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エルンスト・ルビッチ監督『小間使』

2007-06-25 16:04:01 | ノンジャンル
 昨夜の「ガキの使いやあらへんで」は、寝起きドッキリのレポーターの浜田が絶対起きてしまうようなことをして、起きると「何で起きるんや」と怒る、というパターンで番組が進むものでしたが、久しぶりに笑いました。特に遠藤が大型バイブを股間に当てられ悶絶する様子には出演者、スタッフそして私は爆笑してしまいました。で、それで寝ようとすると、今度はaikoの30分の特集番組!久々に充実した日曜の夜でした。

 さて、WOWOWでエルンスト・ルビッチ監督の'46年作品「小間使」を見ました。
 1938年、ロンドンの日曜の午後。エイムズ氏はベティ・クリーム嬢が来るパーティが始まるまでに詰まったシンクを直すことで頭が一杯です。リー教授に会いに来たベリンスキ教授(シャルル・ボワイエ)を配管工と間違え、お嬢さんの格好をした娘クルニー(ジェニファー・ジョーンズ)が伯父の代理といって配管工として来ます。いきなりカナズチで下水管を叩き始めるクルニーに驚くエイムズとベリンスキー。しかし、見事に詰まりは解消します。ベリンスキーはクルニーを気に入り、世話をしてやろうとしますが、ベリンスキーに誘われてワインを飲んだクルニーは酔っぱらってしまい、駆け付けた伯父はその姿を見て烈火のごとこ怒り、奉公に彼女を出す事にします。パーティーの最中ベットで寝ていたベリンスキーを見つけた若者たちは、彼が反ナチの小説家であることを知り、若者のうちの1人ロディは自分の屋敷に彼をかくまいます。クルニーはロディの屋敷へ小間使として派遣されますが、彼女の天衣無縫さにロディの両親であるカーメル夫妻はとまどいます。クルーニーはディナーでベリンスキーを発見して驚き、トレイを落として部屋を飛び出して行ってしまいまい、解雇されそうになりますが、ベレンスキーの口利きで解雇を免れます。薬屋のウィルソンにお茶に呼ばれたクルニーは、お互いに気に入りますが、ベレンスキーが何かと二人の邪魔をします。ウィリアムとの生活は刺激のないものになる、とベレンスキーは言いますが、クルニーはそんな生活を望んでいる、と言われてしまいます。彼女の幸福を願うベレンスキーは、ウィリアムが彼女との婚約を発表する手はずになっているウィリアムの母の誕生会に彼女が出られる様、手助けします。しかし、婚約を発表しようとした瞬間に配水管が壊れ、気をきかしてクルニーがトンテンカンと直すと、女性の癖に、ということで逆に親戚連中から見限られてしまい、ウィリアムとの仲は破談になってしまいます。ロディはベティと婚約するとともに入隊し、ベリンスキーも屋敷を去ります。クルニーはお別れのプレゼントのお礼を言うために、ベリンスキーを追いかけ、ウィリアムとの破談の話をすると、彼は彼女を列車に乗せ、二人で人生を歩いて行こう、と言います。ニューヨークに渡った二人は、ベレンスキーが書いた本がベストセラーになり、幸福な人生を送って行くのでした、という話です。
 細かいギャグが満載で、台詞もしゃれてて、とても楽しめました。純真無垢なジェニファー・ジョーンズ、ちょっとお茶目なシャルル・ボワイエも良かったです。気楽に見れる映画をお探しの方には、オススメです。

