外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(22)~トルコからイタリアに移動~

2020-08-10 09:32:25 | イタリア

 

今回は旅行記の続き。トルコのイスタンブールからイタリアのフィレンツェに移動した日の話だ。

 

イタリアではまずフィレンツェに5泊して、友人に会ったり散歩したりしてのんびり過ごし、それから南に移動して今まで行ったことがなかったバジリカータ州を3泊で旅し、最終的にローマから帰国する予定だった。

 

重い荷物を抱えて国から国へと飛行機で移動するのは、体力も気力も足りない私にとって大変な重労働だ。もう年ですしね。貧乏性(っていうか、貧乏)なので、つい1回の旅行でまとめて3か国回ったりしてしまうが、今後はせいぜい2か国までにしようと心の中で誓う。ほとぼり冷めたら、またやってしまいそうだが。

 

この日は、3時間睡眠で朝8時になんとか起床し、荷造りしてホテルをチェックアウトした。トラムとフェリーを乗り継いでアジア側のカドゥキョイに出て、サビハ・ギョクチェン空港行きのバスに乗る。

 

イスタンブル・カルトゥ(交通系カード)を多めにチャージしたので、ちょっと贅沢して空港バス「HAVABUS」(ハワブス)に乗ろうと思ったが(といっても14TL=約200円)、乗ろうとしたバスのカード読み取り機が壊れていて、現金じゃないと乗れないと言われ、手持ちのトルコリラが足りなかったので断念。代わりに路線バスに乗ることにした。

 

カドゥキョイから出ている空港行きの路線バスは複数あるが、私が乗ったのはE-10。7TLなので、空港バスの半額だ(でも差額はあくまで100円)。幸い座れて、1時間半足らずで空港に着いた。路線バスとはいえ、空港の建物入口まで行ってくれるので便利だ。

 

E10の市バス。E11もサビハ・ギョクチェン空港に行く。スーツケースは車内に持ち込む。よっこいしょ~

 

 

今回利用したのはトルコのICC、ペガサス航空のボローニャ行きだ。私はトルコとイタリアの間を移動する時、いつもペガサス航空を利用していたのだが、今年2月に同社の旅客機がサビハ・ギョクチェン空港に着陸する際に事故を起こし、乗員乗客183人中3人が死亡して179人が負傷する事件があり(参考)、その安全性に疑問を抱くようになった。この事故の約1週間後には、ウィーン・イスタンブール線の機長が飛行中に意識を無くし、副操縦士が着陸の操作を代行して事なきを得るという事件もあった。また、2018年1月には同社の機体がトラブゾン空港で着陸に失敗し、あやうく黒海に落下するところだった(死傷者はなし)。いくら安くても、ペガサスには今後はもう乗らないと思う。

 

今年2月5日の事故の写真。機体が3つに折れていた。同じ日に南東部ワン県で雪崩があり、前日の雪崩の死者と合わせて計38人が亡くなった。

 

 

閑話休題。話を2019年9月の私の旅に戻そう。

 

ペガサスはICCなので、機内食やドリンクは有料でやや割高だ。このため、搭乗前に空港の売店でエフェスビールを買ったのだが(ドルで)、500ml入りの缶が45TL(約650円)もした。通常価格の3倍以上だ。うう、買ってこればよかった。でも荷物が増える・・・

 

予定より少し遅れて出発した機内で、有料の機内食を盛大に食べるトルコ人のビジネスマンとキットカットを齧るバカンス帰りらしいイタリア人のお父さんの間に挟まれて、持参したサンドイッチを食べ、エフェスを飲む。サンドイッチはトラムに乗る前に売店で買ったもので、トマト、レタス、牛肉のハラールソーセージが挟まっていた。やはりトルコのパンは美味しい。ソーセージはハラーム(豚)のやつの方が好きだが、イタリアでいくらでも食べられるから、まあいいさ。

 

食後は二度寝タイム。熟睡しているうちに、2時間半ほどで着いた。出発は遅れたが、到着はほぼ時間通りだった。トルコとの時差は1時間。時計を1時間分戻すことになる。

 

ボローニャ空港に入り、他の非EU圏からの外国人たちと共に混雑した入国手続きの列に並んでいると、係員の男性に「日本人はこっち。こっちの方が早く済むから」と言われ、行列が出来ていない方のレーンに連行された。パスポートにICチップが搭載されている国の人用のレーンだ。こんなシステムになっていたとは・・・おかげで、並ばずにスムーズに入国できた。

 

 

空港のバールでカッフェ・マッキアート(スチームミルクを少し垂らしたエスプレッソ)を飲んだ。流れたミルクの形で占いが出来そう。

 

 

空港内のATMでお金をおろし、無料のWi-Fiを利用して泊めてもらう予定のフィレンツェの友人に連絡してから、ボローニャ中央駅行きのバス(AEROBUS)に乗った。バスのチケットは6ユーロ(約750円、1ユーロは現在約125円)で、空港で買える。駅までは20~30分だ。バスのチケット代を払いながら、チュニジアよりもトルコよりもずっと物価の高い国に来たことを実感する。

 

駅に着いたら、自販機でフィレンツェ行きのインターシティーのチケットを買い(14ユーロ)、Wi-Fiのあるバールでまたカフェを飲み、再度友人に連絡してからホームに向かう。

 

ボローニャ中央駅

 

 

ここにチケットを差し込んで、日付を刻印する必要がある。ネットで購入したEチケットは既に乗車日時が入っているので刻印不要。

 

 

ユーロスターより割安のインターシティーではあるが、けっこう快適だ。

 

 

