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キン・フー監督『大酔侠』その4

2018-07-21 06:48:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 歌「雨風の日も晴れの日も」。ファン「兄弟子」大師「随分久しぶりだな」「避けようのない宿命が」「未だに物乞いを?」「罰当たりな僧侶より物乞いの方がまし」「修行は積んでいる」「師匠の血で染めた袈裟だろ?」「師匠の竹竿は?」「あれは一門の長の証(あかし)だ」「私は青竹派の一番弟子だぞ」「私は師匠の後継者に指名された。青竹派の一切は私が取り仕切る。門下に非道の行いがあれば、親しい相手でも容赦しない」「この私でもか?」「あなたが“青竹の竿”を見るのは死ぬ時だ」「この私を殺す気か?」「師匠の敵討ちだ」「それが師の遺言なら何をためらう?」「あなたには恩義もある」。笑う大師。「だが恩知らずだ。くどくど言わず、青竹の竿を渡せ。命は助けてやる。嫌なら戦うまでだ。お前の命は私が握っている」「3日待ってくれ」「逃げるのか?」「役人を奪回する約束がある」「この期に及んで何を?」「すぐ片付ける。手出しは無用」「誰が手など出すか」「決着は3日後に」「逃げるなよ。3日だけ待ってやる」
 人質の交換。首領が入れられている檻の下にファンが貼り付いている。ファンが檻を転がすと、坂を転がって総督府の者たちの方に戻っていく。大師「何のマネだ? 名の知れた武術家が裏切るつもりか?」「人に頼まれて。許してくれ」「こいつ、ふざけるな!」玉「ここはあなたの顔を立てよう。だが今後は手を引いてほしい」大師「この恩忘れめ」(中略)。
 総督府の一行。丘の上から放たれる矢。チン「駕籠を守れ。兄上、ご無事か?」「大丈夫だ」。丘の上から無数の岩が転がり落ちて来る。下敷きになって死ぬ総督府の者たち。「矢を射させるな」玉「射るな。やめろ」。チン「前方を確認する。ダメだ。袋のネズミだ」玉「回り込もう。首領を守れ」。「賊が消えました」チン「待ってろ。確認する」。「かかれ」の声で賊たちが斬り込む。乱闘。玉「護送車を奪え」。乱闘。玉「撤退だ」チン「追え」。飛刀。「罪人は?」「向こうへ」。飛刀。チン、味方に「下がれ」。一人で次々に敵を倒し、最後は玉と一騎打ちに。(中略)大師「それより物乞いは?」チン「ではお前が兄弟子か?」。うなずく大師。大師「邪魔をするな」。大師がファンの腹を剣で刺しても、ファンは平気。大師の短剣も折る。ファン「あの世に送ってやる」チン「先達、逃げろ」大師「竹竿を渡しに来たのか?」「打開策を考えた。青竹派を抜けて遠方に去れ。過去は忘れよう」「お前、死にたいのか?」「行け、早く」。大師、手からガスを放出。大師とファンの一騎打ちに。ファンは気で大師を圧倒し、大師は力尽く。大師「私の負けだ。殺すなら殺せ。駆け引きはしない。情けは無用」「これが最後の情けだ。よく聞け。山中に隠れろ。名を変えてやり直せ。従わなければ、今度会った時遠慮なく剣を振ろう。どうだ?」。うなずく大師。
 滝の家。飛刀。ガスを放出する大師。剣を交えるファンと大師。大師「これで失礼する」ファン「逃がすか」。ガス対ガスの一騎打ち。お互い顔が血だらけ。大師が柱を斬ると、家が崩れる。あらかじめ逃れていた大師の前に、崩れた家の中からファンが現れる。ファンは大師の顔に酒を吹きかけ、大師がひるんだすきに大師の体に槍を刺す。
 チンと長官を送るファン。「お気をつけて」。映画は終わる。

 殺陣が迫力満点でした。劇的な効果を高める音楽の使い方も面白かったと思います。キン・フー監督作品としては『侠女』と『残酷ドラゴン・血斗竜門の宿』を見て、その詳しいあらすじを書いたのですが、いつの間にかデスクトップから消えてしまいました。どちらも素晴らしい“武闘”映画だったことを書き記しておきたいと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。また、この2人について何らかの情報を知っている方も、以下のメールで情報をお送りください。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)

