いわゆる「第3期ディープ・パープル」の傑作です。
このアルバムからヴォーカリストとベーシストが交代していますが、それがパープルの新たなセールス・ポイントになっています。
つんざくようなハイ・トーン・ヴォイスの持ち主だったイアン・ギランに代わるデヴィッド・カヴァーデイルのヴォーカルは、R&Bの影響を受けたソウルフルなもので、とても個性的です。デヴィッドはマーヴィン・ゲイらのソウル・シンガーからも大きな影響を受けているそうですね。
新ベーシストは元トラピーズのグレン・ヒューズ。ヴォーカリストとしても評価が高いグレンの持ち味はイアン・ギランばりのシャウトです。ソウルフルなデヴィッドとメタリックで豪快なグレンとのツイン・ヴォーカルは、間違いなくパープル・サウンドに新たな風を送り込んでいます。
1曲目の「紫の炎」からボルテージは最高潮。
この曲のリフは実にスリリング。「スモーク・オン・ザ・ウォーター」などと並ぶハード・ロックの名曲です。当時のギター少年は大抵この曲のコピーにも挑んでいたのではないでしょうか。間奏部分にJ.S.バッハのコード進行が使われているというのも有名な話ですね。とくにジョン・ロードの弾くオルガン・ソロはとても美しく、強く印象に残ります。イアン・ペイスのドラムも溌剌としているし、デヴィッドとグレンのコーラス・ワークも曲に厚みを与えているし、とにかく、パープルのレパートリーの中では、三本の指に入るくらいの名曲ではないでしょうか。
この時期以降のライヴでは欠かせない「ユー・フール・ノー・ワン」と「ミストゥリーテッド」も注目曲ですね。
「ユー・フール・ノー・ワン」はドラムスの刻むスピーディーな16ビートがイントロです。テーマに突入するや、ふたりのヴォーカルの厚いコーラス、ギター、オルガン、ベース、ドラムスが一体の音の塊となって押し寄せてきます。まさに迫力満点。ライヴではよくこの曲でドラムがソロを取っています。
「ミストゥリーテッド」はパープル版ブルースだと言っていいのではないでしょうか。
いわゆるブルースのコード進行ではありませんが、この曲に込められた想いはまさにブルースでしょう。粘るような重いリズムに乗って、デヴィッドのどこまでもソウルフルなヴォーカルが冴えわたります。リッチーのギターもとてもヘヴィです。この曲の間奏はリッチーのギターの独壇場ですね。
後年、パープル解散後、リッチーが結成したレインボウも、デヴィッドが結成したホワイトスネイクも、この曲をレパートリーとしていたようです。ただし二人の考え方は正反対で、リッチーが「これはギターのための曲だ」と言っているのに対し、デヴィッドは「ヴォーカル曲に決まっているだろ」と反論していたそうです。
アルバムラストを飾る「"A"200」、インストゥルメンタルなんですが、これがまたカッコいい曲なんです。ギター・ソロがまさに鬼気迫る出来栄え。リッチーが縦横無尽に弾きまくっています。
もしも、数あるディープ・パープルのアルバムの中から3枚選べ、と言われたら、そうですね、やっぱり「ライヴ・イン・ジャパン」「マシン・ヘッド」と、この「紫の炎」になるでしょうか。でも「イン・ロック」や、ライヴでの「紫の炎」が収録されている「メイド・イン・ヨーロッパ」のど迫力も捨て難いんですよね。
◆紫の炎/Burn
■歌・演奏
ディープ・パープル/Deep Purple
■リリース
1974年2月15日
■プロデュース
ディープ・パープル/Deep Purple
■収録曲
[side A]
① 紫の炎/Burn (Blackmore, Lord, Paice, Coverdale, Hughes) ☆イギリス45位
② テイク・ユア・ライフ/Might Just Take Your Life (Blackmore, Lord, Paice, Coverdale, Hughes) ☆アメリカ91位
③ レイ・ダウン、ステイ・ダウン/Lay Down, Stay Down (Blackmore, Lord, Paice, Coverdale, Hughes)
④ セイル・アウェイ/Sail Away (Blackmore, Coverdale)