1時間ほどでフィレンツェ・リフレディ駅に着いた。フィレンツェ・サンタマリア・ノヴェッラ駅(中央駅)に行くには、別のホームのローカル線に乗り換えねばならない。スーツケースを抱えて階段を下りていたら、後ろから登場した屈強な中年男性に「運んであげますよ」と言われて奪われそうになったが、後で代金を請求される気配を感じたので、断って自分で運んだ。イタリアはトルコやチュニジアではないので、相手を見て親切な人か下心のある人かを判断する必要がある。ちなみに、これがナポリだったら、相手が誰であろうが即座に断っていたところだ。君子危うきに近寄らずだ。別に君子じゃないが。

 

州をまたぐ特急と各停のローカル列車が連絡しているのか、乗り換えはスムーズに行き、間もなくフィレンツェ中央駅に着いた。

 

車窓からドゥオーモが見えると、「ああ、帰ってきた」と思う。

 

 

フィレンツェ中央駅

 

なんと敷地内にデーツがあって、実がなっていた。考えてみれば、地中海沿岸の国だから当たり前か。

 

電車のホームの出入り口にセキュリティー・ゲートが設置されていた。物乞いやスリ対策らしい。

 


駅構内にフェルトリネッリ(Feltrinelli)の書店が出来て、繁盛していた。かなり広いスペースを占めていて、バールもある。

 

 

友人宅には、駅のそばの停留所からATAFが運営する市バスに乗っていく。ATAF(アタフ)とは、「Azienda Trasporti dell'Area Fiorentina」(フィレンツェエリア運輸会社)の略。フィレンツェで暮らしていた当時、毎日お世話になったものだ。ショーペロ(スト)が多くて閉口したが、ストは労働者の権利だからしょうがない。

 

バスのチケットは、以前とは違って駅構内のタバッキ(煙草を置いている売店)では買えなかったので、外に出て自販機で購入。1枚1.5ユーロになっていた(90分有効)。

 

駅の外側にあったバスの券売機。意外なことに、ちゃんと機能していた。しかも日本語もある。

 

 

駅前にトラムの路線が通ったせいか、バス停の場所も少し変わっていたので、観光案内所などに尋ねてたどり着く。ほんの2,3年ご無沙汰していただけなのに、色々変わっていて戸惑う。

 

トラム

 

 

友人は家で待ってくれていた。お土産を渡して、再会を喜び合う。彼女は私の「フィレンツェ特派員」である。

 

夕食前に近所のスーパー「コナド」で少し買物をする。さすがイタリアのスーパー、ハラームな豚のハムやソーセージがいっぱいある。ワインも安い。うっとり・・・

 

2~3ユーロでまともなイタリアワインが買える。

 

 

夕食も、夕食用のワインも、友人が用意してくれていた。心のこもった手料理で、旅の疲れが軽くなる気がした。トルコではテイクアウトで済ませてばかりで、あまりしっかりと食事をとっていなかったから、なおさらだ。イタリアで知り合った日本人の友人はグルメで料理上手な人が多いが、彼女もその1人。

 

プリモ(1皿目)は鴨肉のラグーのペンネ。本格的で肉が柔らかく、塩加減もちょうどいい。ペンネは当然アルデンテだ。



 

セコンド(2皿目)は牛肉のバター・レモンソテー。カラフルなサラダ付き。写真は失敗・・・

薄い牛肉に小麦粉をはたいて、バターを溶かしたフライパンでソテーし、塩胡椒、レモン汁で味付けしたもの。

 

お土産のシミット(トルコのごまパン)も食卓へ

 

 

料理もワインも全て美味しかった。プリモとセコンドが出る食事は久しぶりだ。近況を色々報告し合いながらゆっくり食事する。友人は「疲れてるでしょう」と言って、後片付けも全部やってくれた。お言葉に甘えて、シャワーを浴びて早めに休むことにした。長い一日だった・・・

 

 

(続く)

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2 コメント

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旅って、ほんとうに素晴らしいですよね (Zhen)
2020-08-10 16:44:42
Michiさん

>もう年ですしね。貧乏性(っていうか、貧乏)なので、つい1回の旅行でまとめて3か国回ったりしてしまうが、今後はせいぜい2か国までにしようと心の中で誓う。ほとぼり冷めたら、またやってしまいそうだが。

わぁ、僕も同じだ。そうなんです。あっちも、こっちも、ここまで行ったならあっちも・・・・。そして、今度は1ヶ所でゆっくりとと反省しつつ、同じ強行軍を繰り返す。

後ろ髪を引かれつつ次の目的地に移動するからまた来たくなるので、それはそれで良いことです。長期滞在すると景色は見飽きて、もういいか、となるものの、現地の人との交流は、良い意味できりがないから、再訪の理由になりますね。

>空港のバールでカッフェ・マッキアート(スチームミルクを少し垂らしたエスプレッソ)を飲んだ。流れたミルクの形で占いが出来そう。

写真を見ると明らかにハートマークですよ。きっと愛の到来間違いなし!(笑) 次の旅行記が楽しみです。

Zhen

タイトルは、以前にご紹介したトルココーヒー専門店のオーナーの言葉です。
Zhenさんへ (michi)
2020-08-11 15:47:21
Zhenさんもあちこち回っちゃうタイプなんですね~

あれって、三本立ての映画のような感じなんですよね。最後の方には最初見たものを覚えてないっていう・・・記憶力が弱いんで。でも、いろんな場所を比較できるのが面白いですね。一か所にゆっくりするのもまた良いものですね。

ミルクの形、その場では気づきませんでしたが、ブログに載せるにあたって改めてみると、ハートマークでした。愛が到来するかしら、土器土器~

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