■作詞・作曲…ハーマン・フップフェルド
■1931年
■時のたつまま(As Time Goes By)
今頃になって暑さにバテていたりして、どんどん日にちだけが経ってしまいました。そういうわけで今日は「時のたつまま(「時の過ぎゆくままに」と訳す場合も多いです)について語ってみたいと思います。
「時のたつまま」は、ワーナー映画「カサブランカ」でとても有名になった曲ですが、もともとは1931年にレヴュー「エヴリバディズ・ウェルカム」で主演のフランシス・ウィリアムズが歌い、ルディー・ヴァレーのレコードがヒットしたものです。それが広く知れ渡るようになったのは、何と言っても、1942年に「カサブランカ」に使われてからでしょう。
時が経っても根本的なこと、つまり大切な男女の愛には変わりがない、というストレートな愛の歌です。
わけあって女(イングリッド・バーグマン)と別れたハンフリー・ボガートの経営する酒場に、ある夜、その当人のイングリッド・バーグマンが姿を現します。彼女の強引なリクエストによって、ドゥーリー・ウィルソン(役名サム)がこの「時のたつまま」を弾き語るのですが(ピアノはエリオット・カーペンターによる吹き替え)、ボガートの酒場では「禁じ手」となっているこの歌を歌ったサムを咎めに出てきたオーナーのボギーとイングリッドがここで「気まずい再会」を果たすわけです。
映画そのものも「名作」と言われるにふさわしいものだと思いますので、まだご覧になっていない方は秋の夜長に一度観てみられるのもいいのではないでしょうか。曲自体も大人びた雰囲気を醸し出していて、涼しげな秋の夜更けにピッタリのような気がします。
ちなみに、数多い名女優の中でぼくの好きなのは、オードリー・ヘップバーンと、このイングリッド・バーグマンなんです。(ちょっと古すぎ・・・)
多くのシンガーやプレイヤーがこの曲のMCではほとんど「カサブランカ」を引き合いに出します。そういうこともあって、ぼくも「カサブランカ」に収録されているのが「時のたつまま」のオリジナルだ、とばっかり思ってました。
比較的単純なハーモニーに、ストレートな愛の詞。素直に歌われた名曲でありますが、これをスタンダードにしたのはやはり映画「カサブランカ」の功によるものでしょう。
この歌も、ローズマリー・クルーニー、カーメン・マクレエ、ニルソンやバーブラ・ストライサンドなど多くのミュージシャンによって取り上げられていますが、これらの中では「ドゥーリー・ウィルソンの歌でキマリ!」とする熱心なファンが多いそうです。その技巧を越えた味は、ハンフリー・ボガートをして「それをサム(ドゥーリーのことですね)のように上手く歌う者はいない」と言わしめたほどです。
[歌 詞]
[大 意]
覚えていて下さい
キスはキス ため息はため息
時が経っても根本的なことは変わりがありません
恋人は「愛している」と言います
月の光も恋の歌も時代遅れとはならず
情熱、嫉妬、憎しみも変わりません
女は男を、男は女を求めるのです・・・。