キン・フー監督『大酔侠』その3

2018-07-20 05:05:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 林を逃げるチン。追っ手をかわし、木の根元で失神するチン。
 目覚めると、滝のそばに作られた家。“酔いどれ猫”「まだ寝てなきゃダメだ」「よくも」「何のマネだ」「全部お前が仕組んだ罠だったのか?」「“お前”と呼ぶか? “先達”だったのが同格になった」「尊敬に価しない。ただの酔いどれだ」「言った通りだ。ケンカっ早いと注意したはず。腕を過信してすぐ争う。自業自得だ。お前さんの欠点はすぐ怒ることだ。解毒しよう」「ほっといて」。風景がぼやける。チンが倒れるのを抱きとめる“よいどれ猫”。ゆっくりと寝かせる。
 「毒針が当たって動けるはずがない」「付近の村も探しました」「黙れ。あんな小娘一人に手を焼いて、世間の笑い者だ。あの女を捕えたら…」「うるさい。タオルー、お前が探せ。見つけるまで戻ろう」。
 「まずいな。治療方法は一つだけ。毒を吸い出すしかない」。うなだれるチン。棒を握るチン。「もう大丈夫だ」。横たわるチン。鍋を火にかける“酔いどれ猫”。
 朝もや。チンにおかゆを食べさせていると、「“酔いどれ猫”、役得だな」「お話なら中で」「構うな」チン「ケガ人につけ込む気?」「おい待てよ。見舞いに来たのに、あんまりだ。お嬢さんをお連れして」「寄るな」「黙れ」「傷が治るまでご容赦を」「口を出すな、どけ」。“酔いどれ猫”おかゆを相手の顔へ。ひるむ相手。「よくも」「失せろ」。チンに「休んでろ、死にたいのか?」。相手の一斉攻撃に逆襲し全滅させる“酔いどれ猫”。
 車輪。布の下から手。玉「私に何の用だ?」「遺体をお届けに」「遺体?」「ご確認を」「誰の指図だ?」「駄賃を。この炎天下に運んできたんだ」「こいつ、どこで見つけた?」「林の中で」「死者がしゃべったのか?」「知ってた」「林の中で何が?」「若い娘と戦っていた」「本当か? ほかには?」「駄賃もらう」「話せ!」「林を歩いていたらこの人たちが娘と戦っていた。その娘がこうするとみんな死んだ。本当に驚いたよ」「奴だ」「その娘が死体を届けろと。銀5両は褒美が出るって言っていた。なのに…」「待て。5両やろう。娘の話をしてくれ」「どうも。毒は大したことはないと言ってた。ご安心を」「他には何を?」「確か名前に燕がついていた」「そうだ」「取引の返事は俺にしてくれって。帰ろう。降ろすよ」と死体を車から降ろす。「その娘はどこにいる?」「明日会う」「どこで?」「決めてない。俺を探すって」。“酔いどれ猫”、去る。玉「奴を見張れ。子供は追い出せ」「腹ペコだ」「黙れ」「食わせろ」「住職に供養を」。
 夜。「あの娘が言ってた取引って何のことだ?」「余計なことを聞くな」「リャオコン大師がお戻りです」「お出迎えを」(中略)「あの大師って何者です?」「お前には関係ない」。
 出迎える一同。「遺体の状態は?」「胸に穴が。刀傷ではないようです」「傷を確かめる」。棺を開ける大師。「小娘のワザじゃない」「では誰が?」「運んできた男は竹竿を手に?」「はい」「“灯台下暗し”とはこのこと」「奴をご存知で?」「捜していた相手だ」「どういった間柄で?」「弟弟子だ」「では大変失礼を。腕の立つ者には見えなかったので」「奴は達人の域に達してる。だが、この私に比べれば少し劣るが」「あの方の本名は?」「ファン・ペイだ。酒を飲み道化のフリをしている。またの名を酔侠と言う」。笑う大師。「殺したのは奴だ」「では何かの誤解で?」「誤解? 師匠が亡くなる時、奴は相伝の竹竿を盗み、後継者と称した。一門の大敵だ。必ず奴を倒し、竹竿を奪回する」「奴は?」「奥の院で捕えろ」。
 ファンの家に押し入る賊。「どうした? あの男は?」「逃げた」「逃がさんぞ」。
 夜。滝に向って座禅をするファン。チン「何か食べないと」。首を振るファン。「戻ってからため息ばかり。何かあったのでしょう?」「もう十分だ」「大丈夫。後のことは自分で対処する」「お前には無理だ。」(中略)酒を飲むファン。(中略)「命運も尽きた」「書院で一体何が?」「兄弟のリャオコンがいた」「なら協力を頼めば?」「同門とは言え、敵同士だ。奴は一門を乗っ取るため、師匠を暗殺した。再会すれば死闘は避けられん」「その相手がなぜ賊と?」「悪党同士手を組んだんだろう」「ならそいつも捕まえて裁かねば」「奴は武術を極めている。恐らく俺も及ばん。奴には恩義もある。10年前、孤児だった俺を師匠に会わせてくれた。その負い目から避けて来た」「それなら手助けは不要。一人でやるわ」「お嬢さん、待つんだ。兄上を救うには首領を釈放することだ」「賊との妥協など父も許さない」「父上には相談せずに釈放しろ。罪人は取り返す」。(また明日へ続きます……)

