ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

山下洋輔のエッセイ

2006年05月12日 | 見る聴く感じるその他
 
 ジャズ・ミュージシャンには文章のうまい人が多いような気がします。というか、この場合「面白い文章を書く人」と言った方がいいかもしれないですね。
 音で遊ぶことと、文章で遊ぶことは、共通したところが大きいんでしょうね。
 山下洋輔氏のエッセイなど、その最たるものだと思います。
 一時期はもうハマりまくって、片っ端から読んでいったなあ。
 山下洋輔と言えば、日本のジャズ・ピアニストを代表する存在でありながら、何冊もエッセイを出しているのは有名ですよね。たしか晶文社からだったと思うけれど、全集みたいなものまで出てるんですよね。


     


 子供の頃の思い出、音楽の世界の入ったなれそめ、ジャズ・マンとしての日常、ツアーの日々、音楽論、その他の山下氏が思うところなど、多岐にわたって書きまくっています。
 読み手を引きずり込むエネルギーのあるスピーディーな文体や、ケタ外れのギャグ、パロディ精神などは、まるで山下氏のピアノそのもの、という気がします。
 そのギャグはただのウケ狙いではなく、そこにはちょっと乾いたというか、陽性の狂気みたいなものがあって、そのあたり筒井康隆氏の文章を彷彿とさせたりするんだけど。
 単なるジャズ・マンの悪フザケをそのまま文章にした、といえば言えなくもない部分もありますけれどね。(;^ω^)
 でも、同じふざけるにしても、全力でフザケているから、山下氏の文章は面白いのだと思います。


     


 ところどころには、ミュージシャンとしての姿勢や哲学、音楽論などが出てきます。これらは、強烈なギャグでくるめられてはいますが、プロとしての姿勢を学ぶことができる貴重なものだったりします。
 また、ヨーロッパ・ツアーなどで出会ったさまざまな人たちとの係わり合いを通じた、人間というものに対する山下氏の温かい眼差しを感じ取ることもできます。


     


 理屈抜きにも楽しめるし、ひとりのミュージシャンの価値観を知ることもできるし、ケタ外れのギャグで笑わせてもくれるしで、リフレッシュしたい時には、今でも山下氏の数々の本を繰り返して読むことがあります。
 ミュージシャン流のギャグを味わいたい人、ジャズ・マンの実態を垣間見たい人、そして音楽と文章を愛する人にすすめたい本です。


人気blogランキングへ←クリックして下さいね  

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クリエイション (Creation) | トップ | マザー (Mother) »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (bugalu)
2006-05-13 01:03:54
私の場合、元々ツツイ・ファンであったというコトもありますが、ヤマシタ本は随分読みました。特に『ピアニストを笑え!』は何度読んだか分かりません。文章の面では、相当、影響を受けました。(既に、バレてると思いますが、ワタシのブログは、記事タイトルをはじめとして、かなりヤマシタ的な言い回しが多いデス。)



そう言えば、ハンプトン・ホーズの死について書いた文章がありましたね。乾いた感覚の文でしたが、心打つものでした。文章って、人間性が滲むんでしょうね。
返信する
bugaluさんこんばんは (MINAGI)
2006-05-13 03:14:27
ぼくが最初に読んだ本も「ピアニストを笑え!」でした。面白くて、ぼくもこの本、何度も何度も読みましたね。それから本屋さんで目にするたんびに「ヤマシタ本」を買いました。

山下氏のフリー・ジャズを聴き始めたのは本を読んでからなのですが、本を読んでいたことがいいウォーム・アップになったのか、ドシャメシャなフリー・ジャズだったにもかかわらず、結構面白く聴けてしまいました。



>ハンプトン・ホーズの死について

 ありましたね。普段はハジけた文章を書く人だけに、よけい心に沁みました。

 やはり書き手に人格がある以上、書くものにも人となりが出るのでしょうね。



 こちらからもTBさせて頂きました。
返信する
へぇ~ (hiro.)
2006-05-13 13:05:37
今度本屋さんで探してみよっと。

まずは、「ピアニストを笑え!」 ですね。
返信する
hiro.さんこんにちは (MINAGI)
2006-05-13 15:01:59
 そうですね、まずは「ピアニストを笑え」や、「ピアニストに御用心」あたりを探してみてください。文章には「山下パワー」全開です。新潮文庫から出てますよ。
返信する
Unknown (ひげ)
2006-05-14 02:34:07
高校時代、寮のジャズ好きの友人からすすめられて読んだのが始まりで、以来、大ファンです♪いや、ホント文章が面白い。才能ですね。
返信する
ひげさんこんばんは (MINAGI)
2006-05-14 04:37:21
 ひげさんも「ヤマシタ本ファン」でしたか(^^)

 文章は面白いうえに、読み手を「ヤマシタ中毒」にさせるなんらかの強烈なエネルギーに満ちてますよね。あんな文章書けたらいいな~、なんて思うこともあるんですけどね。(*´ー`*)
返信する

コメントを投稿

見る聴く感じるその他」カテゴリの最新記事