柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

快挙

2012-10-09 08:24:35 | Weblog
ノーベル賞です。この人は確実だという下馬評をあちこちで見てましたからびっくりではないことでしたが、目出度いことです。iPS細胞。iPhone もじって命名(表記)したというエピソードも有名です。induced pluripotent stem cell ですフル表記では。人工多能性幹細胞です訳語は。どう聞いても何のことやらわかりませんが、こういう時には得てして日本語の方が難解です。読んでもなんのこっちゃらわからないことが多いのは漢字表記です。いわゆる直訳系、生硬なもの。英単語で見た方がわかり易いことが多いもんです。本人しばらくTVに引っ張りだこでしょうが、真実のベールを多くの人が一枚一枚めくって来て、最後の一枚をめくれたものが全体を見渡せる、たまたまそこに居合わせただけだ、という謙遜、この研究成果でまだ一人も救えていない、という医者としての矜持等々、聞いている者を(TV見ている者)安心させてくれることでした。特許は自分の利益の為に獲るものではない、こういう技術は世界中に広めなければならぬという信念。特許は個人でとるのではなくて京大でとるなんてこと言われてましたね。この辺りの欲のなさというか、金、金言わぬ潔さがいいじゃないですか。万能細胞は受精卵を使う方法が先行していましたが、受精卵ですからね、赤ん坊の元です、それをいじくるという倫理的な問題が大きいのでしたが、この技術はそれを使わないのです。皮膚でもどこでもの細胞でいいのです。こりゃすごいわなぁ。クローン技術とも理屈は違うことですが、同時受賞された老研究者は1962年にもう蛙で実験に成功していたってんですよ。ええ?62年?クローン羊ドリーがセンセーショナルに報道されるまで、長く雌伏していた技術であったということです。そんな話、学生時代にも聞かなかったぞ。と、不良学生が偉そうに言うわけでした。基礎研究というのは本当に陽の目を見ないという現実です。こういう人達によって先端技術は支えられているということをこういう時にしか我々は知る機会がないのです。再生医学の発展を祈ることです。快挙に祝福を。
コメント
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