福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

「様」か「さん」か「様様」か (1)

2008年05月19日 07時32分16秒 | 医療、医学
 医療現場の患者の呼び方は「様」か「さん」でいろいろ論議を呼んでいる。
 2001年の厚労省の委員会が当時の国立病院に対し「さま」でお呼びするよう指導してからなのか、ほとんどの大病院では「○○様」で呼んでいるようである。マスコミに登場する医師達の多くも、講演会等で中央からお呼びする演者も「患者様・・患者様」と連発している。乳児の病気のことをTVで解説していたある小児科教授が「この小さな患者様でも・・・」と述べたのには思わず笑ってしまった。

 しかしながら、患者側の7割近くが「様」で呼ぶ事には批判的だとされ、医師も様々な理由から批判的な意見の人が多いという。私は「さん」で呼ぶことを推奨している。だから、「患者様」と表現する医師が登場するたびに気恥ずかしくなる。しかし、当院ではかつて「様」にすることが論議されたこともあって、まだ「様」で呼んでいる部署もあり、なかなか統一が図れない。まあ、当院は患者対応のマナーはそれほど悪いわけでないから、そんなに目くじらを立てるほどの問題でないと割り切って時間をかけることにしている。

 院長の意向で何とでも出来る診療所の実情を調べれば医師の考え方がわかる。実際そんな調査もある。それによると診療所ではむしろ「さん」で呼んでいるところが圧倒的に多いという結果であったという。
 ある診療所で試しに「様」で呼んでみたら何となく患者の表情がよそよそしく、ぎこちなくなり、「いまさら何でですか、よそよそしい」と評判も悪く、すぐに元に戻した、というところもあるようだ。やはり、診療所はかかりつけ医として医師・患者関係が暖かく、よりスムーズであり、良い医療の原点でもある。そんなところで「様」づけはそぐわない事にもなる。
 私は病院の医師であるが「様」で呼ぶことに抵抗を覚えるのもそのためである。

 ところが、最近、大きな病院で、特に救急の現場で多いのだが、「○○様様」として扱われなければ満足しないようなモンスター患者が受診し、受付や救急診療の現場、苦情受け付け担当者を悩ませている。

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