また昨日の続きです。
真壁「あの人？」タツオ「ああ」「名前は？」「河内カズヨ。この会社の社長だ（中略）」「君があの人を選んだ理由、聞いてもいいか？」（中略）「俺が低レベルと判断した人間だ」「どういう基準で？」「うちの病院、ここの重要な取引先なんだ。あいつ半端じゃないワイロを払って、肉体も含めて（中略）」「分かった」。真壁、河内に「あっ、河内さん。あなたは低レベルな人間ですか？ そうですよね」「何言ってるの？」「（中略）皆あなたのこと低レベルって思ってますよ」「ふざけたこと言わないで。（中略）あなたね、誰だか知らないけど何が目的なの？ レベルがああとかこうとか人を怒らせて何か売り込むつもり？」「（中略）怒る理由は何ですか？」「何ですかって」「その傷ついたものは？」「プライド」「プライド？（中略）それ、もらいます」。真壁、指先を河内の額に当てると、河内はその場で崩れ落ちる。真壁「なるほど、これがプライドか」「どうしたんだろう、私」タツオ「行こう」（中略）。
自宅の食卓。「ねえ、タツオ。今日も真壁さんと一緒？」「ああ、仕事だから。ずっと一緒っていう訳じゃないけど」「その影響であんなこと言ったの？ 世界が終わるって」「よく覚えてるな。朝の太陽見てたら、そんな気分になっちゃった」「それでその後、もし助かる枠があったらどうするって聞いてきたよね」「俺そんなこと聞いた？（中略）」「私考えたんだ。（中略）私タツオと二人だけでいいから助かりたい」「そうか」。
男「まさか山際君が訪ねて来るなんて思ってなかったよ。13年ぶりだっけ？ 懐かしいなあ（中略）」タツオ「すいません、急に近くに用事があったもんで、ちょっと寄らせてもらいました」男、席を立つ。真壁「どんな奴？ やっぱりレベル低いのか？」「中学の担任だ。あいつは差別した。集中的に俺を狙って（中略）」。男「お待たせ、あったよ。懐かしいもの。（中略）こういうの見てると思い出すんだよね、いろいろと。ねえ、山際君」「はい、思い出します」「あ、これ、２年の修学旅行。旅館でさ、騒いで、先生と生徒が一緒になって。ひどく怒られたね、旅館の人に。（中略）やあ、懐かしいなあ」「その修学旅行、参加してないです」「で、それって？ ああ、そうかそうか」真壁「ちょっと聞いてもいいですか？ あなたの心の中に湧きあがってるそれ、何です？」（中略）「それってどういうことかな？」「こっちが聞いてるんです。それは何です？」「何って過去？」（中略）「あー、過去」「そりゃいろいろあったよ。思い出すの」「それらを全部まとめたものが」「過去」「それ、もらいます」。真壁、指先を男の額につける。男、倒れ込み「あれ、涙出てきちまった、おかしいな」。（中略）タツオ「ざまあみろ。さあ、行こう。もう十分だろ？」「（中略）もう少し続けるよ。そうだな、次は」。“未来”と題された卒業アルバムを手にして真壁「これ、何です？」「未来？」「ええ、未来です。イメージして」「未来」「そうです。それ、もらいます」。再び男の額に指先。「ああ、これが未来か。なるほど」タツオ「おい、もういいだろ」「いや、まだだ」。“命”という冊子を手にして「あと、これももらっていいですか？」「「い・の・ち」「いいかげんにしろよ」「命、あなたの命です。イメージして下さい。（中略）それ、もらいます」。額に指先。「おい、もういいだろ、もう止めろ」。男、失神。
家を出る。「大丈夫だよ。本当に命を奪った訳じゃないんだから」「とにかく、こんなひどいやり方はだめだ。いいな」「選んだのは君だ」「そうだよ、だから俺がやめろと言ったらやめてくれ」。タツオの後を歩いていく真壁「今君が僕に感じてるのは何だ？」「ええ？」「それだよそれ。すごく強い。人間を支配している何かなんだろ？ 恐怖か？」。歩みを止めるタツオ。「何だよ。次はそれがほしい？」「また選んでくれ。できるよな？」。再び歩き出すタツオ。
帰宅するタツオ。エツコ「お帰りなさい。早かったわね」。タツオ無言。「どうしたの？」「ん、別に」。コップで水を飲もうとして、コップを右手から落とす。「くそ！」「真壁さんと何かあったの？」「何でもない。ちょっと疲れてるだけだ」「あの人と毎日何やってるの？」「いいから！ これは仕事だ」「仕事？ どんな？ ねえ、右手が時々しびれるんでしょ？ 前はそんなことなかったのに。何の症状？ いつからそうなったの？ タツオが変になったの、それと関係あるんだよね」「何でもないっていってるだろ。俺がやることに詮索するな」。タツオ、エツコの頬を平手打ち。お互いを見つめ合う二人。
夢でうなされ、叫びながら目覚め、泣きながら床をはいずるタツオ。「もう嫌だ。勘弁してくれ」。エツコ「大丈夫。大丈夫だから」とタツオを抱く。（第三話に続きます……）
→Nature Life（http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto）
