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と学会『トンデモ本の世界T』

2007-06-28 16:03:15 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏が「いろいろ参考になった」と話されている、と学会の「トンデモ本の世界T」を読みました。
 本の中で、トンデモ本とは、世の中の常識から外れた故に笑われる本、との定義がされていましたが、実際に取り上げられている本はもっと広い範囲のものです。
 まず、狂信的な本。イスラム原理主義を擁護するウソだらけの本から、日本への無知をさらけだした国粋主義の韓国の本、間違った結論を語るインチキ本、クローン人間を肯定する本、兄弟子が犬だったという仙人入門書、水の結晶の形が人の心によって替わると主張する本、妄想としか思えない世界や予言を語る霊能力者の本、フォトン・ベルトという訳の分からないものに2012年に地球が滅ぼされると警告する本、船井幸雄の確信犯的インチキ本、アンティークカメラを擁護する著者がカメラ業界から命を狙われているという被害申そうに陥った本、などなどです。
 次が、変わった題材を扱った本。自らのオカルト体験を語った佐藤愛子さんの「私の遺言」、オーラが見える著者が書いた「オーラブックQ&A」、新しい暦を提唱する本、ブッシュの失言を集めた本、聖書の中の残酷なエピソードを集めた本、楽しいオカルト本、終戦直後のブラジルで日本の敗戦を信じなかった人々の話、などです。
 そして、面白い本。塩むすびへの思いを語るアントニオ猪木の「闘魂レシピ」、カリフォルニアのカルト集団を解説した本、娘が性的虐待を受けたと親を告訴するアメリカの風潮を述べた本、妖怪の生物学の本、中国の野人に関するノンフィクション、自業自得の死亡事故を集めた本、天文台に電話でされる質問集などです。
 本の紹介以外に、パナウェーブ研究所の解説とか、終戦後の兵士の攻撃性を沈めるのに機能した残酷本の話などもあり、盛り沢山の内容です。
 この本で分かったのは、編集者が金になると思ったら、どんな内容のものでも本になり、本屋に並んでしまう、ということで、これは恐ろしいことだと思いました。
 そして、あとがきにこの本の著者「と学会」の代表の方が面白いことを書いていました。「考えてみるにアメリカという国は、自分たちがかつてネイティブなアメリカ原住民に対して虐殺を行ってきたことがコンプレックスとなって意識下に定着した結果、自分たちもいつか異なる文化圏にいる者たちに襲われ、征服されるという極端なパラノイア幻想にとらわれているのではないか」したがって「危機感が本当にの危機から生まれたものか、それとも妄想によって形づくられたものなのか、きちんと見極める必要がある」(引用者改編)
そうなのかもしれませんね。言われてみると、なるほど、と思いました。
 ということで、いろんな本を紹介した本なのですが、ここで考えさせられるのは、「裸者と裸者」でもそうだったのですが、いかにこうした多様な人々と共存していくか、ということです。排除するのは簡単ですが、そこからは抑圧されたエネルギーがはけ口を求めて残虐な行為に走る可能性を考えなければなりません。「共存」、しばらく世界はこれをキーワードとして進んでいかなければならないでしょう。

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