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ダニエル・ユイエ&ジャン=マリー・ストローブ監督『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』

2023-05-21 09:44:04 | 日記
 ダニエル・ユイエ&ジャン=マリー・ストローブ監督・脚本・編集の1967年作品『アンナ・マクダレーナ・バッハの年代記』をDVDで観ました。

 サイト「映画.com」の「解説」に一部加筆修正させていただくと
「二番目の妻アンナ・マグダレーナ・バッハの目から見たヨハン・セバスチャン・バッハの生涯を描く。監督・脚本はジャン・マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ夫妻、撮影はウーゴ・ピッコーネ、サヴェリオ・ディアマンテ、ジョヴァンニ・カンファレッリ、音楽はレオ・レオニウスが担当。出演はグスタフ・レオンハルト、クリスチアーネ・ラング・ドレヴァンツなど。映画はわずか100足らずのショットによって構成されている。画面に現れるのは演奏する音楽家たちだけで、アンナ・マグダレーナ(クリスチアーネ・ラング・ドレヴァンツ)のナレーションによってバッハ(グスタフ・レオンハルト)の35歳から、死までが語られる。画面で演奏されるバッハの作品は<ブランデンブルク協奏曲第5番BWV1050第一楽章アレーグロ><「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」より第8プレリュードBWV854><メヌエット・フランス組曲第1番第6曲BWV812><ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第2番BWV1208第1楽章アダージョ><オルガン・トリオ第2番BWB526第2楽章ラルゴ><マニフィカトBWV243第11・12曲><テンポ・ディ・ガボックパルティータ第6番第6曲BWV830><カンタータ第265番「破れ、砕け、こぼて」BWV205第2、3曲バス・レチタティーヴォとアリア><カンタータ第198番「候妃よ、さらに一条の光を」BWV198終結合唱><ケーテン候葬送音楽BWV244 ソプラノ・アリア><マタイ受難曲BWV244冒頭合唱><カンタータ第42番「この同じ安息日の夕」BWV42冒頭シンフォニーアとテノール・レチタティーヴォ>他全24曲。1972年、アンナ・マグダレーナは、バッハの2度目の妻として迎え入れられる。それから29年後の1756年に死ぬまでの間のバッハの創造的苦悩、家庭でのアンナや子供たちへの態度が、これらの音楽の作曲された年月にそって語られる。」
 また別のサイトでは「一体どんな魔法を使ったのかと疑いたくなるくらい立体感のあるショット。そして鬼気迫るバッハの演奏。じっと目を凝らし耳を澄ませているうちに、画面の内側へ引き摺り込まれていきそうになる。しかし完全に引き摺り込まれる寸前で透明な壁が我々の侵犯を阻む。というのも、カメラの視点が常に人ならざる位置にあるからだ。部屋の隅や、観客と演者の中間や、床すれすれの低地といった亜空間から、カメラは作中のできごとを淡々と記述していく。画面の立体感と音楽の臨場感にグワーっと引き込まれかけた瞬間、今度はカメラの徹底したフィクション性に押し戻されるのだ。接近と離隔のアンビバレンスを慎重に綱渡りしていくような緊張感が絶えずつきまとう。したがって本作を見るにあたっては不断の集中力が必要不可欠となる。いったん綱から落ちてしまうとすぐさま退屈に襲われる。私もかなり危なかった。」

 楽器の演奏と歌曲が歌われた後、若い女性の声のナレーションが入り、また楽器の演奏と歌曲が歌われた後、若い女性の声のナレーション、という構造になっていました。

サッシャ・ギトリ監督『カドリーユ』

2023-05-20 09:20:06 | 日記


 サッシャ・ギトリ監督・主演・脚本の1938年『カドリーユ』のDVDを観ました。

 DVD━BOXのリフレットの文章を転載させていただくと、
「パリ=ソワール紙の編集発行人フィリップ(ギトリ)は、人気舞台女優ポーレット(モルレー)と、6年間同棲生活を続けていた。ポーレットには女友だちがいる。実際家で進取の気性に富んだ記者クロディーヌ(ドリュパック)だ。
 フィリップはクローディーヌに、ポーレットにプロボーズするつもりだと秘かに明かす。
 取材当日、パリに到着して間もないハリウッドの若手人気俳優カール・ヘリクソン(グレイ)は、宿泊先であるホテルの喫茶室にいたポーレットに目を留め、サインをねだる。
 カールに取材をしたフィリップは、返礼としてポーレットが主演する芝居のボックス席を彼に提供する。主演女優が以前出会った女性であることに気づいたカールは楽屋にポーレットを訪ね、誘惑をし始める。
 ポーレットはカールの魅力に屈して、彼と一夜を共にしてしまう。そのことを知ったフィリップは、腹を立て悲しむ。その後二人は、いったん和解し、よりを戻すのだが、カールがロンドンに発った後、やはりポーレットの浮気に腹を立てたフィリップはカールが滞在していたリッツ・ホテルにポーレットの荷物を送る。
 絶望したポーレットは薬物による自殺を試むが、クローディーヌに発見され、一命をとどめる。そこへカールが戻ると、ポーレットはカールとハリウッドへ行くために旅立ち、残されたフィリップとクローディーヌも結婚すべくホテルを後にする。」

