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羽仁進監督『初恋・地獄篇』

2012-08-10 04:38:00 | ノンジャンル
 羽仁進監督、寺山修司・羽仁進脚本の'68年作品『初恋・地獄篇』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 未成年で初体験だというシュンとホテルに入ったナナミでしたが、シュンはコトに及べません。シュンのことをもっと知りたいというナナミに、7才の時に親父と死に別れ、ボクサーと再婚した母に捨てられた後、乱暴で施設に入れられますが、その後、福祉家の夫婦に引き取られ、「お父さん」「お母さん」と呼ぶようになり、お父さんから彫金を学んだと話すシュン。暗いというので「笑う会」に入れられ、休みの日には鳩に餌をやるため公園に行くシュンは、お父さんに感謝していると言います。ナナミは静岡から集団就職で東京の靴屋に勤めるようになりましたが、安い給料のためヌードシアターで働くようになったと言います。常連もつくようになり、こんなにお金がまたったと通帳をシュンに見せるナナミ。もう一度試してみる?というナナミにシュンもその気になりますが、笑い出してしまい、また出直そうと言う二人。「私のこと好き?」と言うナナミに「好きだ」と言ってキスするシュン。
 彫金するシュンに昔話をするお父さん。シュンの後ろからキスし、手をはわせるお父さん。寺の墓場で少女と遊ぶシュンは、少女が出したなぞなぞの答えが分かりません。少女の手をなでて目を閉じるシュンは、母とのキスを思い出します。その様子を墓の陰から見つめていた男は「このすけべ野郎!」と叫んでシュンを追い始め、シュンは逃げます。群衆に捕まり、平手を喰らうシュン。
 急に元気がなくなったといってお母さんと催眠療法を受けに来たシュンは、女房がいなくなったと話しかけ、パンツに手を突っ込んで来るお父さんの姿や、激昂するお母さんの姿にうなされます。東大の新入生へのインタビューをテレビで同僚と見るナナミ。指名が入り常連の安国寺と店を出たナナミは、地下のスタジオに連れていかれると、そこでSMの実演をさせられます。彼らをつけていったシュンは、その姿を見て苦しみます。
 彫金をするシュンは、少女の声が頭の中で響く中、ナナミの名前を彫ります。安国寺とナナミの前に現れたシュンでしたが、安国寺は女の愛は信じないが、自分のために背中に傷をつけるナナミの優しさは信じると言って、シュンに殴られそうになります。石焼芋を食べ、ラーメン屋に寄るシュンとナナミ。日曜日の岩場での撮影会で、ナナミは家族と海岸に遊びに来ている安国寺を見かけます。
 境内で空笑いをし、走り出すシュン。ナナミは地下のスタジオがバレエの練習に使われていて、安国寺が消息を絶ったことを知ります。寂しい人のためのレコードを売る娘。路上で全裸になり警官に捕まる男。女房が出かけたと話しかけるお父さんと、ナナミの姿を思い出して自慰をするシュン。全裸の少年だった自分を思い出すシュン。シュンを覗き見るお父さん。
 中学の同級生で唯一高校に進んだ台数君とラーメン屋に来たナナミは、シュンに彼と文化祭に行こうと誘います。そこでは台数君の作った映画「初恋の記録」が上映され、皆途中で席を立った後、二人は上映後拍手します。帰りに映画をけなすシュン。バーで酒を飲んだ二人は、少女の出したなぞなぞの答えを知り、笑い、はしゃぎ、明日の晩同じホテルでまた試そうと約束すると、シュンは「初恋だ!」と叫んで、二人は路上でキスします。
 朝ヒゲを剃るシュンに背後からキスするお父さんをシュンが突き飛ばすと、お父さんは「恩知らず!出ていけ」と叫びます。少女と再会し、旧交を暖めたシュンは、今度ナナミお姉さんを連れて来ると言います。ホテルに向かうシュンは、以前スタジオにいた男からナナミを変態ショーに出して一儲けしようと言われ、逃げだします。ホテルに先に着き、新しい花をいけ、裸になって待つナナミ。シュンは道に飛び出して車に轢かれ、その瀕死の状態をホテルの窓から見たナナミは無表情になります。無人のシャワーで映画は終わります。

 フランスで5月革命が起こっていた68年の映画というのが感慨深い、そんな映画でした。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/