MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

罪深い言葉

2014-06-09 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
医療者や先生といった対人支援に関わる人たちの何気ない一言は、
患者や家族、親に大きく影響します。

相談窓口では、
医師や看護師、教師といった専門職の言葉が
ずっと心から離れずに苦しんでいるケースを聞くことがあります。

文化の違いと片付けられるくらい簡単なことではないのですが、
日本では「ごめんなさい」「すみません」をあまりに簡単に使うなあと感じます。
謝罪の言葉を通訳する時はかなり神経を使います。

生後まもなく脳内出血を起こしたこどものお母さん。
何年経ってもあの時看護師が「ごめんね」と言った日本語を忘れていません。
「ごめんね」は悪いことをした時に言う言葉。
だから、きっとこの看護師か病院が何か悪いことをしたに違いない。
こどもの事故に過失があったに違いない。
事故はこの人のせいでおこったのではないか。
そうずっと苦しんでいます。
彼女にとって医療過誤の訴えの証拠が「ごめんなさい」という言葉です。

学校で子供同士が喧嘩して、
親が呼び出されました。
その場所で先生が、「○○ちゃん、○○○○ごめんね」と言いました。
途中の言葉はわからない日本語です。
「ごめんね」という謝罪の言葉だけが理解できました。
最初は子供同士の喧嘩だと思っていた親も、
先生が誤ったことで、先生の管理が足りなかったと認識して、
訴えたいと考えています。

日本語の文脈の中で、わりと簡単に使われる謝罪の言葉。
言葉の中には、「ちょっとごめんね」から
「大変申し訳ないことをしてしまった」や「死んでお詫びがしたい」まで、
様々なグラデーションがあって、日本語ネイティブならその「重さ」も理解できると思います。

看護師の友人に聞くと
たとえば注射をしたら
「痛い思いをしたね。ごめんね。」という意味で、よく使うといいます。

専門職の人が日本語ができないと思っている外国人も
まったく聞こえていないわけではありません。
知っている言葉が混じっていればそれが耳に残るし、
話せなくても聞いてある程度理解できる方も少なくないのです。

通訳を使わないで日本語を発語する場合も、
相手がその言葉を聴いているということを忘れないでください。

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