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ルネ・クレマン監督『禁じられた遊び』

2009-02-25 16:46:41 | ノンジャンル
 山田宏一さんの「恋の映画誌」での文章に「挑発」されて、ルネ・クレマン監督の'51年作品「禁じられた遊び」をDVDで約40年ぶりに見ました。
 あまりにも有名なこの映画のあらすじを、改めてここで述べることは差し控えさせていただこうと思います。ただ、久しぶりに見て確認したのは、二人が十字架を集めるそもそものきっかけは、両親とともにドイツ機の機銃掃射で死んだ自分の犬の墓を水車小屋に作るのに、一匹だけでは可哀想と感じたポーレットに対し、ミッシェルが彼女の気を引こうと、他の動物の死骸を一緒に埋めようとしたこと、そして有名なラスト、一人駅の雑踏に置かれたポーレットが、「ミッシェル!」と女が叫ぶのに導かれ、「ミッシェル、ミッシェル」と言いながらその女の方に行き、その女が脂ぎった男と抱擁しているのを見て「ママ」と泣きながら一言もらし、そしてまた「ミッシェル、ミッシェル、‥‥」と言いながら雑踏の中に迷いこんでいくのをカメラが上昇しながら俯瞰で捕らえていく(ここは意外にあっさりしていてすぐに「FIN」の文字が重なる短いショットでした)ということでした。しっかりと覚えていたのは、ミッシェルが十字架を川に投げ込むショット、そしてせっかくミッシェルが苦労して飾り立てた水車小屋の墓地を、ポーレットが一目も見ることなく連れて行かれてしまうストーリーの理不尽さに対する自分の怒りでした。5歳のブリジット・フォッセー演じる幼いパリジェンヌが10歳のジョルジュ・プージュリー演じる田舎の少年を翻弄する様子(「お腹が減った」というブリジットにジョルジュがリンゴを渡すと、「私、リンゴ嫌い。カフェオレがいい。」などと言うおしゃまぶり!)がおかしく、また純真なだけに笑顔や泣き顔の訴える力が半端ではないこともこの映画の魅力だと思いました。
 この映画を語る最も美しい言葉は、私の知るかぎり、山田宏一さんの本「恋の映画誌」に掲載されている「小さな恋のメロディ」と題された文章であり、実際に本を買ってその文章を読んでいただきたいのですが、その一部を紹介させていただくと、「やがて来るべき日がやってくる――少年から少女が奪われていく。少年は泣きながら水車小屋の二人だけの思い出の場所に走る。そして、十字架を次々に抜き取って川に投げ捨てるのだ。
 無理解な大人への不信と怒りの表明以上に、愛する者を奪われた悲しみがよく出たシーンだ。人が――それが愛する人ならなおのこと――突然目の前から姿を消してしまうことがまるで死と同じように感じられる瞬間があることを教えてくれる。束の間の幸福が、その思い出とともに、いっきょに奪い去られる。それが死につらなる危険な儀式――禁じられた遊び――であり、あまりにも無邪気に興じた小さな恋人たちへの残酷なむくいでもあるかのようだ。愛とは禁じられた遊びなのだ。
 見るたびに胸をかきむしられるような感動をあらたにする悲痛な愛の映画だ。」
 映画も本も文句無しにオススメです。

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