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P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。また、この2人について何らかの情報を知っている方も、以下のメールで情報をお送りください。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)

キン・フー監督『大酔侠』その2

2018-07-19 05:44:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 僧侶「寺院に役人を監禁したりして問題が起きたら困ります」「うるさい」「だがこの寺の住職としてはあなた方が…」「我々は客だ」「もちろん」「リャオコン大師も不在だ。いつ戻られる?」「数日で戻ると。それまでの間どうか騒ぎを起こさずに。もし…」。障子越しに毒針を放つ男。目に命中し、泣き叫ぶ子。「待て、殺すな。寺の小坊主だ」僧侶「大丈夫か? しっかりしろ。お願いです。手当を」「あきらめろ。それは毒針だ」「どうかご慈悲を。解毒薬を」「慈悲をかけてやれ」。子の腹に剣を一突き。血がほとばしる。「なんてことを。むごすぎる」「弟子を近づけるなと警告したはず。次はお前も許さん。ラオウー、夜は長い。宿屋から奴を捕まえて来い」。
 雨は上がる。枕の下に2つの短剣を隠すチン。髪もほどく。扉の鍵が開けられる音。灯を消し「誰だ?」「俺だよ」と指の男。「何の用?」「眠れないんだよ。飲もう」「酔ってるな。出てけ(中略)」「せっかく酒を」。指の男、出ていく。短剣がなくなっている。1階で飲んでいる指の男に「おい、剣を返せ」。1階に飛んで降りると、男は飛んで2階に。屋根の上をポンポンと飛んで逃げる男と追うチン。やがて橋の欄干に短剣と帽子が。(中略)部屋に戻ると、窓から男たちが侵入している。「いないぞ」。チンの飛刀を受け、「逃げろ」。
 朝。指の男、子供たちを従え歌う。「竹ざおは細くて長い。南へ北へと流浪して、雨風の日も晴れの日も施しを請うて回り歩く♪回り歩く♪世の中は移ろいやすい。出世や栄達など望みはしない。富や名声にも興味はない。やめられないのは般若湯♪般若湯だよ♪どんな種類の酒だって一杯飲めば心も晴れる。憂いも全てかき消える。瓢箪の中身は情に厚い♪とっても情に厚い♪」。「つたない歌で失礼しました」「酒代には足りないよ」「飲まないさ」「肉は食べられる?」「無理よ」「食べたいな」「ダメ」「よし、肉を食おう。頼む」「何にします?」「肉みそ一皿とお焼きを」「いや取り消す。大根の塩漬けに、それと酒を」「金はいらない。ツケでいいよ」「ダメだよ。前のツケも返していない」「賢い子だ」。チン「先達、お陰様で昨夜は助かりました」「何のことだ? カネは足りたか?」「先達を追わなければ賊に襲われてました」「覚えてないな。ジャージャー麺食おう」「先達のお尊名は?」「“酔いどれ猫”だ」。一堂笑う。「絶対麺も食おう」。
