銀の人魚の海

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オシムの国

2014-06-23 | サッカー
22日夜放映、NHKスペシャル

「オシムの国のW杯」

とても良かった。

W杯から10日経ち、試合以外、民放はタレント、芸人、元選手を、

誰でもいい感じで並べ、全て見てはいないが、

多分同じような内容が多いはず。

お気楽W杯も悪くはないが、これは、

NHKだからこその番組に仕上がっていた。

少し前、ここへも書いたが、NHKでオシムの似たような放映を見ていたので

再放送か?編集を少し変えて?と思ってみたら、全く新しい内容だった。

ボスニアヘルツェゴビナはこの大会でW杯初出場。

15日のアルゼンチンとの初戦映像もしっかり入れ、

ボスニアのサッカーバーで、その試合を観戦するオシム夫妻の様子、

サポーターの興奮、感動、歓喜、

初ゴールの感激なども撮られているので、

だいたいの構成は練ってあっただろうが、

ボスニアのGL初試合後、数日以内で完成させた番組だろう。

オシムが旧ユーゴスラビアの代表監督時代の事、

内戦銃撃戦の映像、内戦で子供が多数亡くなった現実、

毎年行われる追悼式などが詳しく映る。

90年のイタリア大会でオシム率いるユーゴスラビアはアルゼンチンと戦い、

もつれPK戦へ、その時、最後かに外した選手がストイコビッチだった!

彼も登場し、当時の気持ちをひっそりと語っていた。

あの時、オシムが「PKを蹴りたいのは?」と聞くと、

手をあげた選手は2人しかいなかったという。

はずすと他民族からの攻撃が怖いからだった。

オシムがPK嫌い、PKは試合ではない、というのは、

この忘れられないユーゴスラビア最後のW杯試合のトラウマかもしれない。

ユーゴスラビアは、その後五つかの民族に分かれ独立する。

その一つである、ボスニアヘツェゴビナ、

独立はしたが、三つの民族での争いは内戦へ発展。

宗教はセルビア正教系、ムスリム系、カトリック系と

三つの民族に分かれているが、その対立をサッカーではなくそう、超えようと、

一つのサッカーチームに導いた人がオシムだった。

ボスニア独立から22年、三つの民族融合チームができる。

W杯ブラジル主力選手2人は、内戦時はまだ少年だった。

当時、サッカーができる時間は限られ、団地の地下のシェルターで隠れて過ごしたという。

彼らの生い立ち、父母、現在の気持ちも撮られていた。

政治、内戦が、サッカーというスポーツに、

ここまで影響していたかと感じた。

日本などでは考えられない国の歴史、サッカー環境がよくわかり、

丁寧な取材、構成の好番組だった。

日本の代表監督になり、日本で病で倒れたオシムがまだまだお元気で、

サポーターたちからは、神様のように尊敬されていることも知る。

ボスニアでは生涯にわたり偉大なサッカー指導者であるだろう。

オシムはボスニアがW杯初出場を決めた試合後、観客席で泣き、

W杯、アルゼンチンとの試合のボスニアゴールでも泣いていた。

ボスニアは、GL突破はできなかったが、

W杯、初のワンゴールを決めた。

私も見ていて嬉しく思う。

そして、巨大NPOであるFIFA、スイス、チューリッヒの近代的、

SFのようなモダンな建物を初めて見た。

ここからW杯の歴史は始まった。

オシムさん、元気でサッカーを見つめていてほしい。


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