gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

クロード・シャブロル監督『引き裂かれた女』

2012-08-02 08:41:00 | ノンジャンル
 クロード・シャブロル監督・共同脚本の'07年作品『引き裂かれた女』をWOWOWシネマで見ました。
 作家のサン・ドニを訪ねたカプシーヌは、月曜日に書店でサイン会が行われることを告げます。テレビ番組に出演したサン・ドニは、お天気キャスターのガブリエルと出会います。ガブリエルの母が経営する本屋でサイン会を行ったサン・ドニはガブリエルと再会し、彼は彼女を週末のオークションに誘います。そこへやって来たトダンス研究所の跡取り・ポールはガブリエルに一目惚れし、彼女を食事に誘いますが、それ以上には発展できません。
 オークションで落札した本をガブリエルにプレゼントしたサン・ドニはパリの仕事部屋“楽園”に彼女を招き入れると、「女の子のための礼儀指南書」という本があるのを見つけたガブリエルは、サン・ドニに自分からモーションをかけ、二人は肉体関係を持ちます。下手でしょ、と言うガブリエルに、自分が教えてやる、と言うサン・ドニ。しかし30才も自分が年上だと言い出すサン・ドニに怒ったガブリエルは、部屋を去ります。
 ディレクターに今夜のパーティで紹介したい人がいると言われたガブリエルは、ポールにしつこく付きまとわれます。翌日花束とともに謝罪に現れたポールでしたが、サン・ドニからの花束が届けられると、ガブリエルは彼の元に急ぎます。サン・ドニのメッセージ・カードを破るポール。タイプするサン・ドニにフェラチオするガブリエル。新たにインタビュー番組のキャスターをするようになったガブリエルは、母に番組を誉められますが、サン・ドニとの関係を告白します。サン・ドニの妻のドナはサン・ドニを許すと言って毎日泣いていて、離婚するには時間がかかるらしいとガブリエルは告げます。心配するガブリエルの母。
 サン・ドニとの情事を重ねるガブリエルは、ある日秘密クラブに彼に連れていかれると、そこにはカプシーヌもいました。明日はガブリエルの誕生日だと言って、そこに連れてきたサン・ドニは彼女の自由の精神を試すと言って、乱交パーティに参加させます。朝早くロンドンに発つことになったので、深夜にもかかわらず疲れた彼女を自宅に送るサン・ドニは、彼女には週末に戻ると言っておきながら、空港に見送りに来た妻にはカプシーヌと合流してニューヨークに1ヶ月ほど行くと伝えます。“楽園”の鍵が替えられているのに気付いたガブリエルはショックで寝込んでしまいます。
 心配したガブリエルの母と叔父はポールを“眠れる森の美女”の王子役に仕立て、彼女を立ち直らせますが、サン・ドニのことを忘れるまで友だちのままでいてほしいと言う彼女にポールは怒りだし、彼女は一緒にいてくれるなら結婚していいと言ってしまいます。そのことをすぐに母に電話するポール。ラジオでそのニュースを聞いて憤慨するサン・ドニ。
 母の反対を押し切って結婚式の準備を進めるポール。ウェディングドレスの試着に現れたサン・ドニに、ガブリエルは「ずっとあなたを愛している」と言って抱き合います。離婚すれば結婚しないと言うガブリエルに、妻に落ち度はないと言うサン・ドニ。結局、ポールとガブリエルは結婚しますが、フェラチオのうまさに憤慨したポールは、彼女がサン・ドニと乱交パーティに参加していたことも知ります。
 ポールの母が主催する慈善団体の式典にゲストとして参加したサン・ドニは、演壇に登ると、ポールによって射殺され、ポールは「妻を堕落させた獣は死んだ」と言い放ちます。ポールの母の説得によって、事実を全て法廷で話したガブリエルでしたが、ポールの母はポールが離婚の申し立てを行うだろうと言って、一銭も金を渡さないと言い放ちます。ガブリエルはマジシャンの叔父とともに胴体切断ショーのアシスタントとして生きていくのでした。

 ブルジョワ社会がラストに崩壊していくという典型的なシャブロル映画でしたが、ラストで波乱万丈の人生を生きたヒロインが自らを見せ物として生きていくと言うシャブロル版『歴史は女で作られる』になっているのには驚きました。ヒロインが清潔感のある美人であることも、映画の魅力を増していたと思います。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

