10日発行のフリーペーパー「R25」に、日本には創業100年を超える企業が10万社以上もあるという記事が載っていました。200年以上となっても約3000社で世界で断トツ1位。2位のドイツが約800社、3位のオランダが約200社なのだそうです。理由は伝統を重んじる文化と、織田信長の楽市楽座や徳川幕府らに守られ仕事に専念することができたこと、「分をわきまえろ」「分相応」という思想があること、3代目当たりで一族経営から脱皮していることが挙げられるようです。それにしてもちょっとビックリする数字でした。
さて、宮田珠己さんが'00年に書いた「わたしの旅に何をする。」を文庫本で読みました。著者が会社を辞める前後の旅の話を書いたエッセイ集です。
この本のどこが面白いかというと、結論。全部面白い。著者が経験した出来事も面白いのですが、何といっても文体が面白い。例えば、「トラベラー来たる」では、「(自分が自己紹介した後)彼のほうは、俺はテクニシャンだ、と言った。な、何を言っておるのか、私は普通の男でありお前がテクニシャンであろうとなかろうと全然知ったことではないぞ、と思わず言いかけたが、テクニシャンというのは技術者のことらしい。驚いた。技術者はエンジニアではないのか、紛らわしい英語の使い方するな、と思ったけど相手は本式のイギリス人なので、帰って辞書と相談してからにしよう。」などという文章のオンパレード。面白さが少しは伝わったと思います。
そして内容の面白さでは、「ちょっとずそずわしますが」を代表として推します。地下鉄構内で中国語会話の本を買うと、「早上好」は「おほようございますよ」さらに「ありがとうでぞいます」そして「であんをさい」「いれはどうごしょう」「どうぞねかはくだちい」と意味不明になってきて、著者は「一体、どうなっているのか西北大学」と発行している大学を責めます。そして「『ね元気ぞすか』『まあまあごす』なんだか力士っぽい会話である。調べてみると、この他にも力士ふうの会話はたくさんあり、代表的なものを次に記す。『いまは九時二十五分ごす』『てれがあれとり上等ごす』『わつりごす』『ぴつそりごす』九州男児のつもりなのかもしれない」と来て、著者は「お」と「ね」、「ご」と「で」を取り違えてることに気付くのです。そして「『たろたろ失礼します』『スープピにしますか』馬鹿なんじゃないか。『遠いのよ(遠くないのよ)』これはいきなり桃井かおりみたいだ。意味はあってるぞ。そして次の作品。『ミンブしますからどうぞてちらへ』ミンブって何だ。『頭、顔、手、足、アッヤー』アッヤーて何なんだ。それは体の一部か。(中略)『ちょっトずそずわしますが、郵便局は何時から開きますか』ずそずわするらしい。(中略)『どのようにずりしましょうか』ひょっとして、わざとやっているのか西北大学。」という具合になっていきます。これは内容も面白いですが、それを最大限に引き出す文体あってこその好例だと思います。
ということで、面白いものが好きな人なら誰でも楽しめる本だと思います。オススメです。
なお、詳しい内容を知りたい方には、「Favorite Books」の「宮田珠己『東南アジア四次元日記』」のコーナーにアップしましたので、是非ご覧ください。
さて、宮田珠己さんが'00年に書いた「わたしの旅に何をする。」を文庫本で読みました。著者が会社を辞める前後の旅の話を書いたエッセイ集です。
この本のどこが面白いかというと、結論。全部面白い。著者が経験した出来事も面白いのですが、何といっても文体が面白い。例えば、「トラベラー来たる」では、「(自分が自己紹介した後)彼のほうは、俺はテクニシャンだ、と言った。な、何を言っておるのか、私は普通の男でありお前がテクニシャンであろうとなかろうと全然知ったことではないぞ、と思わず言いかけたが、テクニシャンというのは技術者のことらしい。驚いた。技術者はエンジニアではないのか、紛らわしい英語の使い方するな、と思ったけど相手は本式のイギリス人なので、帰って辞書と相談してからにしよう。」などという文章のオンパレード。面白さが少しは伝わったと思います。
そして内容の面白さでは、「ちょっとずそずわしますが」を代表として推します。地下鉄構内で中国語会話の本を買うと、「早上好」は「おほようございますよ」さらに「ありがとうでぞいます」そして「であんをさい」「いれはどうごしょう」「どうぞねかはくだちい」と意味不明になってきて、著者は「一体、どうなっているのか西北大学」と発行している大学を責めます。そして「『ね元気ぞすか』『まあまあごす』なんだか力士っぽい会話である。調べてみると、この他にも力士ふうの会話はたくさんあり、代表的なものを次に記す。『いまは九時二十五分ごす』『てれがあれとり上等ごす』『わつりごす』『ぴつそりごす』九州男児のつもりなのかもしれない」と来て、著者は「お」と「ね」、「ご」と「で」を取り違えてることに気付くのです。そして「『たろたろ失礼します』『スープピにしますか』馬鹿なんじゃないか。『遠いのよ(遠くないのよ)』これはいきなり桃井かおりみたいだ。意味はあってるぞ。そして次の作品。『ミンブしますからどうぞてちらへ』ミンブって何だ。『頭、顔、手、足、アッヤー』アッヤーて何なんだ。それは体の一部か。(中略)『ちょっトずそずわしますが、郵便局は何時から開きますか』ずそずわするらしい。(中略)『どのようにずりしましょうか』ひょっとして、わざとやっているのか西北大学。」という具合になっていきます。これは内容も面白いですが、それを最大限に引き出す文体あってこその好例だと思います。
ということで、面白いものが好きな人なら誰でも楽しめる本だと思います。オススメです。
なお、詳しい内容を知りたい方には、「Favorite Books」の「宮田珠己『東南アジア四次元日記』」のコーナーにアップしましたので、是非ご覧ください。