【Live Information】
毎月第4月曜は、岡山市にある老舗ライブ・バー「ピアノ・バー」で演奏することになっている。
4月の第4月曜である28日の夜はあいにくの雨だったが、そんななかライブを聴きにきてくれたFくん。
まだ20代のころ、いっときは本当によくつるんでいたものだ。
当時はふたりともいろんな傷にまみれていて、それでもなんとか人生を立て直したいともがいていた。
なかなかのドラマーだったFくんとはいっしょにバンドを組んだり、夜中まで人生についてあれこれアツく語り合ったり、なけなしの金で買ったタバコを分け合ったり、という仲だった。
財布に残っていたのがたった300円という崖っぷちの状態だったが、パチンコ店で運試しして見事に終了させ、タバコを買い、Fくんの車にガソリンを入れ、遊びに行った、ということもあった。
ところが、ある約束を守れなかったぼくのせいで、そのことを境に顔を合わすことがなくなってしまった。
たまに彼のことを思い出すことはあったが、なんとなく月日は流れ、ぼくはぼくの、彼は彼の世界の中で一生懸命生きていた。
そのFくんが、その夜、20数年ぶりに会いにきてくれた。
たまたまぼくのライブ情報を知って、あちこち訪ねてくれていたそうだ。
ドラムはもう20年も叩いていないという。
共通の知人の消息をむさぼるように訊ねたが、兄のように思っていた、当時とてもお世話になった上司が、10年ほど前に自動車事故で亡くなったというのを聞いて、一瞬呼吸ができなくなってしまった。
Fくんは、演奏を聴いたあとで「また叩きたい」と言ってくれた。
また会うことを約束して、彼は帰っていった。
兄がわりだった上司の死、疎遠になっていた友人と再びつながったこと、そして彼の音楽生命の復活。
その友人がぼくのことを「自分の人生に少なからず影響を与えてくれた」と言ってくれたこと。
自分に起こるできごとはすべてつながっている。そしてそれらには意味がある。
きょうのできごとには意味があり、そこから何かを教わり、そのできごとが起点となって、未来に何かが実るのだ。
今夜のできごとはきっと思い出に残るだろう。
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