 “酔いどれ猫”「カネあるか?」チン「お金? あります。酒代を」「もらう訳にはいかない。歌うから気に入ったら多めに払ってくれ。座って」。「山上に賊が出て、お役人をさらった。昼に奪い闇に隠す。届いたのは書状。届いた書状をご覧あれ。黄金も銀も要らぬ。望みは人質交換のみ。総督府では大慌て。ツバメが一羽飛び来たる♪ツバメが一羽飛び来たる♪」。(中略)チン「先達、お礼を」「ありがとう」(中略)「お察しの通りです。ぜひ助言を」「何の話です? ツケを清算してくれ。残りは預けとく」番頭「気前がいいな」「実は…兄の行方が知れず焦っております。監禁場所もご存知なのでは?」「若いのにクドい奴だ」「何とぞお導きを」「知ったことか」。歌「点に横棒長く、南に向かってはらい、十字が十字に向き合い、日と月が居並ぶ♪」。部屋に戻るチン。歌の意味が分かる。
 “廟”。チン、駕籠で着く。駕籠かき「お嬢さん、くれぐれも気をつけて」「どうして?」「いえ、別に…」。慎重に進むチン。占いをしていると、男「願い事なら仏像より私にするがいい。必ずかなえてやる。お嬢さん、お待ちを。二人きりでゆっくりと精進料理など」「初対面なのに失礼よ」。男、剣を抜き、「イエンツ、また会えたな。お前を探していた」“笑う虎”「前回はまんまとやられたが、今回は逃がさん」「全員揃ったな」。男が扇を開くと門が閉まる。飛針を防ぐチン。乱闘。男「よせ。神聖な場所だ。殺生など許されぬ」「罪人は捕える。争わず手を結ぶのが得策だ。酒でも飲みながら話し合おう。(中略)兄の命より逮捕を優先するのか?」「何者だ?」「その目は節穴だな。私が分からんか?」「“玉面虎”か?」うなずき、「奥で話をしよう」「有名な極悪人だな。だが過ちを認めて自首するなら寛大な処分を将軍に願い出てやる」“笑う虎”「美男子は得だ。一目で寛大な処分ときた」。一堂笑う。「ご厚情に感謝する。お前の兄は我が手中にある。いずれはお前の身も」「愚かなことを。たわごとは止めて勝負だ」「本気なんだな。お手並み拝見だ」。一騎打ちするチンと玉。やがて乱闘に。舞台は屋外へ。玉「下がれ」。また一騎打ち。服を斬られ「戦いやすくなったぜ」と玉。顔に血。“よいどれ猫”のまいた石に足を滑らせる玉。毒針を受けてしまうチンは逃げる。玉「追え。じき倒れる。林から拾って来い」。(また明日へ続きます……)

