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奥田英朗『最悪』

2006-06-18 16:56:24 | ノンジャンル
 奥田英朗氏の「最悪」を読みました。とても面白い小説でした。
 金属加工の工場主で、近所からの騒音の苦情の対応に苦慮し、取り引き先から2000万で新しい機械を入れる様勧められている中年男性、会社の新人歓迎会の時、上司に強姦されそうになったことを会社に訴えると逆に会社の揉み消し工作に合い、うんざりしているOL、トルエンの密売をしようとして、やくざに目をつけられ、500万の金を作れとやくざに命令された不良青年と、彼の彼女でありOLの妹である少女。彼らは、不良少年がOLが勤める銀行に強盗に入ることによって、一同に会し、図らずも四人で車で逃走するはめになります。OLの会社が持つ御殿場の保養施設に逃げ込みますが、やくざに発見され、その直後に警察にやくざもろとも捕まります。工場主は自分の工場を閉鎖し、隣の工場で働かせてもらうことになり、強盗をした青年は懲役に、OLは妹が強盗の一味だったことが明らかになって、銀行を辞め、デザイン事務所で新たな人生を始めます。
 この小説ではやくざの暴力が頻繁に描写されていて、そうした凶暴な人間 VS 心ある人間という構図が全体を通してあるように思いました。簡潔な文体、適格な描写、またストーリーも面白く、どんどん読める小説でした。
 まだ読んでいない方、オススメです。