彼の美術館 ~結・後編~

2010-02-01 18:31:09 | 雑記

ようこそ。
彼の美術館へ。

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自ら3次元に生きていることを否定し、
2次元に安らぎを求め、
フィギュアは場所を取るので、収集対象として否定する彼。
そんな難攻不落な彼の犯した罪が、
mercy刑事の厳しい取調べを受けて明らかになりました。
その一部始終は。。。


事件前日の土曜日。
彼は“ましフォニ”というゲームソフトを求めて、
京都のとある大手家電量販店(いきつけ、ポイント溜めまくってる)へ赴いた。
定価が8,200円もするゲームソフト。
もちろん、予約特典つき。
それをスムーズにゲットして満足顔で家路を急ぐ彼の足を止めたのは、
ましフォニ作者のサイン会を告知するポスターだった。
場所は大阪日本橋(いきつけ、これまで100時間徘徊している)。
日時は翌日。
見た瞬間、彼はサインを手にしてスキップする自分を想像できたという。
翌日は早朝から家を出ると、既に日本橋しか見えていなかった。
1時間ちょっとかかる道中が一瞬のように感じたという。
目的のサイン会会場には既に長蛇の列。
抽選でのサイン当選であるにもかかわらず、
自分がサインを手にすると信じて疑わなかったという。
ところが・・・・彼の願いは叶わなかった。
抽選から漏れた彼は、大きすぎる失意の中、
ひとりトボトボと日本橋(いきつけ、今回で徘徊時間104時間になった)を歩いた。
その目には何も見えていなかった。
すれ違う美女さえも、2次元世界に生きる彼には興味の湧くものではなかった。
ところが。。。。
そんな彼のアンテナに唯一引っ掛かる販売促進キャンペーンがあった。
そのキャンペーンとは・・・。

通常、こういう類のゲームには販売店によって色んな予約特典が用意されています。テレフォンカードなんかのカードモノからゲームの主人公を描いた抱き枕まで様々です。でも、同じゲームをいくつも買ったりしないですよね。だからゲットできる予約特典なんて限られるんです。(出典:フケ顔語録)

だそうだが、それらすべての予約特典をつけてゲームを販売している店舗があった。
どれもこれも予約特典好きには垂涎モノの特典の数々をまとめて。
値段は・・・・・37,000円!

普段の僕なら興味は示しても“買う”という選択肢はなかったと思うんです。普通に考えたら高いことは明白ですから。でも、そのときの僕はどうかしてました。どう表現したらいいのかわかりませんが・・・なんか3次元に生きているような感覚です。(出典:フケ顔語録)

誰も彼も3次元に生きていることをすっかり忘れてしまうほど、落ち込んでいたということだろう。
その落胆を少しでも埋めるために、彼は決心した。
いや、潜在意識が決心を強要したと表現したほうが適切だろう。
販売促進キャンペーンを見つけた5分後。
彼は日本橋の大通りに呆然と立ち尽くしながら、
左手には37,000円の予約特典つきパソコンゲームがぶら下がっていた。

逮捕された彼から押収された証拠品の数々。
それが・・・これだ。
ワン、ツー、スリー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品ナンバー6

画像1番下に申し訳なさそうにCDロムがあるのがおわかりだろうか。
それがゲーム本体であり、その他のものはすべて予約特典。
テレフォンカード、下敷き、ポスター、シーツ、枕、抱き枕ナドナド。
こちらが恥ずかしくなるような美少女の雨あられ。
彼は彼女達に見つめられながら、今日も布団に潜りこんでいることだろう。
これが彼の犯した罪のすべてであり、生活の拠り所でもある。


フケ顔君にかけられた容疑は“偏向浪費罪”。
異例の即日起訴~結審で、下された判決は、
次回の飲み会で、みんなの前で今回の犯行を克明に陳述するとともに、
3次元復帰に向けた具体的なプランを検討すること、です。
きっとフケ顔君にはたまらなくつらい飲み会になることでしょう。
特に、後段の検討で。
まだまだ2次元に閉じこもっていたい彼なのです。

ちなみに。。。。
これらの犯行を自供している間中、
彼は“後悔している”“反省している”と何度も繰り返していましたが、
その顔は満足感から来る笑顔以外の何者でもなく、
自慢話を聞いているような取調べでした。

そんなこんなで起承転結の4回シリーズでお送りしようと思っていたのが、
予期せぬキータッチの進み具合で5回シリーズになった“彼の美術館”。
実は、ちょっとした後日談もございまして、
そちらについても、いつの日か、お伝えできればと思います。

長らくご愛顧いただきました“彼の美術館”ですが、
とりあえず、今日をもちまして閉館させていただきます。
ただ、臨時会館する可能性もございますので、
その際はまた、この美術館でお待ちしています。
では。