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ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

絶対見ない。

2014-04-12 22:32:04 | PSYCHOLOGY2

「絶対見てやらない」― ある看護師が言っていた。病棟に勤務している彼女は、気に入らない患者に関して視線を合わせないというかたちで一種の攻撃的感情を発散しているという。

視線を合わせないっていうかたちでの「いやがらせ」は、たとえ相手が怒ってきたり、ナースセンターに苦情がきても言い訳できたり、とぼけられるということで彼女にとって使いやすいツールらしい。ただ、これは学校でのいじめでもよく使われるように、相手はすぐ感づくし、かなり不愉快にさせるので、勤務のたびに接しなくてはならない患者などに使うことはなく、担当外で気に入らない患者にするらしい。「もっと患者さんには親切にしてあげなければ」って言ったら、逆に不思議な顔されて、「不愉快になるタイプとか、嫌なタイプには、昔からまともに視線を合わせられなかった。そういうタイプって回りにいないですか?」って、返ってきた。

確かに、そういう感情を湧きあがらせる人は誰にでもいるだろう。でも、彼女の場合は、すごく攻撃的な行為としてそれをしているので、ちょっと普通とは違うと感じた。それに、そういう説明をした彼女の表情がすごく険しくなっていたので、彼女には、これまでにすごく嫌な体験があって、被害者感情が染みついて、かつての「加害者」に復讐するかのように、あるタイプの人に対してそういう行為をするようになったのではないか。彼女にとってこれは攻撃というより、ひょっとすると幼い時の怯えていた自分を守る行為で、自己防御なのかもしれないって思ってもいいような気がした。

「ときどき無性にイラつくし、そうなると人と話しができない」という。彼女の話しはフロイトのヒステリーに関する研究を十分に連想させた。ぼくも、昔のとても恥ずかしい自分の行為を思い出したようなとき、気づくと小さく叫んでいるときがあって、自分の意識では制御できない力に気づかされるときがある。彼女も似たようなメカニズムで視線を合わせられない状況に陥るのかもしれない。


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