真壁「あの人？」タツオ「ああ」「名前は？」「河内カズヨ。この会社の社長だ（中略）」「君があの人を選んだ理由、聞いてもいいか？」（中略）「俺が低レベルと判断した人間だ」「どういう基準で？」「うちの病院、ここの重要な取引先なんだ。あいつ半端じゃないワイロを払って、肉体も含めて（中略）」「分かった」。真壁、河内に「あっ、河内さん。あなたは低レベルな人間ですか？ そうですよね」「何言ってるの？」「（中略）皆あなたのこと低レベルって思ってますよ」「ふざけたこと言わないで。（中略）あなたね、誰だか知らないけど何が目的なの？ レベルがああとかこうとか人を怒らせて何か売り込むつもり？」「（中略）怒る理由は何ですか？」「何ですかって」「その傷ついたものは？」「プライド」「プライド？（中略）それ、もらいます」。真壁、指先を河内の額に当てると、河内はその場で崩れ落ちる。真壁「なるほど、これがプライドか」「どうしたんだろう、私」タツオ「行こう」（中略）。
自宅の食卓。「ねえ、タツオ。今日も真壁さんと一緒？」「ああ、仕事だから。ずっと一緒っていう訳じゃないけど」「その影響であんなこと言ったの？ 世界が終わるって」「よく覚えてるな。朝の太陽見てたら、そんな気分になっちゃった」「それでその後、もし助かる枠があったらどうするって聞いてきたよね」「俺そんなこと聞いた？（中略）」「私考えたんだ。（中略）私タツオと二人だけでいいから助かりたい」「そうか」。
男「まさか山際君が訪ねて来るなんて思ってなかったよ。13年ぶりだっけ？ 懐かしいなあ（中略）」タツオ「すいません、急に近くに用事があったもんで、ちょっと寄らせてもらいました」男、席を立つ。真壁「どんな奴？ やっぱりレベル低いのか？」「中学の担任だ。あいつは差別した。集中的に俺を狙って（中略）」。男「お待たせ、あったよ。懐かしいもの。（中略）こういうの見てると思い出すんだよね、いろいろと。ねえ、山際君」「はい、思い出します」「あ、これ、２年の修学旅行。旅館でさ、騒いで、先生と生徒が一緒になって。ひどく怒られたね、旅館の人に。（中略）やあ、懐かしいなあ」「その修学旅行、参加してないです」「で、それって？ ああ、そうかそうか」真壁「ちょっと聞いてもいいですか？ あなたの心の中に湧きあがってるそれ、何です？」（中略）「それってどういうことかな？」「こっちが聞いてるんです。それは何です？」「何って過去？」（中略）「あー、過去」「そりゃいろいろあったよ。思い出すの」「それらを全部まとめたものが」「過去」「それ、もらいます」。真壁、指先を男の額につける。男、倒れ込み「あれ、涙出てきちまった、おかしいな」。（中略）タツオ「ざまあみろ。さあ、行こう。もう十分だろ？」「（中略）もう少し続けるよ。そうだな、次は」。“未来”と題された卒業アルバムを手にして真壁「これ、何です？」「未来？」「ええ、未来です。イメージして」「未来」「そうです。それ、もらいます」。再び男の額に指先。「ああ、これが未来か。なるほど」タツオ「おい、もういいだろ」「いや、まだだ」。“命”という冊子を手にして「あと、これももらっていいですか？」「「い・の・ち」「いいかげんにしろよ」「命、あなたの命です。イメージして下さい。（中略）それ、もらいます」。額に指先。「おい、もういいだろ、もう止めろ」。男、失神。
家を出る。「大丈夫だよ。本当に命を奪った訳じゃないんだから」「とにかく、こんなひどいやり方はだめだ。いいな」「選んだのは君だ」「そうだよ、だから俺がやめろと言ったらやめてくれ」。タツオの後を歩いていく真壁「今君が僕に感じてるのは何だ？」「ええ？」「それだよそれ。すごく強い。人間を支配している何かなんだろ？ 恐怖か？」。歩みを止めるタツオ。「何だよ。次はそれがほしい？」「また選んでくれ。できるよな？」。再び歩き出すタツオ。
帰宅するタツオ。エツコ「お帰りなさい。早かったわね」。タツオ無言。「どうしたの？」「ん、別に」。コップで水を飲もうとして、コップを右手から落とす。「くそ！」「真壁さんと何かあったの？」「何でもない。ちょっと疲れてるだけだ」「あの人と毎日何やってるの？」「いいから！ これは仕事だ」「仕事？ どんな？ ねえ、右手が時々しびれるんでしょ？ 前はそんなことなかったのに。何の症状？ いつからそうなったの？ タツオが変になったの、それと関係あるんだよね」「何でもないっていってるだろ。俺がやることに詮索するな」。タツオ、エツコの頬を平手打ち。お互いを見つめ合う二人。
夢でうなされ、叫びながら目覚め、泣きながら床をはいずるタツオ。「もう嫌だ。勘弁してくれ」。エツコ「大丈夫。大丈夫だから」とタツオを抱く。（第三話に続きます……）
→Nature Life（http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto）