わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

青磁6(米色青磁,青磁色の謎1)

2011-08-15 21:22:18 | 各種の釉(鉄、銅、その他)
⑥-1  米色(べいしょく)青磁

  基本的に、青磁は還元焼成で、青色に焼き上がりますが、同じ釉を掛けても、酸化焼成すると、

  黄色み掛かった、黄金色に焼き上がります。この色を、日本では米色と呼びます。

  米の籾殻の様な、色をしている事から、名付けられました。

  意図的に、最初から、作り出した色なのか、失敗作で出現したのかは、諸説あります。
 
 ) 二重貫入の米色青磁

    粗く太い貫入の中に、細く小さい貫入った、二重貫入の米色青磁は、我が国で特に人気が

    あります。貫入には、赤錆の様な色が付いています。これは、使用中に自然と、付いたようです。

    (貫入については、後日お話しします。)

    昭和初期に、南宋官窯(郊壇下官窯後期)で、破片が発見され、ここで焼成されたと、

    見なされます。しかし、龍泉窯の一部である渓口窯(けいこうよう)でも、米色青磁が焼成

    されていた事が、知られていました。

    尚、釉は米色を帯びた灰青色で、胎土が灰白色であり、二重貫入があるのも、郊壇官窯の

    特色になっています。    

⑥ー2 青磁色の謎

 青磁の色は、古来より、鉄の色によって、表出したものです。近年、酸化クロムを加えて、青色を

 出している場合が多いです。それ故、クロム入りの釉は、青磁の部類に含めないと言う、研究者も

 います。クロムは、明治以降安価な、青磁の器や、タイルなどに使用される様に成ります。

 ) 鉄が青又は緑色の理由

  a) 純粋な鉄元素の色は、銀白色をしています。即ち、ステンレス・スチールの様な色です。

   地球上にある物質は、空気中の酸素の影響で、ほとんどが、酸化物に成っています。

   鉄も酸化第一鉄(FeO)と酸化第二鉄(Fe2O3)の状態ですが、ほとんどは、赤錆である

   酸化第二鉄の状態に成っています。

 b) 酸化第一鉄は、ほとんど見る事は出来ません。ただし、厚めのガラスを、割った際にその断面が、

   青み掛かった緑色をしているのが、見受けられます。この色が第一鉄で、青磁の色と成っています。

 c) 鉄の成分は、釉の中にも有りますが。胎土の中にも存在します。

   窯の中で、酸素が少なく成る様に、焼成する方法を、還元焼成と、言いますが、釉や胎土の鉄分の

   酸素が、強制的に剥ぎ取られ、酸化第一鉄に変化し、それが、青磁の青緑色に成ります。

   薪窯で焚いた場合、火は軟らかく、炎も長く延びますので、自然に還元焼成に成り易いですので、

   昔は青磁色を出すのに、さほど苦労は、無かったと、思われます。

   ちなみに、酸素分の多い窯の場合には、鉄分の含有量によって、黄瀬戸、天目、飴、柿、瀬戸黒釉

   と成ります。

 d) 青磁釉薬の調合

  イ) 釉の中に、鉄分が多いと、いくら還元を掛けても、還元仕切れずに、茶色に成ってしまいます。

     青磁色を出すには、鉄分は2~3%の範囲内で、淡い色の場合は、0.8%、薄い藍色では、

     1%程度が良いと、云われています。

     尚、0.5%程度では、青白釉に成り、5%では飴釉に成ります。

   ◎ 但し、この割合は、胎土と釉の合計の鉄の、含有量を表します。

  ロ) 胎土と釉の鉄分の含有量

     ある研究者が、中国北方の、焼成された青磁を、化学分析した結果、酸化第二鉄が、

     胎土に1.7~1.9%、酸化第一鉄が1.3%含まれ、釉にも2%程度含まれていたそうです。

     (注目は、加えられた、酸化第二鉄が、全て酸化第一鉄に、変化している訳ではありません。)
 
  ハ) 青磁釉には、長石釉と石灰釉があります。 

 以下次回に続きます。
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