あいとポッポパーティー

あいをさぐりながら、友人に発信。
あいとへいわのあいは、解せなかったけれど注目のテーマ。

後悔の塊の近藤さん

2006-10-05 12:51:38 | 日記
9月16~18日に愛知で開催したピースエッグのメイン企画で、とっても貴重なお話を聞くことができました。
号泣。

聞いたのは9月17日。
中国戦と沖縄戦に従軍した近藤一さん、韓国から強制連行され、愛知の工場で働かされた名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟原告の金中坤(キム・チュンゴン)さん、革新愛知の会事務室長の村上俊雄さんの三者によるシンポジウムでした。

お三方ともによいお話でしたが、私の胸に強烈に迫ったのは近藤一さんです。
詳しい話の中身は平和新聞9月25日号に掲載しましたが、そこから少し下記に紹介します。

===
 満20歳で徴兵され、中国山西省に送られて初年兵教育を受けていたある日のこと。広場に整列させられると、前方に立ち木に後ろ手で縛られた中国人がいました。それは、初めての「刺殺訓練」でした。

 「突け!」の号令と共に、「やぁー」と走って中国人の胸を突き刺しました。銃剣は、まるで豆腐を刺すようにスゥーと突き刺さりました。気付いたら震えは収まっていました。…


そのため部隊は度々、掃討作戦といって村を急襲しました。略奪や輪姦は日常茶飯事。銃剣で妊婦の腹を切り裂いたり、乳飲み子を母親の目の前で谷底に投げ捨てるといった残虐行為も繰り返しました。
 「日本は神の国、天皇陛下は生き神様、その下にいる大和民族は世界で一番優秀な民族と教え込まれ、劣等民族の中国人には何をしてもいいと思っていました。50年、100年と謝っても謝りきれないことをしてしまいました」


 「A級戦犯だけでなく、靖国神社そのものが問題なのです。貧乏人の子どもでも兵隊になって死ねば、靖国の神様になれる―そういって国のために戦って死ぬことをあおったのが靖国神社です。だから、本当にあの戦争で犠牲になった人たちを思うなら、靖国に参るのではなく、その犠牲の上につくられた憲法九条をしっかりと守るべき。それでこそ戦友たちも『死にがいがあった』と安堵していてくれると思います」
===


中国で残虐の限りを尽くした後、近藤さんは沖縄戦へ従軍。
爆薬を背負って戦車に飛び込まされるなど、捨て身の肉弾戦法をさせられた経験を通し、こんなバカな戦争はないと思うようになりました。
「中国人を虫けらのように殺してきた兵隊たちが、今度は沖縄で虫けらのように死んで行った」

近藤さんの体験は相当壮絶です。
というか、ひどい。
信じられない。

興味本位で妊婦の腹を切り裂いたら、中はぐちゃぐちゃで胎児がどう位置しているかなんてわからなかった、という。
でもその話をする近藤さんは、本当につらそうで、後悔の塊となって涙を流している。
「なぜあんなことを…」
絶句するように、でも何度も私たちに向かって話してくれました。


企画の終了後、私は駆け寄って感激を伝えたかったのですが、思わず涙がごうごうと流れ出て言葉にできませんでした。
「ありがとうございました」と言うのが精一杯。
でも何とか見送りだけはしました。

近藤さんの残虐行為は許しませんが、自ら告白することが戦争を再び起こさないことにつながると信じて私たちに語ってくれる勇気には深く感謝したいと思います。

ちなみに近藤さんの証言は、「未来をひらく歴史 東アジア3国の近現代史」という日中韓共同編集の歴史教科書にも載っています。

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4 コメント

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Unknown (のぼる)
2006-10-05 15:20:41
 お疲れ様です。近藤さんの証言読みました。反省するのは戦争を引き起こした日本政府そのものなんでしょうが、つらい体験に胸がつまります。

 先日「蟻の兵隊」を観ました。少し居眠りをしていたら足が震えるんです。なにかなと思ったら、となりで観ていた女性が震えているんです。思わず姿勢を正して見入りました。

 明日から中国ピースツアーです。本多勝一さんの「中国の旅」をとりだして読んでいるところです。とくに、上海、南京のところを、もう何度か読んでいるのですが改めてひどい侵略の状況に、電車のつり革を握りなおしていました。

 いま、ちょうどあなたからの電話を取り次いだところですよ。
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Unknown (尾崎)
2006-10-05 21:49:57
 みさきさん。

 近藤さんの話は、聞くのがとてもつらかったでしょう。私も彼から、3時間ほど話を聞いたことがあったので。それもサシで。

 「証言は立派だが、なぜそんなひどいことができたのか」--島根在住の元日本兵は、ある集会で証言にたったとき、話し終わってそういう質問を受けたといっていました。

 いくら軍国主義教育を受けたとはいえ、そこまで鬼になれるのかーーたぶん、加害体験を語られる方々は、60年間、そのことをご自身に問いかけられてきたのだと思います。

 近藤さんは、中国の被害者の聞き取りをおこなっている市民団体の調査に同行して、中国人被害者の話を聞くなどして、自分が行ったことがどんな被害を与えたかを理解しようとされてきました。近藤さんの証言内容は、かなり豊富です。

 それは、おそらく、いろいろ学習し、自分がおこなったことの重大性を深く認識するなかで、意識していなかったことが鮮明になり、まとまって語れるようになった事が相当あったのではないかと思いました。
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Unknown (みさき)
2006-10-05 22:59:52
のぼるさん。

「蟻の兵隊」は私も観ました。戦争を体験した多くの人にとって、それぞれ立場が違ってもそれぞれなりに終わっていないのだということを感じました。

中国へ行かれるのですね。私も行きたかったのですが今年は断念しました。残念…。本多勝一さんの「中国の旅」にはとても衝撃を受けました。私は去年、中国ツアーのレポートを書きましたが、この本多さんの本をとても参考にさせていただいたのでした。
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Unknown (みさき)
2006-10-05 23:10:24
尾崎さん。

サシで!それはうらやましいことです。私ももっと丁寧にお話を伺いたかったのですが、時間もなく、さらにとにかく私が泣いてしまって。

近藤さんはエッグでは中国の方に会いに行ったという話はしていませんでした(たぶん)。本当に苦悶の顔で、悔恨の思いを言葉に仕切れない様子で、絶句しながら少しずつ語ってくれました。近藤さんの学習や調査活動などの経験が、自身の後悔をさらに深めていったのですね。

ちなみに私は人前では泣くまいと思っているのですが、たまにこうして耐え切れないことがあります。言葉を発しようとしたら涙になってしまった、という経験は去年訪れた中国の平頂山で楊宝山さんの証言を聞いたときでした。いずれも、本当によい出会いをさせていただいたと思います。
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