MELANCOLICO∠メランコリコ!

ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

無理することないよ。

2014-06-23 19:19:34 | PSYCHOLOGY2

悲哀から立ち直っていく過程はとてもゆっくりしたものだし、何かきっかけがないと完全に治ったとはいえない。さらに、「完全」とは言っても、完全に元の状態には絶対戻っていけないと思う。いつだったか、ペットロスの夫婦に話しを聞いたとき、五感に残る記憶が自分の全部を覆ってしまって、それは誰にも理解してもらえないものだと諦めて、どんどんと周囲の「幸せ」な人たちと距離をとるようになっていったという。ただ夫婦で同じ思いを抱いて、お互いに理解し合っているし、無理しないでいこうと語り合えたことが救いだったという。妻は一人だったらどうなったか分からないと言っていた。

思ったことは、悲哀が長引いたとき、人はどんどん孤立していくってことで、自分も閉じこもりがちになり、周囲も理解できないまま離れていくということだ。とくに経済的な生活の心配があったり、過去に兄弟姉妹とのあいだに溝ができていたりといった生きる上での基本的な部分に問題を抱えていると、喪失がとても複雑な過程をたどって深刻化する。さらに、それまでの人生でつねに幸せになることを強迫的に追い求めていた人たちはもがき方が異様な方向に向かいかねない。

支援は、要するに新しい日常を構築していくための方策や、工夫する手立てを見つけ出すことをお手伝いすることになる。距離の取り方も難しい。結局、「解」は自分で見つけてもらわないとならないし、本当に相手の傷ついた気持ちを理解していくことは無理に近い。できることは気持ちをじっと受け止めるということだけなのではないかと感じる時が多い。そして「受け止めている」という行為を考えるとき、あまり言葉に頼ってはいけない。とくに相手の言葉や行動、行為を解釈しきれないときに言葉で補おうとしてしまうと、それは相手の窓をがちゃんと閉めてしまう行為になりかねない。


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