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ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

shine a light

2010-12-22 02:13:43 | 日記
早稲田松竹でローリングストーンズの「shine a light」とマイケル・ジャクソンの「This is it」の2本立てを観てきた。両方ともDVDは買ったけど劇場版は観てなかったので先月から楽しみにしていた上映だったんだけど、観て、よかった。圧巻だった。

This is itは以前にも書いたことがあるので、今日はshine a lightのことをちょっと書きたい。ぼくはローリングストーンズに関しては、デビュー当時のことは知らないのだけど、satisfactionからアルバム「メインストリートのならず者」あたりまではずいぶんと熱心に聴いた。でも、青春リアルタイムでは、ミックとキースが麻薬で逮捕されてローリングストーンズ自体が活動してなかったこともあるけど、なぜか彼らがぼくの意識から遠ざかっていた。

でも、映画では、ぼくが好きだった彼らの強い個性は健在だった。ミックのエゴイストぶりも、キースの退廃的な雰囲気も、チャーリー・ワッツの厳父ぶりも変わっていなかった。そして、たしか「メインストリートのならず者」以後に加入しているロニーの永遠の少年っぽさも他のメンバーといいコントラストをなしていた。ふと思ったのは、この4人の個性が、例えばFCバルセロナでたとえれば、エゴイストのミックはリバウド、悪魔的なキースはロナウジーニョ、スーツが似合いそうなワッツはグアルディオ-ラ。そして、少年ぽくてみんなから愛されるロニーはシャビかイニエスタ。シャビ、イニエスタ以外はすでに現役を引退しているけど、つまりは、それぞれが全く違う役割をきちっと演じて、なおかつ濃密に絡み合うことをやめず、素晴らしいハーモニーを生み出しているのだ。

見方を変えれば、ミックは光りでキースは闇、ワッツは高峰でロニーは野鳥。とくにキースは舞台の上では、ユングのいうトリックスター的な役割を演じていた。初代リーダーの恋人だった女優のアニタ・パレンバーグがキースを退廃的なイメージに変えたと言われるけど、60歳を過ぎて顔に皺が深く刻み込まれ、プロレラーのアンダーテイカーを連想させるアイメイクを施し、そのままホラー映画に出演できそうだった彼が、自らのギターに陶酔し燃え尽きる姿は、見る人を異界に連れ去る魔力を持っていた。

インサートされてたインタビューで、ミックが、意外にも、キースのおかげでバンドがここまで続いてきたと言っていた。麻薬所持で留置所に入れられたとき、2人の独房が隣同士で、ミックが「もうバンドやめようか」って弱音を吐いたら、キースから「何言ってんだ」ってカツを入れられたというエピソードを語っていた。キースはいつも問題を起こして厄介者なんだけど、その彼の個性が、また周囲の人間を次のステージに駆り立てていたのかもしれない。

shine a lightもThis is itも映画化を前提にして企画が進んだツアーだった。2本目のThis is itを観終えて映画館を出ると、外は激しい雨だった。マイケルがあと1年生き延びてくれてればどんなThis is itが出来上がったのか、ずぶぬれの中、充実感と虚しさが交錯した。

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