ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

レット・イット・ビー (Let It Be)

2005年05月30日 | 名曲

 レット・イット・ビー。
 言わずとしれた、ビートルズ名曲中の名曲。


 初めて人前でキーボードを弾いたのは「青い影」。
 そして、初めてピアノで弾くことのできた曲が、この「レット・イット・ビー」なのです。
 (もちろん簡単にアレンジしてもらいましたが)


     


 あれは忘れもしない小4の冬。
 学校帰りに誘われて行った友だちの家には、オーディオ・セット(当時は『コンポーネント・ステレオ』と呼ばれていました)がありました。
 「うちの兄ちゃんのレコード、聴かせてやろうか?」と言ってかけてくれたのが、『青盤』という愛称で知られた、後期ビートルズの2枚組ベスト・アルバムでした。
 夕陽でオレンジ一色に染まっていたその部屋にせつなくおごそかに響くピアノのイントロ。
 この瞬間、ぼくはそれまで音楽にほとんど興味がなかったにもかかわらず、「いつか必ずこの曲をピアノで弾いてみたい」と決心したのでした。
 この時聴いた曲が「レット・イット・ビー」です。
 そして、これが「ロック・ミュージック」というものに生まれて初めて触れた日でもありました。


 この体験は、今でもその情景をありありと思い浮かべられるくらい衝撃的だったわけです。
 おかげで一生音楽と離れられないだろう生活を送っています。
 シアワセなことだと思っています。


     


 そして中学3年の3学期。
 音楽の授業の最後の試験の内容は、「誰と組んでもいいから、好きな曲を演奏すること」。
 すぐさま友人K君を誘い、「レット・イット・ビー」をやることに決めました。 
 担当は、K君がリコーダーで、ぼくはピアノ。
 もちろんぼくはピアノなんか弾けません。
 田舎の中学のこと、ギターのコードをジャカジャカ弾くことのできるヤツすら学年で数人程度、ピアノを弾く男子なぞ皆無でしたが、レット・イット・ビーをやる以上、どうしてもピアノを弾きたかったのです。


 放課後、音楽の先生へお願いに行きました。
 「レット・イット・ビーをどうしても弾きたいんです。ピアノを教えてください」
 男子は音楽の授業というといつもふざけるばかり。その中のひとりだったぼくが放課後の職員室に現れたものだから、先生は最初不審げだったんですが、本気で頼むと快くOKしてくれました。
 「ただしビートルズのレコードどおりに弾くのは時間的にみてムリだから、簡単な方法を教えてあげる」
 たまたま姉が習っていたおかげで、家にはエレクトーンがありました。
 夜中にヘッドホンをつないで、結構練習を頑張ったんです。
 おかげで、最後の試験は無事に弾き終えることができました。


     


 「レット・イット・ビー」は、ビートルズの22枚目のオリジナル・シングル曲で、解散前に最後にリリースしたシングル・レコードです。
 ピアノを主体としたバラードです。
 歌詞の内容、曲調ともにゴスペル色が強く、厳かで、メロデイアスで、感動的な曲です。
 無人島に行くのに1曲だけ持って行っていいとしたら、あるいは残りの人生で1曲しか聞いてはならないことになったら、、、
 悩むでしょうが、ぼくはやっぱりこの曲を選ぶんじゃないかな。


 「レット・イット・ビー」にはアルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョンがあります。
 大きな違いは、ギター・ソロの内容、エンディング前のリフレインの回数、ストリングス等の有無、などです。
 ちなみにぼくはシングル・ヴァージョンのほうが大好きです。


 そして、この曲にも忘れられない大切な想い出があるんです。


 ぼくは、オンナのコを口説く時のBGMに この曲をよく使わせて頂きました。
 その意味でもポールには本当にお世話になりました。


     
     アルバム『レット・イット・ビー』



[歌 詞]
[大 意]


レット イット ビー/Let It Be
  ■歌・演奏
    ビートルズ/Beatles
  ■シングル・リリース
    イギリス・・・1970年3月6日  アメリカ・・・1970年3月11日  日本・・・・・1970年3月25日
  ■作詞・作曲 
    ジョン・レノン & ポール・マッカートニー/John Lennon & Paul McCartney
  ■プロデュース
    シングル・ヴァージョン・・・ジョージ・マーティン/George Martin
    アルバム・ヴァージョン・・・フィル・スペクター/Phil Spector
  ■録音メンバー
   [ ビートルズ (Beatles)]
    ポール・マッカートニー/Paul McCartney (lead-vocal, backing-vocals, piano, maracas)
    ジョン・レノン/John Lennon (backing-vocals, 6strings-bass)
    ジョージ・ハリスン/George Harrison (lead-guitar, backing-vocals)
    リンゴ・スター/Ringo Starr (drums)
   -・-・-・-・-・-・-・-・-
   [ ゲスト ]
    ビリー・プレストン/Billy Preston (organ, electric-piano)
  ■収録アルバム
    レット・イット・ビー/Let It Be (1970年)
    ザ・ビートルズ1967年~1970年/The Beatles 1967-1970 (1973年)
    パスト・マスターズVol.2/Past Masters Vol.2 (1988年)
  ■チャート最高位
    1970年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位、イギリス2位、日本(オリコン)6位
    1970年年間チャート アメリカ(ビルボード)9位



ビートルズ『Let It Be』


ポール・マッカートニー『Freedom~Let It Be』


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2 コメント

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Let it be (蟷螂の斧)
2017-06-24 18:16:54
僕はアルバム・ヴァージョンの方が好きです。ジョージ・ハリスンのギターがカッコいいです
まあ、このあたりは人それぞれ好みがあるので・・・

それと、このシングル盤B面「You know my name」も好きです。
アナログ時代、友人がアルバム「レアリティーズ」からダビングしてくれました。
最初聞いた時は「何じゃこりゃあ
でも妙に気に入ってしまいました

>オンナのコを口説く時のBGMに この曲をよく使わせて頂きました。

青春時代のそう言う思い出はいつまでも残りますよね
蟷螂の斧さん (皆木秀樹)
2017-07-02 17:59:37
「You Know My Name」は、中高生時代はなんてフザケた曲なんだ、と思ってましたし、ぼくらの間では格好の冗談のネタでしたが、今ではビートルズの音楽性の幅広さを表す曲だと思っています。
「Let It Be」、エンディングのリフレインの回数もアルバムとシングルでは違いますね。

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