わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸198(鈴木五郎2)

2012-09-20 21:49:38 | 現代陶芸と工芸家達

鈴木氏は、組織や団体に属さず無所属を通し、発表の場は個展のみに限定し、実力で陶芸界で

活躍し、更に見る人の度肝を抜く作品も発表しています。 

 ② 鈴木氏の陶芸

   ) もう一つの大きな作陶として、大壷作りがあります。

    b) 2m級の大壷の制作への挑戦。

      鈴木氏が挑戦する大壷は、形や装飾は1.4m級の大壷と同じにするそうです。

      但し、1.4級が同じ粘土を使用したのに対し、今回は各パーツ毎に種類を変えるそうです。

     イ) 高さ2mの作品にする為には、乾燥や焼成で土が収縮しますので、生の状態で、

        2.3~2.4mにする必要があります。

     ロ) 1.4m級と違い、作り方も替える必要がある様です。 

       前回は土の紐を積み上げる方法を取りましたが、今回は土の量も多く、重量も飛躍的に

       増える為に、発砲スチロールの型で作るとの事です。

       その詳細は不明ですが、以下のようにするのではないかと、想像されます。

      ○ 発砲スチロールで壷の型(内型)を作る。

       ・ 発砲スチロールの塊を所定の高さまで積み上げます。(専用の接着剤が有ります)

       ・ 電熱線を利用したスチロールカッター(色々な種類が市販されています)や、刃物の

         カッター(専用のカッター有)で、削り出し型を作ります。尚、電熱式カッターは、熱で

         スチロールを溶かしながら切断しますので切断面も綺麗です。

       ・ 型の高さは生の作品の高さにしますが、径は壷の肉厚分だけ細くします。

       ・ 型を分割する為に、切断箇所に印を付け、同時に番号を付けます。

         電熱式カッターで「バラバラ」に切離します。

         分割した型には、コーティングで強度を補強すると共に、離型剤を塗り土離れを良く

         します。

        ・ 厚みのあるタタラを作り、型に被せ合わせて切り取ります。

        ・ タタラの上に必要な装飾を施します。このパーツにも番号を振っておきます。

       ○ 土の種類が異なれば、縮み率も異なりますので、型通りに作っても繋ぎ合わせる時に

          会わなかったり、隙間が発生する事も起こります。 

          又、自然乾燥でも土は、スチロールの上を滑りながら縮みます。この際割れが発生

          し易いですので何らかの対策が必要です。

       ○ 「バラバラ」の状態で素焼きし、文様や色付けした後施釉し、本焼します。

       ○ 焼き上がったパーツは、金継(呼継)ぎの方法で、接着し組み立てます。

        ・ 種類の異なる土で焼成すると、合わせ目に隙間や出っ張りが生じます。

          少々の出っ張りは、「ダイヤモンドやすり」で削り調整し、大きな隙間はクサビの様に

          別の陶片を差し込むそうです。

       ハ) 最大の問題は、作った作品を何処に置くかと言う事らしいです。

          組み立てた場所から移動させる事が困難になるからです。

 ③ 鈴木氏の作品。

   ) 酒器:    

      「弥七田徳利」: 高 18、径15 cm。 「黄瀬戸徳利」:高 12.8、径 7.7 cm.。

      「染付片口酒器」: 高 10.8、径13 cm。「志野ぐい呑」: 高 5.4、径6.2 cm

      「弥七田ぐい吞」: 高 5.4、 径 7 cm。 「瀬戸黒ぐい吞」: 高 6.4、径6.4 cm。

       注: 弥七田織部とは、江戸時代に牟田洞、窯下、中窯(岐阜県可児市久々利大萓) の

         近くの窯で焼成された、鉄絵や緑釉で描かれた繊細な文様 の焼き物で、現在の

         織部焼のずっと以前に焼かれていました。

   ) 懐石料理用食器 :

      「織部割山椒」(五客): 高 10.2、径10 cm。「黒志野片口鉢」: 高 11.3、径34.2 cm。

      「五色飯碗」: 高 5.5、径11 cm。 「志野茶碗」: 高 9.3、径12.5 cm。

      「絵織部馬の目皿」: 高 4.5、径 30.2cm。

   ) 茶道具類 : 「ロス織部水指」、「呼継茶碗」、「黄瀬戸茶入」、「織部香合」、「織部蓋置」

      「志野茶碗」、「織部花入」などの作品があります。

   ) 予想外の作品    

      「弥七田大壷」 : 高 130、 径 130、奥行 130 cm。

      「絵織部椅子」 :  高 47、 幅 21、 奥行 18.5 cm。     

      「鳴海織部珈琲碗」 : 高  17.2、径14 cm。 3本脚が異常に長い器です。

      「ハワイ織部珈琲碗」 : 高 12.8、径13 cm。 脚元が異常にくびれています。

    ・ その他 30段も積み上げた織部の重筥(はこ)、 一人では持ち上がらない焼締や織部の

      土瓶など、常識外の形をしている作品を多く作っています。

次回(岡部嶺男氏)に続きます。

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