ITエンジニアの九十九折(新)

これまで経験したことや考えを思いつくままに綴って行こうと開設しました。マラソンをするように長く続けて行くつもりです。

47.企業不祥事を考える(1,175字)

2007-02-07 | Management&Economics
このところ、連日のようにマスコミ報道に食い込んで来るのが企業の不祥事にまつわるニュースです。

「不正経理」、「粉飾決算」、「官製談合」、「データ捏造」、「リコール隠し」等々挙げれば切りがありません。

本日は、コンプライアンス(法令順守)が叫ばれる中、なぜこうも多くの企業不祥事が繰り返され、そしてなくならないのかを考えて見ることにします。

企業の不祥事は、大きく単独犯行と組織的におこなわれる場合とに大別されると思います。

前者の事例としては、権限を持った人がその立場や役割を利用して、不正を働くケースです。架空売上や金銭の横領事件等が挙げられます。
一方、後者は不正行為に社内外の利害関係者が複数関わり、一見してわかりにくい構図を成して一群となって犯行に及ぶケースです。官製談合やデータ捏造、リコール隠し、期限切れ問題等が該当します。

私なりの分析では、主として単独犯行には、「欲望」が絡んでおり、組織的犯罪には、「利益操作」や「面子や体面」が作用していると考えています。

人の欲望には尽きるところがありません。「魔がさした」という言い訳を聞くとき、人間としての愚かさと弱さを感じます。

また、組織の長が、会見の席上で深々と頭を下げて謝罪する姿を見ると、果たして、この人は発覚前にどこまで自分の立場を追い込んで未然防止に努めていたかを勘ぐってしまいます。

不正や違法行為が個人や組織の「倫理観」に根ざしている以上、最終的にはその資質に負う部分が大きいと思います。

しかし企業が社会に存在し続ける以上は、組織として誠心誠意を尽くして役割責任を果たすこと、すなわち商品やサービスの提供、株主への利益還元等が第一義である筈です。

そして、その際の原動力となるのが、経営トップの倫理観や関わり方ではないかというのが私なりの結論です。

なぜならば、倫理の問題は最後は人間性の勝負とも言われるだけに、経営者が絶対に不正は許さないという断固とした言動を取ることが是非とも必要と考えられます。もう一つ付け加えると、社内に相互牽制が働く内部統制の仕組みを作り上げ、すべてを可視化して不正を起きにくくすることです。

おまけ
最近の企業を取り巻く環境は、「成果主義」や上場企業の「四半期決算の開示」という短期的指向性が加わったことも、もしかすると「圧力」として不祥事の温床になっていると指摘できなくもありません。

これに関連して一橋大学の二人の識者(岩倉正和大学院教授と野中郁次郎名誉教授)が法令と組織の別々の視点から、同じようなことを新聞紙上で述べられていました。
それは、「組織内に失敗や再挑戦を許す土壌を作ることが是非とも必要である。」というものです。皆さんはどんなふうにお考えですか?

経営者の重要性を論じたものとして以下があります。
『経営者の条件』大沢武志著(岩波新書)
経営者の条件

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