Menton Capital's office

政府、中央銀行、そしてメディアによる我々への欺瞞

そして来る未曾有の世界規模とされる大恐慌への処方箋として

リーマンと米国

2011年06月08日 | Weblog
 昨日の格付けの続きだが、今は亡きリーマンブラザーズを思い出してもらいたい。08年秋に破綻したことは誰しも記憶に残っているだろう。そのリーマンを08年6月に格付け会社ムーディーズが、格下げ方向に見直していたことは紛れもない事実だ。
 断っておくが、筆者はなにも格付け機関を信頼しているわけではない。あくまで破綻数ヶ月前にそういった事が起きていたことに言及している。もちろん、それより以前にリーマンが危ないことは周知の事実であり、夏にはすでに破綻が噂されていたのだ。結果、格付けの最高AAAをもって破綻してしまった。

 ここで気づく人もいるだろうが、当時のリーマンとダブるのが現在のアメリカであり米国債である。S&Pでは最高のAAA、ムーディーズでも最高のAaaの格付けを得ていることはご存知だろう。
 そして現在2社とも格付けは据え置いているものの、SPは見通しを安定的から弱含みに変更したし、ムーディーズにおいても格下げの準備があるという。如何だろう、2008年のリーマンと非常によく似た状況だろう。
 
 また大多数の人々は、リーマンブラザーズという当時世界第二の投資銀行が破綻するなど考えていなかっただろう。そして今日も大多数の人々は米国の破綻など考えもしないだろう。
 まさか、と言うのだろうが、そのマサカは3年前に起きているのだ。そして当時はリーマン以外にもAIGやシティといった多くの世界有数の金融機関が壊滅状態に陥った。今やメリルリンチ自体の名を聞くことはなくなったのだ。
 そしてその尻拭いをしたのが政府やFedといった官であるが、そのツケが今日企業から国家へと回ってきたというのだ。さて今回は大多数の勝利となるのか、それとも前回同様少数派の勝利となるのか。

 7日の日経夕刊に、おもしろい記事があった。それは金融の稼ぐ力への懸念というものだ。07年1~3月期は市場全体の30パーセントを金融が稼いでいたにもかかわらず、11年10~12月期は17パーセントにまで落としているのだ。現在の米国は金融とITで儲け全体の大部分を占めている。その金融に勢いがないといのは、国力が顕著に目減りしているということだろう。
 もちろん製造業が力をつけ始めているということでもない。それどころか、製造力が米国のGDPを占める比率は低下する一方だ。その金融が落ち込む背景には、やはり不動産バブル破裂後の今日の低迷が一因だろう。今年も前半戦が終了に近づきつつあるが、今後の米国は悪い意味で非常に注目の的だ。


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