読書感想文21 ~夜の桃~

2011-10-13 21:59:05 | 
沖縄の家族旅行記はまだ一日目が終わったところ。
ちょっとペースが遅すぎなので、
がんばって早めて行かなきゃなんですが、
2日目に入る前に、ちょろっと読書感想文でも。

石田依良氏の作品は初めて読みました。
これまではまったく氏の作品に興味がなかったのです。
直木賞を受賞した【4TEEN】はあらすじを読んで、
興味が湧くことなく。
40歳になって中学生の冒険物語を読んでもねぇ。
だから縁のない作家だろうなと思っていたのですが、
仕事場の同僚が本作を読んでいて、
スゴいから読めと薦められ、イヤイヤ読み始めた次第です。

読んでみるとスゴいと表現していた意味がわかりました。
だって全編エロスなんですもん。
これはね、もう官能小説です。
でも、油断して読んでいると、
人間の日常や男の本質を鋭く突いた表現にエグられたりするんです。
いや、本質を突いたというのは語弊がありますね。
本質を突いたように思える表現としておきましょう。

美しい妻と、艶やかな愛人Aと、若い愛人B。
その中でひたすら自分に酔いながら、
情事を繰り返す主人公の奥山。
IT業界のニューヒーローとして世間からは羨望され、
青山に5億円の豪邸を建て、
イタリア製のジャケットにスイス製の腕時計をまとう、
絵に描いたようなミニバブルの成功者。
そんな奥山が維持していた危うい四角関係のバランスが崩れ、
つまるところ全てを失うこととなる物語。

はっきり言わせてもらうとね、ちっともおもしろくありませんでした。
ワンパターンもいいとこです。
ちょっとおいしい食事して、
ちょっと高い酒を飲んで、
ちょっとキレイな女性を抱いて、
ベッドの上で気持ちよくなって、大満足。
もちろん色んなプレイを堪能のオマケつき。
その繰り返し。
なんじゃ?この小説。

出てくる女性陣も理解不能。
旦那の浮気にうすうす気付きながら、他の男性とデキちゃう妻。
愛人とその妻と自分との三角関係にやたらと満足する37歳独身女性。
こやつは、自分以外の愛人の存在を知って、
それが許せないと奥山の妻にすべてをさらしてしまう醜態を見せてくれます。
さらに初体験から男を誘い、その瞬間から情事にハマってしまう24歳独身女性。
誰一人として理解できず、小説に没頭できません。

まぁ、いいんです。
たまにはこんな小説もあるんだなと刺激にはなりました。
ただね、これなら純粋なエロ小説を読むほうが、
読後の納得は得られたかもしれないですね。
方向はズレますけど。

とりあえず、同僚には
“ただのエロ小説にもならんな。
罰として【4TEEN】を貸してくれ”
と厳しく言っておきました。
直木賞作品でお口直しをしないとねぇ。
氏への偏見が大きくなるばかりですから。

で、ずいぶん前になりますが【4TEEN】を読み終わりました。
いや、これがナカナカ。
感想文を書きたいと思える作品ですので、
いつの日か、ここに登場することでしょう。
では。