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キン・フー監督『大酔侠』その1

2018-07-18 05:24:00 | ノンジャンル
 WOWOWシネマで、キン・フー監督・共同脚本・編集の’66年作品『大酔侠』を見ました。
 罪人を運ぶ行列。立ちはだかる男。「おい、そこをどけ。何だ?」「長官に書状を」。「命が惜しくば首領を釈放せよ」の文。「長官に直接お話を」。乱闘が始まる。丘の上の弓矢隊に囲まれる行列。逃げ出す馬。部下は皆殺し。男「長官、お出ましを」。
 縛りあがられ、吊るされる長官。男「俺たちの首領は?」と長官の腹を突く。失神した長官に水を浴びせる。「首領をどうする気だ? 言え」「処刑する」「やめろ。将軍に手紙を書け。首領と引き換えにお前を釈放する。お互いに損はない」「私は司法官だ。保身のために法は曲げない。まして将軍は江南地域の総督だ。脅しなど通じない。殺したければ殺せ」「チャン長官、総督はお前の父親だ。我が子を見殺しにはできないはず」「父は法に忠実だ。賊と取引はしない。私を解放して降伏しろ。私怨で裁いたりは決してしない」。長官、床に落とされて、また失神。「偉そうな口をきくな。いいか。総督に手紙を書け。人質交換の交渉役も呼べ。5日で来なければ、こいつを殺してから総督府を襲撃しよう」「軍隊が奪回に来ると面倒だ」「人質がいるんだぞ。手は出せまい」「だが金燕子(チン・イエンツ)が来たら?」「“金のツバメ”とは?」「首領を捕えた奴だ」「是非会ってみたい」。
 村。雷鳴。女が食堂に入っていく。稲光。女、周りの様子をうかがう。「頼む」「ご注文は?」「虎の骨入りの酒を」「虎ですか?」「あるか?」「いいえ」「なら何か酒とつまみを」「はい」。2人の男、入って来る。「ご苦労だった」「怪しいのはあいつです」と女を指す。男が扇子を開くと皆立ち上がる。(中略)剣が女に飛んでくる。次いで短剣も。「大変だ」女「おい、早く酒を」「ただ今」。帽子を取る女。男、お銚子を取り、おちょこに注ぐ。女「どうも」「なんの。お若い方、ご商売は?」「総督府の者だ」「お役人か。これは失礼。こちらへはご公務で?」「お前に会いに」「私に?」「“笑う虎”だろ?」「ああ、そうだ」「お前の手紙だな」「確かに。詳細は直接申し上げる」「話せ」「チャン長官の件だ」「そのために来た」「我々の首領が総督府に捕まっている。恩赦により釈放してくれれば、人質は解放する」「断ったら?」「断れば人質の命はない」「殺したら大罪だ」「それより首領を釈放するか?」「大罪人だ。処罰する」「チャン長官は総督の息子だぞ」「私の兄だ」。皆、驚く。「話は終わりだ。よく考えろ」。他の男「どうだった?」。箸を折る“笑う虎”。「あいつめ、殺すか?」。手を振り、首で合図する“笑う虎”。別の男「おい、酒を寄越せ」「行くぞ」。酒樽を女めがけて投げると、女の手で注文者のところへ着く。別の男「なんだ、もう酔ったのか? 罰金だ」「ああ、俺がおごる」。銭をまた女の方に投げると、箸で全ての銭を受け、天井に刺さった箸から銭が机の上に落ちて来る。「立ってないで座れ」。イスを女に投げると、また女が手で方向を変える。「飲み代なら俺が払う」「俺も出そう」。女の背後から銭を投げると、また箸で受ける。女に「お若いの。金を返せよ」「取れ」。銭を投げると地面に図を描く。「チン・イエンツか? 返杯だ!」「どうも」「話の分かる人だな」「遊びはやめて本題に」「ああ」「兄を解放して降伏しろ。寛大な裁きを願い出る。どうだ?」「いいだろ。捕まえてみろ」「不承知か?」「それなら仲間を説得に来い」「必要なら行く」「今すぐだ」。女、酒を飲む。“笑う虎”は開いた扇を裏返す。皆立ち上がり、女を囲む。扇を閉じると、扉が閉められる。「手を挟んだ。開けてくれ。頼む」「何しに来た?」「酒を」「後で出直せ」「我慢できん」「なら来い。向こうへ。動くな」。“笑う虎”「勘定を頼む、番頭さん」指を挟まれた男「何ごとで?」番頭「関わり合いになるな」。外は大雨。チン「金を払おう」「逃がすものか」。乱闘。一斉攻撃も通じず。飛刀。「こいつ、覚悟しろ」指の男「あの…」「下がれ」。チンと“笑う虎”の一騎打ち。手に傷を受ける“笑う虎”。チン「番頭、部屋を頼む。泊まるよ」「こんな大金は不要です」「残金で馬を2頭。帰りは二人連れだ」。2階の部屋に案内されるチン。“笑う虎”「今日のところは引き下がるが、今に見ておれ」「仲間と相談するがよい。5日以内に返事を」「5日以内に首領を釈放しないと人質は殺す」指の男「そうだ、やっちまえ」“笑う虎”「黙れ」。チン、部屋に入る。
 夜。雷鳴。賊「かなりの腕のようだな」「ここに来るかも」「望むところだ。みんな食え」。(明日へ続きます……)

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「フランス、『五月革命』から50年」

2018-07-17 04:33:00 | ノンジャンル
 5月18日の東京新聞の「視点」コーナーに、「仏『五月革命』から50年 マクロン氏への教訓」と題されたコラムが載っていました。全文を転載させていただくと、

