白馬ツバメの独り言

北アルプスの麓 厳しい自然界で健気に逞しく生きている命たちとの出会いは
優しくて時に悲しい・・・

晩秋のカラスたち

2007-11-29 | カラス

何回か上空を集団で鳴きながら乱舞し、舞い降り、他から来た集団も続々加わりながらまた乱舞。それを見て「何か不吉なことでも・・」とか「カラスがこんなに増えたから駆除してくれ」などとたわけたことをいう無知人たちも・・
何のことはない。秋から冬にかけてのカラスの集団塒入りの習性だ。
日が暮れて、いっせいに山のほうへと帰っていく。よく見ているとブト(ハシブトカラス)のほうがボソ(ハシボソカラス)よりも若干早めの帰宅のように思うけど・・ボソのほうが遅くまで畑で採食をしているみたいだね・・
11月あたりからは日中でも、若カラスたちがグループになって乱舞しているのを見かけたりする。風に乗ってなんだか楽しそうにはしゃいでいるようにも見えて、私にはけして「不気味」などには見えないけどね・・・

 


カラスはどうしても強いイメージがあるけれど、一部都会で一年中管理の杜撰な 人間の出す生ゴミのごちそうにありつけていることから増えているような地域除けば、意外にもけして生存率が高いわけじゃない。
特に豪雪厳冬のこのあたりでは、その年生まれの子ガラスが翌春まで生き延びる確率はとても低いのだ。体を傷つけてしまっているカラスや老齢のカラス、病気のカラス、都会とは違ってまずひと冬越すことは難しいところだ。
その証拠に、雪解けの頃に裏の林を散策していると、何体ものカラスの屍が落ちている。仲間たちと塒に帰ることもできずに力尽きてしまった子たちだろう。
山中の塒周辺へ行けば、屍がたくさん落ちていると聞いた。塒から採食に出かける元気もなくそのままそこで死んでいってしまうカラスたちもたくさんいるということ・・・
ちょっとむごい画像ですが・・・現実、カラスだってこんな姿になって春を待てずに命尽きてしまう子たくさんいるんだよね・・・
春先、いくつものこんな姿を見つけるにつけ、私は「ツバメの天敵 カラス」だけれど、なんとも哀れで辛い気持にもなる。
まぁ、これが「自然淘汰」であって、強い個体だけが生き残り、次の子孫を残していくという「自然界の摂理」 人間の手によって捕獲されて駆除されるよりかは・・・ね


この秋も、ウォッチングをしていると、羽がもうスカスカボロボロになっているカラスや、異常に痩せてしまっていて、仲間たちに追い立てられている若カラス、そしてこのところ毎日のように群れには加わらずひとりポツンと木の上に止まっているブトがいる。よく見るとこの子の片足は折れてしまったのか、画像を見てもわかるように止まっていてもいつもブラブラしているのだ。

            止まっている時も、体が少し傾いている。


塒にも仲間たちと帰っている様子がない。いつも近くの杜で過ごしている。
この子がはたして間もなくやってくる厳冬の白馬で無事に生き延びることはできるだろうか・・・
「がんばって生き抜くんだよ」 そう願っている・・・

そして今一番気がかりなのは、私の知る限りでは今年で6回目の子育てをしている家の裏の林を縄張りとしている「ハシボソカラス」の母さんだ。


今年の子育て終り頃から顔の周りがおハゲになってきて、それはだんだんひどくなり夏の終わりあたりから、くちばしの付け根、鼻のあたりに白いコブのようなものができてしまった。鼻から呼吸がしずらいのかいつも口を半開きにしている。
この母さんは去年あたりから羽もかなりボロボロになっていて、おそらくはもう高齢になってきているのかなと思う。6回の子育てをしているということは若く見ても8歳くらいにはなっているはずだ。
毎年このあたりのツバメたちの子育てを、ブトや猛禽から守ってくれているこのボソ夫婦。父さんがいつもこんな母さんに寄り添うように止まって羽づくろいを手伝ってあげたり、優しくいたわっている夫婦愛の姿がとても印象的だ。

          口を半開きしている右が母さん。左が父さん

この母さんにとって今年の冬はかなり厳しいものとなるだろう・・・
できることなら来年も元気に7回目の子育てをしてほしい・・・
そしてツバメたちを守ってほしい・・
父さん、母さんを助けてがんばって冬を乗り切ってね・・・
ちなみにこのハシボソ夫婦、オスの父さん 「ホワァン ホワァン」となんとも間の抜けた変わった鳴き方をする。
だから私はこの夫婦を「ホワァンちゃん夫婦」と呼んでいる。
今日もこのホワァンちゃん夫婦はまだ親離れできない子供と、もう1羽の「どこの子ちゃんボソ」と4羽で家の周辺の畑で過ごしている。
ずっとずっと・・・こんな平和な日々が続くといいのにね・・・


 



 





