わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話2 釉とは?2

2013-07-18 21:29:24 | 新釉(薬)の話

2) 釉とは何か?

  ③ 釉が流れ落ちない理由(条件)。

    作品に施釉する際、窯の棚板に接する部分の釉は落とす必要がありますが、底から上部に

    掛けての数mmも落とす事になります。釉が流れ棚板まで落ちない様にする予防の為です。

    落とす寸法は2~5mm程度が一般的ですが、釉の種類によっては、それ以上にする必要が

    あります。なるべく底近辺まで、施釉したいのはやまやまですが・・・。

    但し、釉に適度の流動性があるからこそ、作品全体に均等の釉が掛かる(広がる)事に

    なります。又、素地が滑らか過ぎない事も大切で、釉が引っ掛かる面が必要です。

   ) 釉を落とす寸法は、釉の流動性と、釉の厚み、焼成温度、更には作品の形に左右されます

   ) 高温に成れば、どんな釉でも、粘性のある軟らかな液体状になります。

      それ故、重力の作用により、大なり小なり流れ落ちます。

   ) 一番大な要素は釉の流動性です。流れ易い釉は、結晶釉や海鼠(ナマコ釉)と呼ばれる

     釉などです。又、あえて流動性を持たせる為に、特殊な成分(酸化リチウム等)を釉に入れる

     事もあります。棚板まで流れ落ちるのは、失敗ですが、ぎりぎりの処で止まり、雫(しずく)状

     に垂れている抹茶茶碗などは珍重されます。逆に、流動性が乏しいと、施釉した状態のままの

     表面が凸凹のガラス状になり、施釉時の指痕も残ります。

   ) 焼成温度も大きな要素です。所定の温度以上に成ると釉は流れ易くなります。

      それで適度の焼成温度(範囲)が設定される訳です。

   ) 厚く施釉すると、流れ落ちる量は増え、結果的に流れる寸法も長くなります。

       厚い釉は熔けると、大量の液体と成ります。それ故重力も強く働きます。

   ) 垂直の面が長い程、流れる寸法が長くなります。途中に堰き止める要素が無い為です。

  即ち、流れ落ちない様にする為には、上記の事柄に注意する事です。

  上記条件の詳細は、後日述べる予定です。

3) 釉に良し悪はあるか?

  ① 釉として失格なのは、鉛を含んだ釉です。現在では陶磁器に使用する事は、一部楽焼の

    場合を除いて禁止されています。鉛が酸(酢酸=食酢)などで、溶け出し鉛中毒を起こす恐れが

    あるからです。

  ② 基本的には、釉の良し悪しはありません。特に市販されている釉には、様々の色釉があり、

    色々な結晶釉や光沢の有無、更には焼成温度にもバリエーショが存在します。

  ③ ご自分で調合した釉でも、色々な条件を変える事により、好みの釉に改良する事も可能です。

     その為の解説本もある程です。

  ④ 欠陥のある釉であっても、釉の個性として適所に使う事で、生かせる事も稀ではありません。

     むしろ、欠陥のある釉が今までに無い、表現効果を出すかも知れません。

   ・ 「窯変」と言われる現象は、釉が一定しない結果起こります。又、一定しない原因が中々解明

     出来ない場合が多く、再現性に乏しい釉と言えます。

     常に一定の品質を保つ必要がある、工業的製品には使用できませんが、陶芸家や陶芸

     愛好家にとっては、楽しみの釉となります。

   ⑤ 但し、一窯を同じ釉で焼成する場合は、問題ありませんが、色々な釉を一緒に焼成する

     場合は、かなり問題が発生すると思われます。そう言う意味では、他の釉と比較して取り

     扱いの悪い釉であると言えます。

 以上の様に、釉の良し悪しは一概に判断できませんが、単体の釉での善悪は存在しませんが、

 最終的には釉の良し悪しは、使用する人の判断により決るとも言えます。

次回より、釉の各論を述べたいと思います。   

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