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ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

企業心理学

2011-05-27 18:17:54 | 日記
「米国における企業等研究者の専門別構成比(2003年度)において,心理学は何と 9% に達するのだ。工学(31%),理学(26%),生物学・農学・ライフサイエンス(20%)に継ぐ第4位である。後には,社会学(5%),数学・統計学(4%),情報科学等(3%),保健(2%)が続く。日本では,人文・社会と合わせても1.1%にすぎない(2008年)。工学(76.9%)が圧倒的に多く,理学(15.8%)がそれに続いている」

「心理学者のつぶやき」というHPに上のようなつぶやきがあった。
http://cplnet.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=14

このHPは日本における心理学専攻生の就業について語っているんだけど、今回の東電の原発事故なんかを見ても、企業で働く人たちの間では、独特の心理的葛藤が生まれ、どんなに優秀な人たちの集団でも誤った方向、自分たちに都合のいい方向へ判断を移動させて、大きな損失を被るまで身動きできない状態になっていくということがわかる。すでに産業心理学という学問があって、そうした集団の力動について多くが語られているのは知っているが、よりターゲットを絞って、大企業内でのそうした集団力動をつぶさに研究し啓発していくような部門があっていいのではないだろうか。

上の例をみると、アメリカでは日本よりはるかに多くの心理学専攻生が企業で働いていることがわかるが、今回の東電事故の原子炉を設計したのはGEであり、GE内部でもこの原子炉の欠陥が早い時期から指摘され、実際に極秘に改良はくわえられていたようだが、すでに売った炉については、果たしてその欠陥が報告され改良されていたのかどうか不明だ。GEで内部告発した専門家は退職させられていて、GEのそれに関する情報公開はなされていない。

つまり、いくら心理職の数を増やしても(*心理を勉強してもみんなが心理職として働いているわけではないが)、企業がこうした袋小路に入っていくことは防げないということも事実なのだ。でも、企業がどうしてこうも秘密主義になるのか、商品の危険性に関して、どうして大きな災害が起こるまでひた隠しにする方針を選択するのか、役人もなぜこうしたことを見逃すのか、ぼくは今度の福島の事故をみて、そうした心理学が社会常識として認知され、災害を未然に防ぐことにもっと企業や官庁がすばやく動けるようになればいいのにと思った。これは、広い意味でリスク管理に関する心理学がもっと社会的に認知されるような形にならないといけないということだ。人間は過ちを犯す存在であり、その過ちを未然に防ぐにはどうしたらいいのか、もっと研究がおこなわれ、その成果が社会にもっと還元され、浸透してくれることを願う次第だ。

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