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飴村行『粘膜兄弟』その3

2012-08-09 03:30:00 | ノンジャンル
 またまた昨日の続きです。
 二人の戦死の知らせを受けていたゆず子は、二人の姿を見て驚きますが、麿太吉の生還を心の底より喜びます。ゆず子は麿太吉にほれていることを矢太吉に告白しますが、矢太吉はショックのあまりその場を立ち去ります。麿太吉とゆず子は結婚し、二人で暮らし始めます。ゆず子は麿太吉に、以前金持ちと結婚したものの、夫の浮気のために離婚し、その子供も闇医者に堕ろさせたために子供ができない体になってしまったことを告白しますが、麿太吉は全てを受け入れます。
 結婚して一カ月後、矢太吉が旅から帰ってきます。彼は旅先で知り合った帝大生から、いずれ巨万の富を得て絶世の美女と結婚できると断言されたと誇らしく言い、一人暮らしをする家が見つかるまで、しばらくはヘモやんの部屋で寝起きすることになります。
 翌日、戦地で命拾いをしたポン太がやって来ます。彼は寅之助と針市を双子が殺したことを推理していて、双子を殺して組の盃をもらうつもりであることを述べ、二人に決闘を迫り、それを受けないなら脱走兵として憲兵に通報すると言い、双子は決闘の申し出を受けます。二人は念のため、ヘモやんも秘かに連れていくことにしますが、亀吉も一緒に行きたいと言い出し、彼も連れていくことにします。
 決闘の場である吉太郎神社前の広場に着いた二人は、既にそこで待っていたポン太の前に進むと、落とし穴に落ちてしまいます。ポン太の背後から近づいたヘモやんは、持っていた巨大な金槌を振り上げるとバランスを崩してポン太の知れるところとなり、やはり穴に落とされます。やがて城田組の者たちがやって来るとポン太は言いますが、そこに現れた亀吉はポン太の股間を喰い破り、穴から出た矢太吉は金槌でポン太の頭を砕き、殺します。
 翌日、矢太吉は旅先で知り合った帝大生が詐欺師として捕まったという新聞記事を読み、怒りに震えます。その直後、矢太吉は黒助の襲撃を受けますが、亀吉はその正体を知っているそぶりを見せます。そこへゆず子があわててやって来て、双子の父の仇である村木がカフェーに現れたことを麿太吉に告げます。村木が現れたことを知った矢太吉はすぐに復讐に出かけようと言いますが、ゆず子との今の生活を続けたい麿太吉は矢太吉に、復讐すれば顔が割れ、脱走兵として銃殺されてしまうと言って矢太吉に復讐を思いとどまるように説得します。
 翌日の早朝、ヘモやんが麿太吉を起こします。ヘモやんは前の晩に酔っ払って矢太吉につい村木の居所を言ってしまい、朝目覚めると鞄に入った村木の生首が置いてあったと話し、顔を見られたので逃げると書かれた手紙も添えられていました。新聞には事件が矢太吉の似顔絵とともに大々的に報じられていました。
 翌朝麿太吉が起きると、自分もゆず子も縛られていて、目の前には矢太吉が立っていました。矢太吉はせっぱつまったのでもう死ぬと言い、その前に本当にやりたかったゆず子とのセックスをすると言います。結局矢太吉はゆず子を犯し、殺意を抱いた麿太吉は親指がないことを利用して手首の緊縛を解き、矢太吉の残った目をつぶします。目が見えなくなり激昂した矢太吉は持っていた牛刀を振り回し、それは麿太吉の胸に刺さります。
 闇に包まれた中で目を覚ました麿太吉は、自分が死んだことを悟ります。そこに現れた吉太郎様は輪廻の可能性を述べますが、麿太吉は矢太吉への恨みがまだ解消されていないので、輪廻できないと訴えます。吉太郎様は麿太吉を黒助の姿に変え、それ以来麿太吉は矢太吉への暴行を続けるようになるのでした。

 矢太吉の目が摘出される拷問のシーンは、読んでいて気分が悪くなるほどの迫力でした。飴村さんの小説は読んでいて、どんな残虐な展開が待っているか、どうしても期待してしまうところがあります。そういった点でスリリングな小説だと思いました。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/