⑤ ユー・フール・ノー・ワン/You Fool No One (Blackmore, Lord, Paice, Coverdale, Hughes)
⑥ ホワッツ・ゴーイン・オン・ヒア/What's Goin' on Here (Blackmore, Lord, Paice, Coverdale, Hughes)
⑦ ミストゥリーテッド/Mistreated (Blackmore, Coverdale)
⑧ "A" 200/"A" 200 (Blackmore, Lord, Paice)
☆=シングル・カット
■録音メンバー
デヴィッド・カヴァーデイル/David Coverdale (lead-vocals)
ジョン・ロード/Jon Lord (keyboards, synthesizer)
リッチー・ブラックモア/Ritchie Blackmore (guitar)
グレン・ヒューズ/Glenn Hughes (bass, vocals)
イアン・ペイス/Ian Paice (drums)
■チャート最高位
1974年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)9位、イギリス3位、日本(オリコン)11位
1974年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)71位
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ウクレレ版バーン、想像するとなんかホノボノとしてそうですね~(^^)
僕もこの曲はコピーしましたよ、もちろんウクレレで(ウソです)
ぼくは「ミュージック・ライフ」派だったんですけど、ヘビメタ好きの友人は「BURRN!」を愛読してました。
>この雑誌のCM
これは見たことなかったです~ 地方には流れてなかったのかな。
ホワイトスネイクも大成功でしたね。でも80年代くらいまでしか聴いてないんですよ。当時のベストアルバムがあったはずなんで、探して聴いてみようかな~
おっと、過去形じゃなく今もあります。
Rがひとつ多いけど、この曲から来てることは間違いないでしょうね
この雑誌のCMにも使われていたくらいですから。
でびかば君はホワイトスネイクになってから、髪を染めて成功しましたね^^
>レインボーとイアン・ギラン・バンド
ディープ・パープルから派生した楽隊といえば、あとホワイトスネイクが有名ですね。
ハード・ロック好きの人なら、ディープ・パープルは一度は聴いているんじゃないでしょうか。
以前コメント入れていたので、今度はコッソリTB送らせて頂きました。ありがとうございます。(^^)
この記事を書くにあたって何度も繰り返して聴いてたんですが、そうなんです、曲もツブ揃いなんですよね。
>ツインボーカルは無敵
同感です。グレン・ヒューズって他のバンドでは充分リード・ヴォーカルが取れる歌い手ですもんね。タイプ的にはイアン・ギランを彷彿とさせるものがあって、カバーデイルと好一対を成しているのが面白い、と思いました。
そうです、ぶぁーんです。Nobさんの必須アイテムでしたか~(^^)
>バッハ、リッチー、インギーのトリオ
それに王様も加えて「四天王」としてはいかがでしょうか。あの「燃えろ~」というシャウトもなかなか良いですし~
>演奏画像
そうですよね、リッチーおとなしめでしたね~
まだステージが始まったばかりで、まだ暴れモードにスイッチが入ってなかったのでは、と思ってます。
パンタロンも懐かしいですが、ヒールの高いブーツも懐かしかったですね~
バーンばかりがクローズアップされますが、その他にも名曲ぞろいですよね!
イアン・ギランが大好きなのですが、ここでのカバデールとグレン・ヒューズのツインボーカルは無敵ですね!
3日に一度は聴いています。最早、生活必需品です!
やはり、バッハ、リッチー、インギーのトリオはたまりませんねん♪
でも、演奏画像は初めて見ました。 意外と冷静ですね。もっと暴れるのかと思ってましたが(笑)
何と言っても、パンタロン姿が懐かしすぎ!