台灣媽祖日記

海の女神・媽祖などの研究調査のための台湾滞在記 日本の媽祖・天妃信仰も紹介

新年快樂! 酉年好出發

2005-02-09 | 媽祖と研究
今日は旧正月の元旦。台北は午前中には陽も射す穏やかな新春でした。今年は酉年。ということで「トリ」にちなんだおめでたい話?を一つ。

小生は過去2年間くらい日本に残っている江戸時代以前の媽祖像を調査してきましたが、中には本当に媽祖?と確信がないものもあります。写真中のブロンズの女神は台座に「天妃宮」(天妃は媽祖の別称)と刻まれているので、いちおう媽祖像としたのですが自信がありませんでした。「鳥が頭に飛んでる」媽祖像は他に例がないからです。

ところが『明代觀音殿彩塑』をめくっていると頭に「鳥」がついている神像があるではありませんか(写真右)。しかも参考資料として載っている壁画の模写の女性にも鳥の髪飾りが(同左)。この壁画は元代成立の「観音大士傳」に取材したもので、女性は観音に帰依して父の命を救った妙善公というのだそうです。

鳥の意匠が観音信仰とも関係が深いこともわかったのですが、媽祖は観音の化身とも当時から考えられていたので、鳥の飾冠つけていることも説明がつきます。ということで、ブロンズの女神を媽祖とした推定の精度を高めることが出来たわけで(同業者以外は「何のこっちゃ?」と思うでしょうが…)小生としては「非常高興」の発見でした。

後で中国服飾史の専門書をひもといてみると、鳳や雀など鳥をあしらった釵(かんざし)があり、特に明代の上流女性に人気があったことがわかりました。そんなトレンドが女神の宝冠の意匠に鳥を登場させたのかもしれませんね。