福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

東京都交響楽団演奏会(2) 曲、演奏者、会場の雰囲気共に心から楽しめた演奏会

2012年03月16日 07時47分23秒 | 音楽談義
 3月10日(土)18:00から秋田県民会館で東京都交響楽団(都響)の演奏会があった。
 10分ほど前に会場に着いたが、驚いたことに雨降りの中、玄関先から外に2-300人ほどが2列に並んでいて、最後尾を示すプラカードの職員まで出ていた。私にとって、秋田で、県民会館では初めての経験である。私は並ぶ趣味は無いので玄関先で雨をしのぎながら最後尾の方が入るのを待った。小雨とは言え外に並んだ方々にはお気の毒であった。雨なので開場時間を予定より早めれば良かったのではないか,と思った。会場はほぼ満席、実際には1階後部に若干の空席があった。一応、希望通りに最後部の席が確保でき、曲や演奏の詳細をコメントする力は私には備わっていないが、ゆったりと心底から楽しめた。



 プログラムはチャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』より「ポロネーズ」、ピアノ協奏曲第一番、交響曲第5番。アンコールは『ダニーボーイ』。

 『エフゲニー・オネーギン』はこの作曲者の代表的歌劇で、私にとっては決して身近な作品ではないが、「ポロネーズ」はその中の比較的聞き慣れた小品である。10年以上前にウイーン国立歌劇場で聴いたが、それ以来でその時の舞台を思い出した。
  ピアノ協奏曲協奏曲、 交響曲第5番 は演奏会で何度も聴く機会があったが、私はそれほど好きと言うわけではなかった。今回の演奏を聴いて曲自体の構築,緻密さと,迫力と、こんなに素晴らしい曲だったのか・・と私にとって新発見がいろいろあった。独奏の小山実稚恵氏は力強いかつ繊細な演奏であったが,盛大な拍手に応える姿は少女を思わせるはにかみ調であった。鳴り止まない拍手に応えアンコールを奏したが何という曲か分からない。ドビュッシーか?
 交響曲第五番は絢爛豪華な演奏で実に素晴らしかった。
 
 指揮の小林研一郎氏はレパートリーはそう広くないようだが演奏の評価はすこぶる高い。今回の演奏のコントロールも,都響の演奏も見事であった。人柄なのか氏は演奏の前後にオーケストラのメンバーに良く頭を下げていたし、さらに演奏終了後、拍手が鳴り止まない中、各パートのもとを訪れ首席演奏者から順に立たせて全員に労をねぎらった。確かに,楽団員をねぎらいたい気持ちが見てても満ちあふれていたが、私的な感情であるから聴衆の前でやるのはちょっとしつこい。演奏のもう一人の責任者であるコンサートマスターだけにでも良かったし、あえて挙げるなら導入部から見事なソロを聴かせたバスクラリネット奏者の糸井氏くらいで良い、と思う。

 小林氏はその後鳴り止まない拍手を制して「明日、一年を迎える、忌まわしい大震災で犠牲になられた方々に・・・」とコメントしてダニーボーイを静かに演奏した。私はこの曲の後、早々に会場を後にした。その後、何か演奏されたのかは知らない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする