わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

燃焼のメカニズム 5 (煉瓦、瓦、土器)

2010-04-12 21:33:24 | 失敗と対策
燃焼のメカニズムの、話を続けます。

 3) 素地土と、焼成変化

  焼成変化は、素地土の差によって、変化し、一様に「こうだ」とは、いえませんが、大まかな話を、

  したいと思います。

  ① 煉瓦(レンガ)土、瓦土、土器に付いて

   ) 煉瓦土: 赤土は、900~1000℃素焼すると、赤煉瓦の様に、赤く成ります。

     赤煉瓦の土は、主に川床の跡などにあり、粘土分に、砂が自然に、混ざり合っている方が、

     良い煉瓦に成ると、言われています。(温度が高く成ると、赤は消えて黒っぽくなります。)

     粘りの有る粘土は、乾燥で、「ヒビ」が入り易く、焼き縮みも多いので、多少砂気が、

     有った方が、焼いた時に、都合が様です。

     但し、関東ローム層の様な、赤土(火山灰)は、焼き縮みが多くて、煉瓦には、向いていません。

    ・ 耐火レンガ: SK-26(1580℃)以上の、耐火度のある物を、耐火粘土と呼んでいます。

      一般に黄色に、焼ける粘土ですが、作品を作るよりも、窯道具(さや鉢)などや、

      耐火レンガとして、使用されます。(市販されているレンガは、SK-32、SK-34が多いです。)

      成分は、カオリンの他に、石英、セリサイトを含み、高アルミ質の粘土では、

      ダイアスポア(Al2O3・H2O)、ヒドロアルジライト(Al2O3・3H2O)などを、含みます。

    ・ 但し、現在は、窯の材料としては、軽量耐火レンガが、主流です。

  ) 瓦土(かわら): 赤土など、色の付いた土は、低級な土と見られ、使用も限定的です。

     粘り気の有る、田土は黒い瓦や、植木鉢として、使われます。

     瓦は、900℃程度で焼成し、焚き上げる時に、大量の杉の葉などをくべ(供給し)、

     焚き口を閉めて、不完全燃焼を起し、杉の葉中の、油性成分(テルペン)を揮発させて、

     瓦の中に、浸透させます。

     更に、熱分解により、炭素が、気孔の中に入り込み、黒色の瓦や、銀灰色に光る物も、有ります。

     尚、気孔が塞がり、水を透しにくく成ります。 一方素焼の植木鉢は、植物にとって、

     吸水性は、重要ですので、低い温度で焼く、必要があります。   

  ) 縄文、弥生式土器も、赤土系の、有色粘土を使っています。

     これは、赤土に含まれる鉄分が、比較的低温度で、焼き締り易い為です。

     土の採集場所は、川床や、池などの水辺や、水の有る(有った)所が一般的です。

     土の粒子が細かいと、吸水性は、少なく成りますが、縮み率は大きくなり、急熱急冷に弱く、

     壊れ易いです。それ故、砂やシャモット(焼粉)を、多目(30~50%)に入れて、造ります。

    但し、砂や、シャモットを入れると、加工が、しづらく成ります。

  ) 赤土、瓦土などの、縮み率と吸水性

    産地や、含まれる成分により、かなりの差が、有りますが、参考程度に、表示します。

    乾燥収縮: 4~10%、  焼成収縮:0~5%(900℃)、2~8%(1000℃)

    吸水性: 5~14%(1000℃)

  ② 楽焼きについて

以下次回に続きます。
    
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