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文藝別冊・KAWADE夢ムック『総特集 木皿泉 物語る夫婦の脚本(これまで)と小説(これから)』

2014-04-28 05:34:00 | ノンジャンル
 '13年に刊行された、文藝別冊・KAWADE夢ムック『総特集 木皿泉 物語る夫婦の脚本(これまで)と小説(これから)』を読みました。作家の木皿泉さんを特集した本です。
 木皿泉さんは、夫の和泉努さんと妻の妻鹿年季子さんの共同作業から生まれた作品につけられたペンネームで、以前は和泉努さんのペンネームだったのが、和泉さんが'03年に脳内出血で倒れてからは、努(つとむ)さん(年季子さんは“トムちゃん”と呼ぶ)がアイディアを出し、年季子さん(努さんは“トキちゃん”と呼ぶ)が文章を書いてできた作品にこのペンネームを使っているとのことです。
 この本では現在「木皿」さんについて知り得る全てのことが網羅されているように思われ、目次からそれを書き出してみると、まず「カラー口絵 木皿泉ワークスコレクション 木皿泉の小宇宙~お宅訪問~」、木皿泉ロングインタビュー「夫婦脚本家、小説家になる」(聞き手・重松清)、対談「川上弘美×高山なおみ『木皿さんの作品では、すべての登場人物が生きている』」、木皿さんの作品(未発表小説『晩パン屋』、伝説のラジオドラマ脚本『エネオス オン ザ ウェイ コメディ“道草”』より〈ミラクル夫婦・~ミクロの決死圏〉〈ジェニジェニ日記〉〈タクシードライバー八代運転手・~私、正直に生きて参りましたッ!〉『LET IT PON!~それでええんよ~』)、対談「木皿泉、自作を語る」、エッセイ(窪美澄(作家)「でっかいカサブタを剥がす快楽」、佐川光晴(作家)「モラリストの冒険」、佐藤東弥(木皿脚本のTVドラマを多く作った監督)「木皿さんのこと」、島崎今日子(ライター)「木皿泉の正体」、白岩玄(自作『野ブタ。をプロデュース』を木皿さんにテレビ用に脚色してもらった作家)「ドラマ化のこと」、瀧井朝世(ライター)「・生きている・という実感」、内藤裕敬(木皿さんの唯一の舞台用脚本『すうねるところ』を演出した劇作家・演出家)「すうねるところ」、松田青子(作家)「『すいか』の夏」、村井良太(舞台『すうねるところ』に出演した俳優)「世界観」、茂原雄二(木皿さんのドキュメンタリーを撮ったディレクター)「懐かしい時間」、薬師丸ひろ子(木皿さんのテレビドラマ『Q10』と舞台『すうねるところ』に出演した女優)「木皿さんの脚本を演じることは『何かを信じる』ということ」)、イラストエッセイ(麻生みこと「木皿さんは歯フェチ?」、咲坂伊緒「ジュワッときてホロっとなる」、牧原亮太郎「木皿泉さんの言葉」、やまだないと「すうねるところ」)、論考(長谷正人(映像文化論)「ドラマご馳走主義の作家」他3本)、書店員座談会「こっそり見つけてもらいたい、木皿泉の魅力」(小田急ブックメイツ・狩野大樹、オリオン書房ノルテ店・辻内千織、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店・村尾啓子、紀伊国屋書店笹塚店・吉野裕司)となります。
 中でも印象的だった言葉を書き出してみると、「作る分にはラジオドラマが一番自由」(妻鹿)、「たとえば、夕子さんがうなじ一発で全てを伝えるシーンがありますが、そういうものが文学とか、演劇もそうだけれど物語の凄みなんだと思います」(重松)、「『小説は歳をとってからの方がいいものが書ける』と、よく言われます」(重松)、「『AKB48』が紅白歌合戦に出た時なんか、あっちゃん(前田敦子)のことを、Q10(キュート)の母のような気持ちで応援してました。『Q10大丈夫かな、ちゃんとやれてる?』って」「当時、電車でQ10の真似してる女子高生を見かけました(笑)」「わーっ!」「かわいかった。『ぱふっ!』とか、あの『~デス』っていうしゃべり方をふたりでしていて、またそれが上手くて」「木皿さんのドラマの役者さんは、みんな存在感がある。そして、ダメな人がたくさん出てくる(笑)」(高山&川上)、「特に『すいか』は、『どうせみんないつかは死んでしまうのに、頑張って仕事にいったり、喧嘩したり、泣いたり笑ったり、ごはん作ったり、作らなかったりして生きている』みたいなところがあるじゃないですか」(高山)、「人に嫌われてもいいんです。矛盾してる自分を、許してあげなきゃダメです」(『すいか』の台詞)、「私みたいな者も、居ていいんでしょうか?」「居てよしッ!」(『すいか』の台詞)、「でもね、好きに生きてないと、グチばっかりの人生になって、みんなが不幸になると思うんですよ。自分が我慢している分、人にも我慢を強いるだろうし」(妻鹿)とこんな感じになります。
 とにかく読みごたえのある特集本でした。ラジオドラマは特に楽しめます。木皿ファン必読の書です。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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