堅曹さんを追いかけて

2002年(平成14年)9月から先祖調べをはじめた速水家の嫁は、高祖父速水堅曹(はやみけんそう)に恋をしてしまったのです

横浜外人墓地 バスチャンの墓

2008-10-14 02:33:39 | お墓

案内してくださる方がいて、10月11日に横浜外人墓地にある

エドモンド・オーギュスト・バスチャンのお墓参りをしました。


Cimg5119 外人墓地入り口


E.A.バスチャンは、富岡製糸場を設計したフランス人建築技師です。


フランス・シェルブール出身の彼は慶応2年(1866)、横須賀製鉄所の

ヴェルニーに雇われ、船工兼製図職人として来日します。

明治3年(1870)12月に彼は富岡製糸場の設計図を完成させ、

工事監督をしました。

製糸場が完成して操業を始めると横須賀にもどり、その後上海で結婚をして、

再び日本にもどり、明治21年(1888)横浜で亡くなるのです。


120年も前に建てられた墓ですが、とてもしっかりとして傷みもすくなく、

皆で草むしりをして、水をかけ、手をあわせました。


Cimg5101 E.A.バスチャンの墓



考えてみれば、富岡製糸場の開業にあたって日本は

多くの外国人の力をかりたわけですが、

唯一日本に残り、お墓があるのはバスチャンだけです。


自分が設計した製糸場が130年以上経っても、ほぼそのまま残り

世界遺産として登録されるかもしれないような建物になるとは

思ってもみなかったのではないでしょうか。


他のお墓も案内してもらい、幕末から明治にかけて遠い異国の地で亡くなった

多くの外国人のお墓をお参りさせてもらいました



その後、港の見える丘公園にむかい、公園内にある「大佛次郎記念館」に

行きました。


Cimg5131 大佛次郎記念館


ちょうど「大佛次郎とフランス」という企画展が行なわれており、見てきました。


Cimg5132 ロビー

Cimg5140 サロン


開館30年も経ちますが、とてもステキな内装で、ご遺族から寄贈された蔵書や

再現された書斎の立派さに目を見張り、著書の多さに驚きました。



元町にもどり、昼食をとってから午後は、毎月の勉強会、原三溪市民研究会に

向かいました。

『原三溪翁伝』の出版に向けての準備が本格的になってきて、

今日は初稿の校正の作業に入りました。

この原稿が本になるのかとおもうと、間違いのないようにしなければと

緊張してしまいます。


市民研究会も丸一年がたち、ここまできたんだ、とおもうと

とても充実したものを感じ、また、がんばる意欲がでてきました。


前橋 「関根町の由来」の碑

2008-10-13 22:12:08 | 勉強会、講演会

ちょっと忙しくて、ブログに書こうとおもっていることがたくさんあるのですが、

後手後手になってしまいます。



先週のことになりますが、

10月9日は前橋へ歴史ワーキンググループの勉強会へ行ってきました。

いつものように、堅曹さんの自叙伝『六十五年記』の読解です。


  明治17年(1884)の出来事です。

  生糸の直輸出会社「同伸会社」の第3回総会がおこなわれ、

  その時の堅曹さんの演説文を読みました。


  世界の不景気に加え日本の銀行による為替の変更、それに伴う対応、

  織屋の破産などがあり、たいへんな一年であったことが述べられています。


生糸の直輸出という、先駆けの事業を行なうことは、どんなに大変であったか。


また、10月に台風の影響で富岡製糸所の鉄製の煙突が折れてしまい、

新しく建て直した話が載っています。


  最初技師に頼んでみたら、多額の金額と製糸所の長期の休業を

  見積もってきた。

  そんなことは出来ない、と堅曹さんは友人の宇都宮三郎に相談して

  教えを受け、自分で建築を担当して煉瓦の八角煙筒を3本建てた。

  もちろん出費は比べ物にならないほど少なく、一日も休業せず。

  英国人がその煙筒を見て、ちょっと短いのではないか、といったら、

  堅曹さん、宇都宮仕込の理論で相手を閉口させてしまいます。

  そして石炭のくべ方も、宇都宮に習ったとおりにしたら、

  非常に効率がよくなり、莫大な利益がでた。


とある。

なんとも愉快なエピソードであり、堅曹さんの所長としての経営感覚と

実業にたけた手腕が垣間見れます。



勉強会もおわり、皆で、前橋市関根町の片原公園に

今年1月にできた「関根町の由来」という碑を見に行きました。


Cimg5048


Cimg5045 裏まで碑文が




ここは、堅曹さんが兄や姉、そして深澤雄象たちとつくった

研業社=関根製糸所のあった場所です。


昨年、前橋市がつくった「研業社跡地」の碑を見に来たことを

ブログ(クリックすると読めます)に書きましたが、


Cimg5058 「研業社跡地」の碑