高野秀行『またやぶけの夕焼け』

2012-08-01 08:53:00 | ノンジャンル
 高野秀行さんの初の小説である'12年作品『またやぶけの夕焼け』を読みました。
 小4になったばかりの僕・阪野ヒデユキは、通っている八王子市立第六小学校では少数派の又木の住人です。いつものように弟のユーリンと同級生のシゲオと発見した「またやぶけ」の土管(わざと足をすべらせると、半ズボンの股が破けるので)に行くと、そこは多数派の子安の上級生に占領されていました。そこへ又木の五年生で「すごく変なやつ」として知られるカッチャンが弟のミンミンと現れ、土管の先を探検しようと言い出します。途中でエロ本を見つけたり、沼を渡ったりして、僕らは源流に行き着きます。それ以降、僕らはカッチャン軍団を結成するのでした。
 六月に僕らは、以前ストライキの時に横浜線の鉄橋を渡り、警官に捕まったことから、鉄橋に復讐することにします。犬釘を拾い、それをトンカチで鉄橋のレンガに叩き付ける僕たち。レンガの表面に穴を開け、復讐を遂げた僕らでしたが、そこに現れた警官から身を隠すため、線路の下に移動したところ、その上を通過する列車の轟音に肝を冷やします。
 夏休みもせまったある日曜日には、僕は転校してきたばかりのマサトを誘い、夜明け前に家を出発して、仲間の中でのランキングを決めるノコギリクワガタを採りに行き、見事にゲットします。
 両親が留守をした日には、軍団は魚採りに出かけますが、魚採りがうまいシゲオにユーリンが付いていってしまい、夕方になっても戻ってきませんでした。ようやく戻ってきたユーリンは、シゲオに魚の採り方を習ったと言って、得意気です。
 僕の家の裏の空地は野球場として使われていましたが、ある日、試合にボロ負けした軍団は、カンチャンの指導の元、千本ノックを受けることになります。カンチャンの打った球は見事僕の家のガラスを割りますが、それがきっかけで、野球場には僕らの親たちが作ったフェンスが備え付けられます。
 夏休みが終わった頃、学校では「不思議な話」が流行し、僕も京王線のガード下で幽霊を見た気になります。学校で話すと、誰も信用してくれませんでしたが、幼馴染みの長谷川真理が味方になってくれました。
 文化祭が終わった頃、カッチャンは僕だけを秘密基地に案内してくれ、そこで少女マンガに出会い、結婚に憧れるようになります。僕は秘かに長谷川との結婚を夢想しますが、カッチャンの必殺技を受けても、決してそれを口にしようとはしません。
 11月の早朝、僕は犬の散歩をしていて、ゴルフの練習場でゴルフボールを発見します。「プロゴルファー猿」に夢中だった僕らは、それ以降、ゴルフに夢中になります。
 12月30日、恒例の親戚同士の餅搗きが行われ、僕は犬のボニーを連れていくことにしますが、遊びに夢中になっている間に、ボニーは行方不明になってしまいます。運良くボニーは見つかりますが、ハトコのセッちゃんは駆落ちをした兄は帰ってこないとポツリと言います。
 冬、カッチャンの発案でカマドで焚き火をしているうちに、鉛が解けることを発見し、やがて僕は鉛で地底戦車を作り、それを氷に置いて、自動的に沈んでいく様子を見て、皆で楽しみます。
 春休みになり、僕らは城跡で偶然縄文式土器を見つけます。そして土器を自分たちで作ることに挑戦し、できた土器にゴルフボールを落とすと、追い求めていたゴルフカップの音がするのでした。
 カッチャンが六年生になったある日、遊びに行くと、そこにはカッチャンの同級生がいて、僕らとは遊ばないと言われます。僕らは新たなゴルフコースを探し出し、そこでドラコンをやってカッチャンが負けたら軍団は解散しないと決めますが、僕はOBを叩いてしまい、ドラコンに負けてしまうのでした。

 主人公・阪野ヒデユキは著者・高野秀行さんその人であり、おそらく著者の小学生時代の思い出を綴った小説なのでしょう。「ぐっちゃん、ぐっちゃんという水入りズックの音」とか「靴のつま先をとんとんと地面にぶつけて履く」とか「稲の切り株を靴でへしゃ、へしゃとつぶす」とか細部にリアリティが感じられました。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/