想いのままに…

日々の生活の中で感じたことを、想いのままに綴りたいと思います。

木目込み人形

2013-04-25 22:01:26 | 日記
『翁…?』

先週、いとこのお宅に伺った時、古い桐のタンスの上に、その木目込み人形が飾ってあったのです。
それを見た時、私は遠い昔の記憶がよみがえってきました。

それは、私がまだ20代の頃です。
伯母(母の一番上の姉)と連れ立って、伯母(母のすぐ上の姉)の展示会を見に行ったのです。
その時に展示してあった中に、『翁』がありました。
展示会場には、いくつもの木目込み人形が展示されていましたが、
その『翁』の表情が、凛々しくもあり、優しくもあり、温かさも感じて、
引き込まれるように印象深い作品でした。

その『翁』は伯母が作ったものだと聞いて、ちょっと驚いたことを憶えています。
その叔母は、とても話し好きでした。ちょっとにぎやかなくらいの明るい人でしたから、
そんな穏やかな雰囲気の『翁』を作る人とは、結びつかない感じがしたのです。

桐のタンスの上の『翁』は、長い年月を経て、重厚感が増しているように見えました。
そして、あの時と同じように、凛々しく、優しく、温かさをも感じることができたのです。

『おばさん、とても素晴らしいものを作っておられたのね。』
私がそう思ったのは、当時の伯母は、木目込み人形を紹介するために海外にも行っていましたが、
その頃の私には、日本の伝統的な人形作りを紹介している…くらいにしか思いませんでした。
でも、その昔、『翁』から感じ取れた様々な感情が、30数年たった今も感じられるほど、
丁寧に作られていたことを思うと、伯母の心を見たような気がしたのです。

3年前、伯母は96歳で亡くなりました。
先日会ったいとこ夫婦の、「母は、とても幸せな生涯だったと思います。」という言葉が
今も心に残っています。


 伯母の作品です。
 よかったら、お家に飾ってくれる?と言われ、
 喜んで…といただいてきました。
 
コメント
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