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12 コメント

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こんばんは (rino)
2007-11-29 17:52:44
都会でカラスが爆発的に増えたのは、人間が不用意に出すゴミに一因があるんですよね~
それなのに、東京などではカラスを捕獲駆除しているのはホントに心が痛みます
この前、NHKでツバメさんの子育てを町中の人たちが見守っている様子を放送していましたね。
ハシボソガラスが敵からツバメさんを守っているなんて、意外ですがホワァンちゃん夫婦、長生きして欲しいですね
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何でもそうですね~ (お宿)
2007-11-29 21:13:49
 こんばんは~ 人の勝手で 被害受ける事ばかり、
今に仕返しが来ますよね~ もうきてる事も・・・
まず人が直さないといけない事だらけですよね~
我が家の前の鉄塔でもカラスが(ボソ)60羽位よく集まります。 みんな同じ方見て鳴き 止まる所を入れ替わり そして解散・・・私はカラス会議(集会)と勝手に言ってますが なんのためだか?ですが
ホワァンちゃん夫婦この冬頑張ってほしいですよね~
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にんげん (だちょ)
2007-11-30 22:36:00
因果応報ですネ
ニンゲンが一番罪深い
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みんな同じ命です (コスモス)
2007-11-30 23:23:00
私の近くには、はしぶとカラスが沢山います。ツバメの巣を狙ったりスズメの巣を狙ったり・・・凶暴かと思ってましたが、生きる為なんですよね。自然は人間が感じているほど甘くないんですよね。皆命を与えられて、何かを繋げる為に一生懸命なんですよね。命をつなぐ為生まれた生き物達・・私もそうですが・・・ホントすばらしい、美しい、愛おしいです。そして、これからも命を繋げていきたいです。
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こんにちは (みしまつー)
2007-12-01 10:57:20
私は、10月の後半だったか、天気のよい午前中に、他から来た集団も続々加わりながらまた乱舞!
という情景を、はるか上空とはいえ目撃しました。
あれよあれよと増えて、まさに、大迫力満点で見とれてしまいました・・・この日は、特別な多さでしたが、50羽くらいの小集団もよく見かけてました。
この時期、集団でいるのは若いカラスなんですね・・・
実は、私、暑い時期に、田んぼの一本道で、
違う日と場所にですが、カラスの死骸を2羽も目撃してしまいました。
車にぶつかってしまったんでしょうか・・・
カラスも危険が一杯なんですね・・・
大きいし黒いのでこわいと思ってしまいがちですが、悪者にするのは違うと思います・・・
一番身近にいる鳥です。仲良く暮らして行きたいものです・・・
ツバメには手出し無用とお願いしたいですが
ホワァンちゃん夫婦のお母さん、元気になれーがんばれーー冬を乗り越えろーーー
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Unknown (あきこ)
2007-12-01 11:37:16
ボソはツバメを狙わないんですか!?ブト達から守ってくれてるなんて以外です。やっぱりカラス達にも冬は厳しいものなんですね・・・ほゎんちゃん夫婦、がんばってツバメさんを守ってほしいです
都会のカラス達、逞しいですよ~スーパーのゴミ置き場から廃棄の食品を失敬したり、木の枝にマヨネーズの入れ物を隠してみたり・・・人間なんて気にもしてないです(笑)大阪はマナーのない人が多いもので、ゴミの日じゃないのにゴミ出してる人や、食べ残しをポイ捨てする人とか多いですから、カラス達、食べ物には困らないようですカラスのせいで街が汚れる、なんてお門違いもいいとこですよねでもやっぱり、ツバメのヒナちゃんには手を出さないで~、と勝手な人間としては思ってしまいます
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rinoさんへ (白馬ツバメ)
2007-12-01 18:03:04
こんばんは
rinoさんも「ダーウィンが来た」のツバメ特集見られたのですね♪ ツバメの巣を襲うのは9割方「ハシブトカラス」のほうなんですよ。なのでボソよりもブトの多いところではツバメも他の小さい鳥たちの巣もかなりやられてしまいますね・・・同じカラスでも性格から行動まで違うんですよ。見ていて飽きない野鳥でもありますね
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お宿さんへ (白馬ツバメ)
2007-12-01 18:07:40
こんばんは
「カラス会議」そうですね。ほんとにそんな感じ・・「集合ー」「解散ー」って・・
鉄塔、送電線の上、好きですよねあの子たち・・
今の時期、つがいは二人だけの世界楽しんでいる子たちが多い・・カラスの夫婦はほんとに「ラブラブ」
そんなに見せつけないでよー・・
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だちょさんへ (白馬ツバメ)
2007-12-01 18:11:04
こんばんは
だちょさんのコメント
一言でいえば・・・まったくそのとおりですー
エゴの塊・・・私も・・罪深い・・・
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コスモスさんへ (白馬ツバメ)
2007-12-01 18:17:56
こんばんは
自然界って・・・想像を絶するほどに苛酷なのでしょうね・・私は、子孫を残していくために、日々1分1秒を必死に一生懸命生き抜こうとしている自然界で生きているいのちたちが大好きです・・そしてたくさんのことを彼らから教えてもらっています・・・
必要のない命なんて、ひとつもないのに・・
人間に都合が悪いものは何でも 駆除 駆除・・
そのうち人間が自然界の神様から駆除されちゃうかなぁ・・・ね
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