わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代陶芸138(柳原睦夫2)

2012-06-12 21:17:58 | 現代陶芸と工芸家達

  ② 柳原 睦夫氏の陶芸 

   ) 数度の渡米によって、アメリカ現代陶芸に触れ刺激を受け、鮮やかな色彩と装飾を取り込み、

      官能的なホルムを基に、従来の美意識に反逆した、新しい現代の美意識の確立を目指します。

      柳原氏の作品は、師の富本憲吉氏が色絵磁器の分野出確立した、日本の伝統的な

      焼き物の美意識である「端正で高雅」とは、対極にあると思われます。

      しかし、「富本氏の仕事と深い繋がりが有る」と見なす意見も有ります。

   ) その意見によると、富本氏の「模様から模様を作らず」の言葉の通り、従来の模様を離れ

      金銀彩や鮮明な多色文を使用する事は、富本氏の境地を発展させる事に成るそうです。

      又、足利義満の金閣寺(西山文化)や、秀吉の桃山文化、尾形光琳などの元禄文化等に

      金銀は、歴史的にも刺激的に使われています。それ故柳原氏が作品に金銀を多用する事は、

      必ずしも、伝統文化に反するものではないとの意見です。  

   ) 梨地様金銀彩と光沢のある金銀彩を併用する事で、変化のある文様を作り出します。

      金や銀で光沢を押さえた梨地を作るには、以下の方法をとります。

      本焼きした作品に、金液などで上絵付けを施し、800℃程度の温度で焼成します。

      この段階では、光沢のある金銀彩と成ります。これを特殊の方法(瑪瑙や細かい砂)で磨く

      (表面を荒らす)と、光が乱反射して梨地面が現れます。

      更に金液などを塗り再度焼成し、磨きを繰り返す事とにより深みのある、梨地面となります。

      作品としては、「金銀彩彩文花瓶」(高 46 X 径32cm)(1983年)、

      「金銀彩彩文花瓶」(高 34.5 X 径26.5cm)(1984年)などです。

      器形は凸形で、下部は丸味と厚みのある円形又は方形で、その上に円筒状の物又は、

      上部縁がえぐられた円筒形に成っています。

      その表面に、波紋の様な線状文が不定形に描かれている作品です。     

   ) 紺釉金銀彩: 彼の使用する釉は、主に灰釉の透明釉ですが、紺釉は彼の唯一の色釉です。

      作品の内側に使う事が多いのですが、作品の装飾模様(水玉)と組み合わせてたり、金銀彩と

      併用して使われています。作品として、「紺釉金銀彩花瓶」(高 55 X 径 31cm)(1971年)、

      「紺釉金銀彩花籠」(高 31.2 X 径 22.3cm)(1971年)等があります。

      尚、水玉文は、版画的手法(ペーパー、レジスト)を駆使し、大小様々な水玉文様を描き

      出しています。

   ) 彩色文:色化粧掛けにより、紅、黄、青等に着色し灰釉を掛け、電気窯で酸化焼成しています。

      化粧掛けは、刷毛による平塗りの他、エアブラシを使いグラデーションを付ける場合もあります。

      作品として、「紅彩陶作品83/9」(高 67 X 径 40cm)、「黄彩陶作品83/3」(高 50 X 径 39)

      (1983年)などです。器形は「こけし」を大きくした様な作品です。

    ) その他の作品

      「黄オリベ・直立後屈瓶/黄オリベ・斜行後」(66.0×44.5×21.5、75.0×31.3×19.0)

       (2点組)(1995) 国立国際美術館。

      「破顔笑口壺」(高65.5 X 横34.5 X 奥行 36.5)国立近代美術館。(1990)

      「黒オリベベロット瓶」(高 44 X 横 44 X 奥行 41)東京国立近代美術館(1997)

      など、多くの作品が東京、京都近代美術館、国立国際美術館などに、買い上げ

      展示されています。

以下次回に続きます。

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