2) 板皿を作る。(前回の続きです。)
③ 桧垣文(ひがきもん)板皿を作る。
桧垣文とは、斜めに交差する模様を言います。桧は檜(ひのき)とも書きます。
竹や葦(あし)、桧皮(ひわだ)を薄く削って交差させて編み上げた物を網代(あじろ)といいます。
網代の中でも、桧皮で組んだ物を桧垣と呼びます。網代より幅広の模様になる場合が多いです。
信楽や伊賀焼きなどの焼き締め壷の首の下に一周、竹へら等で×、×、× と着けられた模様も
桧垣文と呼びます。 以下作業手順を述べます。
) 数種類の色土を作る。
派手な文様にするか落ち着いた地味にするかは、色の違いが大きく関係します。
) 色土を手などで叩き伸ばし長方形にします。各色土の大きさはほぼ同じにします。
) 各色土を順次積み上げ、重ね合わせます。
) 色土を叩き密着させながら伸ばします。
叩く場合は最初に中央部分を縦に叩き薄くします。更に両外側へと徐々に移動させます。
この様な方法で空気を抜き更に、各色土の厚みを均等にし、歪みを少なく出来ます。
肉厚が2cm程度まで叩いて薄くします。
) 色土を短冊状に切る。
針(剣先)を用いて4cm程度の幅に切り出します。針に色土が付き汚れると、綺麗な
切断面に成りませんので、汚れを拭き取りながら作業する事です。
) 短冊を1cm程度の厚みで、多数切り出します。短冊の乾燥が進むと次の接着作業が
上手に出来ませんから、手早く行う事です。時間との戦いとも言われています。
尚、短冊の両端は、模様が崩れている事が多いですので、取り除き使わない事です。
) 片栗粉を塗った板の上で、色土を規則的に並べ、模様を組み立てます。
重なった色が見える面を上にして、二個の色土を「く」の字に置きます。更に、近接させて
「く」の字を連続させて並べます。一列出来たら隣りに二列目を作り、三列四列と必要な
数にします。ここでは密着させる必要はありません、ある程度隙間があってもOKです。
) 土を垂直方向に押して、土を締めます。
土に蚊帳などの布を敷き、亀板を置いてひっくり返し、その上に蚊帳を被せます。
即ち、蚊帳でサンドイッチされた状態です。平らな面を持つ押し型で、万遍無く叩き隙間を
無くします。平らな押し型は面積が広いと、力が分散し効果が薄いです。やや小さな目の型で
徐々に押します。
) ローラーで表面を平らに伸ばします。
土を締めた状態では、肉厚に差があるはずです。そこでローラーを掛けて肉厚を一定に
します。最後にローラーを滑らせて(回転させない)ロール目(転がした痕)を消します。
) 形を整え皿にします。
ローラーを掛けた段階では周囲の形は凸凹のはずですので、綺麗な形にカットします。
皿に成形する方法には、土の周囲を持ち上げて皿状にする方法や、石膏型などに上記の
色土を被せて形とる方法もあります。注意する事は急激なカーブにしない事です。
特に直角に曲げる様な事は、「ひび」や「割れ」の原因に成ります。
・ 削り作業をどの段階で行うかも重要です。単純な形であれば完全に形造り後に行う事です
複雑な形や内側の隅部など、削り作業が難しい場合には、形造る前に行う事も可能ですが
乾燥し過ぎると形造りで失敗しますので、なるべくなら形を造ってから削る方が無難です。
・ 一般に、平らな皿に足を着ける事は、変形を起こし易いです。特に本焼きの際、素地が軟ら
かくなり、浮き上がった部分が、下に落ちる危険性がありますので、何らかの方法で下から
支える様にする必要があります。
出来上がった作品は素焼き後、透明釉を掛けて本焼き(酸化が良い)します。
以下次回に続きます。