ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

もう一つの物語

2020年12月01日 17時36分28秒 | 本の中から
西洋の文学の原点は『イーリアス』と『オデュッセイア』
共に盲目の吟遊詩人ホメロスの作とされている。
『イーリアス』きっと西洋文学の主流。
そして『オデュッセイア』は西洋文学の傍流。
そしてこの傍流が西洋文学を豊かに楽しくしている。
なんせ主流よりも傍流にいつも魅かれている人間。
いつも主流になれなくてあっちにふらふらこっちにふらふら生きてきた。
でも今ではそれでよかったと思っている。
そうそう自分なりに楽しい人生を送ってきたのだ。

そう、主流の『イーリアス』のことは置いといて、傍流の話。
『イーリアス』の世界の話。
『イーリアス』の世界だけでなく『オデュッセイア』の世界も受け継がれてきた。『オデュッセイア』
アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの(正統派の)ギリシャ3大悲劇詩人だけでなく、異端の喜劇詩人アリストファネスを産んだ。
あの空想の世界!鳥の国やソクラテスが雲に乗ったり、
長年続く戦乱に業を煮やした女性たちが立ち上がり、セックスレスを実行してたちまち世の男たちは降参し平和が実現する。
こんな空想の世界、それがどれほど、古代ギリシャを魅力的にしただろう。
さらにはルキアノスの「本当の話」!
ギリシャの魅力は尽きない。
その後西洋ではルネサンス期に入りラブレーの『ガルガンチュワとパンタグリュエル物語』やスウィフトの『ガリヴァー旅行記』の世界。
さらには「指輪物語」や「ハリス・ポッター」の世界。
こんな楽しい世界が日本文学にはない?
それがとっても寂しかった。
最近日本の戦記物語をいろいろ読んで特にそのさみしさを感じた。
確かに日本の戦記物語の頂点、「平家物語」はとっても素晴らしい!
きっとホメロスに匹敵する作者はいたのだろう。
でもその後多くの盲目の琵琶法師によって語り継がれ洗練されてきた平家物語。
この日本の『イーリアス』だけでなく、
日本の『オデュッセイア』はないのだろうか?!
それがとっても残念だった。
ところが軍記物語をいろいろ読んだ後、ふと気になって御伽草子の「御曹子島渡」を読んだら、これこそまさに日本の『オデュッセイア』。
義経が衣川の戦を逃れ北の島々を逃避行する。
小人島、大人島、裸人の島、アマゾネス・女人だけに女護ヶ島・・・
この島々のイメージは北ではなく、南の島々。
でもこの御伽草子ができたころは室町時代、義経人気にあやかってこの草紙を書いたのだろう。
これじゃ衣川の北、北しか行くほかないよね。
この「御曹子島渡」、とっても面白いと思ったけど、
残念ながら短編。
もっと力量のある作者がこの数十倍の枚数で書いたら・・・
『オデュッセイア』に匹敵する小説になったのに・・・と残念でたまらない。
さらには同じ御伽草子の中で、「梵天国」これはさらに面白い!
そうそう日本にもあったんだよ『オデュッセイア』が。
そしてそれは今も続いている。
パソコンゲームの「ドラゴン・クエスト」や「ファイナル・ファンタジー」に。

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