打海文三『裸者と裸者(下)』

2007-06-24 15:17:39 | ノンジャンル
では、あらすじから。
 海人たちの常盤軍6千と他の二軍合わせて5万3千人が、素人集団の首都防衛軍6万人に対して侵攻を開始します。月田姉妹は犯罪地帯で政府軍の勢力が及ばない九竜シティへ逃げ込みます。姉妹は政府軍の兵士を殺した罪で、指名手配を受けます。彼女らは命の恩人である健二を政府軍の留置所から救うためトラックを売り、ワイロを使って虫の息の彼を救い出します。月田姉妹の仲間は、政府とつるんでいるマフィア・東京UFのドラッグを強奪して、戦いを仕掛け、姉妹は東京UFからも命を狙われることになります。彼女たちは戦災孤児を含めた女性だけの武装集団「パンプキン・ガールズ」を結成し、複数の場所に監禁されている戦争孤児を解放し、孤児施設に収容します。パンプキン・ガールズは東京UFの縄張りを徐々に奪って行きます。シティに根を張る人種差別・男性至上主義の集団「モーセ=2月運動」との戦いが続きます。そして最終的に海人や姉妹たちは、戦争を終わらせ、様々な人種が平和に共存できるシステムを作るために、東京UF、モーセ=2月運動、関東周辺の軍閥、政府等を相手に血戦の幕を開けます。すさまじい市街戦、飛び交う砲弾と肉片、そうした戦闘の後、海人の仲間たちは勝利します。平和な時間が戻り、久しぶりに仲間が勢ぞろいすると、爆弾テロで月田姉妹の1人が殺されます、という話です。
 せめてハッピーエンドにしてもしかった、というのが素直な気持ちです。でもこれが現実なのでしょう。私たちはこれを小説の中でのフィクションとして読んでいますが、アフガニスタンの人々はこれをノンフィクションとして読んでしまうかも知れません。そんな怖さがこの小説からはただよってきます。
 最後になって明確に述べられている事があります。共存を選ぶのか、排除を選ぶのか。統合をめざすのか、多様性を認めるのか。もちろん海人たちは共存を選び、多様性を認める社会を目指すのですが、そんな社会は永遠の夢なのかもしれない、とも思っているのです。夢では終わらせないようにしたい、なぜなら、夢で終わったら残った社会はひどく醜く汚れたものになるだろうから。そして夢を実現したい、なぜなら、そこから生まれる社会は、寛容で優しく美しいものになるだろうからです。
 そんなことを改めて考えさせてくれる小説でした。話としてもよくできているし、描写も適切で読みやすかったです。ちょっと長い小説ですが、オススメです。

打海文三『裸者と裸者(上)』

2007-06-23 15:23:27 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏が「正義感が壮快」と評した、打海文三氏の'04年作品「裸者と裸者(上)」を読みました。
 現在の日本で内乱がぼっ発します。海人(かいと)、恵(めぐ)、隆(りゅう)の兄妹弟は孤児になります。13才の海人は路上でのタバコ売りと食堂で働き、三人の生活費を稼ぎますが、仕事の帰りに誘拐され、少年兵にされてしまいます。脱走して、やはり孤児になった月田桜子と椿子という1歳年上の双子に出会います。家に帰ると恵と隆は生きていましたが、食堂は新人を雇ってしまっていました。海人は以前知り合ったマフィアのファンに自分の店のトイレ掃除の仕事をもらい、他の店も紹介してもらいます。就職祝いだ、と大家の若い女性が海人に初体験をさせてくれます。15才になった海人は久しぶりに月田姉妹に会いますが、二人は昏睡強盗で生計を立てていました。ある日、12才になった恵が高桑一味に誘拐されそうになり、隆はナイフで2人の男を刺し、一旦逃げるのに成功しますが、結局連中に家を壊されてしまいます。家は建て直しますが、高桑は恵たちを殺そうと狙ってるという情報が届きます。ファンは海人に携帯と現金をくれ、何かあったら連絡するように言います。しばらくして、政府の発表で15才以上が徴兵の対象になります。海人は安定した収入を恵と隆に保証してくれると考え、3年の兵役に応じることにし、月田姉妹に恵と隆を高桑の勢力の及んでない水戸に住まわせる手配をしてくれるように頼みます。
 海人が所属する常盤軍は南下を続け、途中の武装勢力、反政府軍を駆逐していきます。給料が止まると、海人は押収したドラッグをファンに送り続けて作っていた資金から、部下に給料を払います。部下が女の子を守るために殺され、弟と数人の孤児が連れていかれます。海人の孤児部隊は弟の奪回に向かいますが、弟は既に殺されていました。海人は犯人の中隊長を射殺し、二人の孤児を救出しましたが、上層部から処分はありませんでした。常盤軍は帰還し、海人はファンから莫大な金を受け取ります。水戸での1年ぶりの妹弟との再会。隆は10才、恵は12才、月田姉妹は17才になっていました。海人は隆の徴兵を逃れるため、ユニバーサル・スクール東京校に恵と隆を入れ、外国人部隊の隊長イリイチの家族が住む東京のマンションに4人を移住させます。
 海人の新たな上司は、中隊長射殺の際、海人を処分しなかった女中尉・白川でした。海人は史上初の16才の小隊長になります。彼は部下に強姦と略奪を禁止し、人身売買を取り締まります。資金はドラッグの押収で調達しました。部下の忠誠心は高く、海人は孤児院までも自費で作ります。そして彼は18才になり正規軍の兵士となりますが、彼は孤児中隊を先鋭化して生き残ることしか考えていませんでした。海人たちは日本のマフィアの常陸TCを殲滅します。月田姉妹は長距離トラックのドライバーになり、恵たちのマンションを出ます。海人たちは磐城軍も殲滅します。女性部隊ンガルガニは負傷者の治療に当たってくれ、海人たちと協力関係を結んでくれます。そして彼女たちから海人の母が海外へ売り飛ばされ、行方を探すのが不可能になったことを知らされます。大家の女性の魚屋の開店に、久しぶりに海人、恵、隆、月田姉妹ら仲間が皆集まり、祝宴をあげる場面で、上巻は終わります。
 とても重い小説です。延々と続く戦闘の記述の中で、主人公たちの清らかな心、ホッとする気持ちの交流が胸を打ちます。登場人物が多すぎるのが難といえば難ですが、海人の存在感の前では、そんな問題は吹き飛んでしまいそうです。
 後半は月田姉妹の話が中心になり、大団円を迎えます。ご期待ください。

