最近、寿命が延び、家族構成の変化、個人と社会の関係希薄化などを背景に、「夫婦別々のお墓に入りたい?」との希望が増えていると聞く。
実際にどれくらいの割合の人がそう考えているのか。
私には実態がわからないが、この話題に関連して板谷美雨著「夫の墓には入りません」(中公文庫)という小説を読んでみた。夫の死後婚家との関係を断ち切る「婚姻関係終了」手続きなどにも触れており、とても参考になった。
(板谷美雨著「夫の墓には入りません」表紙)
この話題に関しては、某保険会社の調査結果もある。
2016年お盆に帰省の予定がある30~60歳の既婚者500人(男性、女性それぞれ250名ずつ)に実施した「帰省やお墓・終活についてアンケート調査」によると、女性の3人に1人は夫と同じお墓に入りたくないと回答している。
意外と多いものだと思った。
理由としては、「義父母と一緒だから」、「死んでまで一緒は嫌」といった意見が上位を占め「散骨希望」、「実家のお墓に入りたい」という声が続いた。
一方、男性は7人に1人が一緒に入りたくないと回答。その理由は「何となく、特にない」が半数を占め、「散骨希望」、「死んでまで一緒じゃなくてもいい」の順に多かったという。
私は不勉強で、「夫婦は同じ墓に入るもの」と漫然と考えていたが、調べてみるとそういった決まりはなく、実家のお墓に入ったり、自分一人のお墓を建立することも可能という。ただ、この件は遺言書の対応外で、遺言書は一般的に財産に関するものが多く、お墓に関する指定は含まれない。だから遺言書に書いてもお墓についての希望を実現できるとは限らない、らしい。
夫と同じ墓に入りたくないなら、生前に夫や夫の実家と話し合い、理解を求めておく必要がある。何も対応していなかったら社会通念に沿って夫のお墓に入れられてしまう。
実家のお墓に入りたい場合、実家の「先祖の供養や法要についてとりまとめる責任者である祭祀主宰者」の許可と理解が必要、という。
自分一人だけのお墓を建立して欲しい、友人と同じお墓に入りたい、樹木葬にしたい、散骨してほしい、永代供養にしてほしいなどの場合には、死後に手続きをしてくれる第三者を探し事務委任契約を締結しておく必要がある。
弁護士や司法書士など、資格を持った専門家に依頼するのが親族間の感情的トラブル回避の方法という。
「夫婦別姓」も取り沙汰されている。そのうちに「夫婦別墓」も大きな話題になるかもしれない。
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