「フランスで既存の社会に不満を抱えた学生らがデモを繰り広げた1968年の社会運動『五月革命』から、50年を迎えた。女性や労働者の権利確立に大きな影響を与えたとされるが、参加者によると、学生の主張としてはまとまりに欠けていた。それでも運動が広がったのは、当時の政府が若者の訴えに鈍かったからだ。今、就任1年を迎えたマクロン大統領の改革に対するデモが各地で起きているが、40歳の若い大統領の対応も決して敏感とはいえない。
 5月革命は、パリ郊外の大学から始まった。第二次大戦後のベビーブームで急増した学生に対応できず、校舎は増築続きで学習環境は劣悪。ヒッピー文化など米国から自由の風が吹く中、男女学生の自由な交流を妨げる大学の規則は若者に時代遅れに映った。大学進学時の選抜制度の導入が検討され、強まる管理体制にも不満が高まっていた。
 政府に不満をぶつける学生に『プールに入って頭を冷やせ』と言い放った閣僚は、旧態依然とした社会を想起させた。デモが広がる中、『大した問題ではない』とばかりにルーマニアを訪問したドゴール大統領の行動も、若者の怒りに拍車を掛けたとされる。
 権威ある学問の聖域、ソルボンヌ大学への警察の介入は事態を悪化させた。当時の参加者は『他の大学と意味合いが違った』と指摘する。市民の目にも弾圧と映り、労働者と合流した街頭の運動は1千万人規模に拡大していった。
 もっとも、ある男性は『デモに参加したのは、お祭りみたいだったから』と振り返った。仏紙リベラシオンのロラン・ジョフラン編集長(65)は、著作で『学生の主張はばらばらだった』と指摘する。
 それでも全国に広がったのはなぜか。社会学者ジャン・ピエール・ルゴフ氏(69)は、古い社会の象徴のような機動隊に立ち向かう時『かなりの連帯感を感じた』と語る。政府の強権的な対応が、運動に説得力を与えたのだ。
 50年がたち、再び大学制度改革を進めるマクロン氏は、抗議で大学を占拠する若者を『学生ではなく過激派の活動家だ』と切り捨てた。新たに導入する選抜試験への不満は『甘い試験なんてない』と歯牙にもかけない。
 労働者が不当に解雇された場合の補償金の減額など企業の競争力向上を名目とする改革では、立法作業を飛ばした政令改正も辞さない。
 50年前、デモやストライキはドゴール大統領が民意を問う解散総選挙に踏み切ると下火になった。パリ政治学院の政治学者ブルーノ・コトレスさんは、改革を急ぐマクロン氏が『傲慢で人の意見を聞かない面があると受け取られている』と懸念を示す。『上から目線』の発言を繰り返す大統領が、どこまで事態を深刻に受け止めているかは疑問だ」。

 五月革命といえば、フランスのヌーヴェルヴァーグの監督たちがカンヌをボイコットし、学生や労働者たちと連帯したことを思い出します。その後、ジャン=リュック・ゴダールは“社会主義〝的な実験映像の時代に入り、ジャック・ドゥミもデモを扱った映画を撮るなどしましたが、フランソワ・トリュフォーをはじめとする他の監督たちは、自分の原点へ回帰する映画に帰っていきました。そうした時代のうねりを体現しているのが、トリュフォーのほとんどの映画と58年前のゴダール映画に出演していたジャン=ピエール・レオでしょう。レオは5月革命の後も、トリュフォーの映画に出続け、1985年には“社会主義”の洗礼を受けた後、再び“商業映画”に戻ってきたゴダールの映画『ゴダールの探偵』にも出演し、最近ではアキ・カウリスマキ監督の映画『ラヴィ・ド・ボエーム』(1992年)や『ル・アーヴルの靴磨き』(2011年)でその姿を見ることができます。彼の今の容貌は私から見ると「すさまじい」老い方をしているようにも見え、見ているだけで胸が詰まる思いです。これらの最近の作品のうち、カウリスマキの映画はどちらも既に見ているのですが、『ゴダールの探偵』は多分劇場で見ているはずなのですが、どんな映画だったか思い出すことができません。ゴダールの映画はストーリー性より映像そのものを重んじて作られており、“映像の洪水”状態の場合があるので、なかなか“理解”できないのがその原因かな、あるいは決定的に記憶に残るショットがなかったのかな、と思います。いずれにしろ、出演者としての“映画作家”であるジャン=ピエール・レオの出演している映画は必見です!

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