北原保雄編『問題な日本語』

2007-06-22 17:37:28 | ノンジャンル
 北原保雄氏編集の「問題な日本語」を読みました。題名からして間違った日本語を使ってますよね。正しくは「問題の日本語」だと思うのですが。
 さて、中身はと言いますと、最近ファミレスの従業員が接客の際に使う日本語がおかしい、ということが話題になりましたが、(といっても数年前か?)その類いの日本語が本当におかしいのか、実は昔使われていたのは今間違いとされている日本語の方じゃないのか、というのを一例ずつ検証した本です。
 実例で出てるのは「こちら~になります」「おビールをお持ちしました」「全然いい」「よろしかったでしょうか」「っていうか」「すごいおいしい」「知らなさそうだ」「コーヒーのほうをお持ちしました」「やむおえない」「なので」「私って~じゃないですか」「みたいな」「台風が上陸する可能性があります」「真っ茶」などなどです。
 「やむおえない」などは言葉自体はおかしくないのですが、使われる場面が問題になっているようです。「っていうか」や「みたいな」もそうですよね。
 これ以外にも「使うのはどっち?」というコラムがあって、「一所懸命と一生懸命」など、108もの実例が解説されています。
 ということで、こういう事に興味がある方にはオススメです。
 実は、この本、私はヤフーオークションのアラートで「中島らも」のキーワードで引っ掛かり、てっきり中島らもの本だと早合点して買ってしまったのでした。ということで、以上のようなことには全く興味がない私は始めの数ページしか読んでいません。それで他の方に推薦するのもおこがましいのですが、せっかく買って中身も見たので、こちらで紹介させていただきました。初版は2004年発行で15万部も売れた本だそうです。面白い人にはとても楽しめる本のようです。

スティーヴン・キング『トム・ゴードンを恋した少女』

2007-06-21 15:56:34 | ノンジャンル
 スティーヴン・キングの新刊「トム・ゴードンを恋した少女」を読みました。
 あらすじは簡単で、母と兄と森の中のハイキングに来ていた9才のレッドソックス・ファンの少女トリシア・マクファーランドが、母と兄が口げんかをしている間に森の中に入って用をたして、近道をして道に戻ろうとして迷ってしまい、何日も森の中をさまよったあげく、助かるという話です。彼女はレッドソックスのクローザーであるトム・ゴードンが勝利をあげた後、天を指差すフォームに夢中になっていて、森でさまよっている間も彼の幻影が現れたり、彼と話をしながら実際には独り言をぶつぶつ言っていたり、そして何より彼女の心の支えになったのは、ラジオでレッドソックス戦の実況中継を聞くことでした。蚊とスズメ蜂の攻撃に常に会い、生傷が絶えず、森の中でわずかに食べられるものを食べ、後半は現実と虚構の区別もつかなくなって、いつ死んでもおかしくない状態にまで追い込まれますが、そこはキング、ハッピーエンドが待っています。
 これだけ単純な話をこれだけ面白く読ませてくれるというのは、さすがキングだと思いました。というか、キングの代表作にしてもいいのでは、と感じています。ということで、「Favorite Novels」の「スティーヴン・キング」の項に、この小説の詳しいあらすじを掲載しています。興味のある方はご覧ください。