その後、同じ公園のなかに「関根町の由来」の碑がつくられたのです。


関根町の由来が古墳時代から書かれており、途中に


「明治八年には関根町の片原地区に研業社が開業され、

明治十三年当時の建坪は合計三百五十一坪と県下の器械製糸所では

富岡製糸所に次ぐ規模を誇っていた。」


とありました。

写真でみると壮麗ですばらしい建築です。

しかし、明治31年(1898)に火災にあい、惜しくも史料もろとも

すべて燃えてしまいました。



この地にたつと、まだ近代の扉がひらかれたばかりの明治はじめ、

ここで器械製糸の未来に大いなる夢を抱いて、

堅曹さん達兄弟姉妹が力をあわせ、事業をおこしていたんだ、

という思いでいっぱいになりました。

そして、姉の梅さんは研業社の中で明治21年に亡くなるのです、この地で。


速水家とはとても縁の深い場所なんだな、とあらためておもいました。


野町和嘉写真展 「地球巡礼」

2008-10-10 11:16:43 | 日記・エッセイ・コラム

横浜市栄区のJR本郷台駅前にある

「あーすぷらざ」(県立地球市民かながわプラザ)で行なわれている

野町和嘉(のまちかずよし)さんの写真展

「地球巡礼」を見てきました


家族に勧められ、イスラム教の聖地メッカを写したパンフレットの写真に惹かれ、

行ってきました。


Photo_4   Photo_5


                 写真展は10月13日まで。


野町和嘉さんはフリーの写真家です。

1972年からアフリカ、中東、チベットなどで

過酷な自然と向き合って生きる人々を撮り続けており、

1995年サウジアラビアからの依頼により、イスラムのメッカを撮影。


Photo_7 朝日新聞10月7日


イスラム教徒の祈りの姿は、圧倒的な迫力で見るものをひきつけます。

写真で現された人々の敬虔な信仰の営みはすべてが驚きでした。

彼ら13億人のイスラム教徒にとって世界の中心はメッカなのだと認識します。



また、野町氏は20代でサハラを訪れて以来、辺境の地で生きる人々の

厳しい自然と向き合いながらも文明を拒否し、自分たちの文化にこだわり、

強靭に生きる姿を写しています。


私の全く知らない世界でした。

こうやって生きている人々が、今この地球上にいる。

文明に毒されているといってもいいほどの便利な生活に

ドップリとつかってしまった自分では想像できない世界でした。

そこに暮らす人々のファインダーを真っ直ぐに見つめる目に、

たじろいでいる自分があります。



日本とアジアとヨーロッパ、アメリカ、などどいう

自分がなんとなく知っている地域のことしか描けずに、「世界」といっている私。


そうじゃないんだ地球は。

地球規模で考える、ということがどういうことなのか、

はじめて知らされたおもいです。


相棒Tさんの講演会

2008-10-03 23:44:20 | 勉強会、講演会

いつもお世話になっている相棒Tさんが講演をすることになりました。

Tさんの地元の図書館の文学講座です。

話される演題は、「富岡製糸場と和歌」です。



2回連続の講座です。

第1回目は

世界遺産登録運動をしている「富岡製糸場と絹産業遺産群」についての

説明からはいり、製糸場にある碑のなかの和歌などをとりあげるそうです。


第2回目は

速水堅曹のつくった富岡製糸場に関する和歌を取り上げてくださいます。


堅曹さんは当時の武士の心得だったのでしょうが、

事あるごとに和歌や漢詩、長歌などをつくり、書きとめています。

日記や自叙伝には多くの歌が載っており、その数およそ 90首。

製糸場の様子を歌ったものも数多くあります。


  私が好きな一首は

    世の人は知るか知らぬかとみおかの

             いとにぎはしき年のはじめを





相棒Tさんは、この春ごろから、ひとりでこれらの和歌をピックアップして

まとめていらっしゃいました。

歌だけ拾い上げた一覧は、それは見事で、通して読んでみると、

そこから堅曹さんの想いや気持ちが伝わってきます。

歌の力を感じました。


ちょうどそれが出来上がる頃、文学講座のお話をいただいたのです。

すぐに「富岡製糸場と和歌」ということで話すことにしたそうです。



詳細は下記のとおりです。

  日 時: 第1回 10月 8日(水) 午後1:30~3:30

         第2回 10月15日(水) 午後1:30~3:30

  場 所: 群馬県太田市立新田図書館 

  演 題: 「富岡製糸場と和歌」

  受講料: 無料

  問い合わせ先:

   太田市立新田図書館 

   〒370-0313 群馬県太田市新田反町町877

   ℡0276-57-2676



お近くの方は是非いらしてください。