌の中に寄せられた随想録の一つに、高校時代一緒に生徒会活動をしていた友人の自叙伝があります。
この内容は、彼の言葉をそのまま引用すると、山陰という風土で培われた、忍耐強く勤勉で誠実な気質を痛々しいまでに貫き通してしまう彼自身の記録です。
涙なしには読めないものでした。男性的な文体は、最低限の修飾語で語られていることもあり、臨場感あふれ、まるで自分自身が体験している気持ちになりました。なんども拳を握って、怒りを覚えることもありました。
この文を後輩に見せて読んでもらいましたら、
中島敦の李陵を思い出し、読みたくなったと返事が来ました。中島は明治生まれの作家で、戦前に没している人でした。私も本をすぐに手に入れて、読んでみました。
彼の随想録は、中島の文章と重なりました。
まるで、平成になって、彼が蘇ったのかと錯覚するほどでした。いつかこの自叙伝が出版され、私の手元に届くことを願っています。
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