 ここでもギトリのマシンガン・トーク炸裂でした。

サッシャ・ギトリ監督『デジレ』

2023-05-19 07:05:19 | 日記


 サッシャ・ギトリ監督・主演の1937年作品『デジレ』をDVDで観ました。

 DVD━BOXのリフレットの文章を転載させていただくと、
「政府閣僚フェリクスの情婦である女優オデット(ドリュパック)の家には料理人アデル(カルトン)、女中マドレーヌ(アルレッティ)、お抱え運転手が揃っているが、従者が欠けていた。
 オデットがフェリクスとドーヴィルへ小旅行に行く前日、強壮でおしゃべりな男デジレ(ギトリ)が彼女の家を訪れる。従者として雇ってもらうためだ。オデットがデジレの以前の雇い主である伯爵夫人に電話して、かれの素行に問題がないかどうか尋ねると、伯爵夫人は不穏当なほのめかしをする。にもかかわらず、オデットはデジレを雇い入れる。
 デジレが雇用された後、しばらくの間は主人と使用人たちの関係も含めて何もかもうまくいっていた。だがやがて、デジレがオデットに密かに想いを寄せている事実がマドレーヌやアデルにバレてしまう。原因はデジレの寝言だった。ところがオデットの方も毎晩デジレに誘惑される夢を見てうなされており、彼女の寝言を聴いたフェリクスを嫉妬させるのだった。
 デジレはその事実を知って、オデットの元を去るのだった。」

 この映画も見事な会話劇になっていました。

サッシャ・ギトリ監督『夢を見ましょう』

2023-05-18 08:17:03 | 日記


 サッシャ・ギトリ監督・主演の1936年作品『夢を見ましょう』をDVDで観ました。

 DVD━BOXのリフレットから転載させていただくと、
「ある魅力的な人妻(ドリュパック)が、彼女の夫(レイミュ)━━少々卑劣な男━━と共に、富裕な弁護士(ギトリ)が自宅で催すパーティに招待される。夫妻が到着すると、奇妙なことにホストの弁護士は不在だった。気短な夫は、仕事の約束があるんだと言いながらいらだって悪態をつく。仕事の約束など口実に過ぎないと気づいている妻は、夫を帰らせることにする。
 夫が出て行ったあと、隣の浴室に身を潜めて夫婦のやり取りの一部始終を聴いていた弁護士と、夜9時に姿をあらわし、彼女に愛を告白する。人妻はこの弁護士と、夜9時に彼の自宅で密会する約束をする。
 約束の時間をとうに過ぎた時点でようやく姿をあらわした人妻と、弁護士は一夜を共にしてしまう。
 翌朝、自分たちのしでかしたことに動揺する二人のもとを、突然夫が訪れる、人妻はあわてて隣室に隠れ、弁護士はそしらぬ顔で夫の相手をする。すると、夫の方も昨晩は外泊して浮気をしていたと告白。夫は、浮気相手の露見を防ぐ妙案はないものか、と弁護士に相談するのだった。」

 主人公の弁護士がずっと話続ける映画でした。

サッシャ・ギトリ監督『とらんぷ譚』

2023-05-17 07:12:44 | 日記
 サッシャ・ギトリ監督・主演の1936年作品『とらんぷ譚』をDVDで観ました。フランソワ・トリュフォーが激賞していた作品です。
 とあるカフェで、一人の中年男性が半生を回想し執筆しながら語りはじめる。
 幼い頃12人の大家族の中で育った主人公は、ある日8ペニーを盗んだため、父からきのこ料理を食べることを禁止される。ところがそのきのこは毒きのこだったため、主人公以外の11人の家族は皆死んでしまい、一人12歳で残された主人公は伯父夫婦に引き取られる。
 薄情な伯父夫婦と暮らすのにうんざしした主人公は、家を出てホテルのボーイとして働き出す。そしてモナコを訪れた主人公は、カジノの魅力に溺れる。
 その後、第一次世界大戦に徴兵され、負傷するが命は助かる。
 ある日、食堂で出会った女性と意気投合した主人公は、彼女から宝石泥棒の話を持ちかけられる。まんまと宝石商をだまして、指環を手にする二人。彼らは宝石商を後にして、車で去る。そして二人は結婚する。
 しかしこの結婚は形だけのものだった。彼らはすぐに離婚し、主人公はモナコに戻り、ルーレットのディーラーの仕事を得る。やがて変装して客としてカジノを訪れるようになった主人公は、いかさま勝負で、大儲けをする。
 そしてある日、彼のルーレットに、第一次世界大戦のときに自分の腕を失いながらも主人公の命を救った男が現われる。主人公は男に話をし、感謝の言葉を語る。
 そしてここまで回想録を書いた主人公の元へ、年配の婦人が訪れ、カフェの正面にある家から一緒に宝石泥棒をすることを提案するが、主人公は二つの理由から、その誘いを断る。一つ目はその家が自分のものであること、二つ目は現在の自分は警察官であることを述べる。そして回想録は書き終わられる。

 すべてナレーションで語られていく映画で、その軽妙洒脱な語りはとても魅力的なものでした。蓮實重彦氏の語るところによれば「受話器があればそれを握っただけで、男の色気を漂わせ、いったん女性と向かい合うと、小津に劣らぬ大胆な意図的間違いで見るものを魅了するギトリは、文字通りコメディーの王様である。必見!」だそうです。